今日は雨のためブルーベリー圃場の様子の撮影を取りやめました。

そのため昨日の続編です。

今日は、たくさんは必要では無いものの、無いと生育する事ができなくなる微量要素について説明します。

昨日の記事と今日の記事を読めば、誰でも肥料不足による不調時に対処できるようになる事を目標にまとめます。

読んでも面白くはないと思いますが、大切な植物が不調の際に役立てて頂けたら嬉しいです。


必須微量要素は、鉄、マンガン、ホウ素、亜鉛、モリブデン、銅、塩素と最近追加されたニッケルの8種類です。

植物体を構成する物はありませんが、それぞれホルモンや酵素の生成や代謝、他の栄養素の吸収など補助的な役割をしています。

これらの微量要素は不足すると、葉に特徴的な症状が見られます。

原因は、微量要素そのものの不足の場合と他の栄養素が多い事で微量要素の吸収が阻害されている場合があります。


では、各微量要素について説明していきます。


鉄(Fe)

葉緑素を作る工程で必要不可欠な元素です。

アルカリ土壌では鉄の吸収が阻害され欠乏症状が出る場合があります。

鉄が多過ぎる場合は、リン酸の吸収が阻害されたり、根が痛む事があります。また、ナスでは鉄サビ病の原因になります。

逆に少ない場合は、葉緑素が作られないため新しい葉が葉脈を残し黄色く変色、酷い場合は白色化します。


マンガン(Mn)

呼吸酵素やタンパク質合成酵素の構成物質です。

葉緑素の生成、光合成、ビタミンCの合成に関与します。

アルカリ土壌や有機質が多い土で欠乏症状が出やすいようです。

マンガンが多過ぎる場合、みかんや柿では異常落葉が見られます。

逆に少ない場合は、葉脈間が黄化し、葉が小型になります。


ホウ素(B)

水分、炭水化物、窒素代謝に関与し、根の伸長や新芽の発育を促します。

ホウ素は雨で流れやすく、pHが高い場合は吸収しづらくなります。

ホウ素が多過ぎる場合は、葉が黄色や茶色に変色します。

逆に少ない場合は、新芽の緑色が濃くなり成長が止まります。また下部から側枝や変形葉が多く出ますが、それらの多くは枯れてしまいます。


亜鉛(Zn)

葉緑素や植物ホルモン(オーキシン)の生成に関与します。また新しい葉を作る働きにも関わっています。

亜鉛が多過ぎる場合は、新葉が黄化します。

※亜鉛過多は微量要素の中では出やすいそうなので、新葉が黄色い場合まずは亜鉛を与えすぎていないか確認すると良いです。

逆に少ない場合、葉が変形したり、小さくなり、葉脈間が黄白色の肋骨状の斑が入ったような葉になります。


モリブデン(Mo)

窒素の消化吸収(空気中の窒素を吸い、アミノ酸やビタミンCに変換する)を触媒として助ける元素です。

また、マメ科などの根粒菌の窒素固定も助けます。

モリブデンが多過ぎる場合の症状は特にありません。

少ない場合は、新しい葉がムチ状やサジ状に変形します。酷い場合は成長点が部分的に枯れます。

また、古い葉では黄色い斑点や縁取りが出る事があります。


銅(Cu)

植物体内の酸化還元、葉緑素形成に関与します。

銅が多過ぎる場合、根の発育が悪くなり、古い葉が黄色くなります。また、鉄の吸収を阻害します。

逆に少ない場合は、新しい葉の先端から黄白色化、褐変し、萎れます。

また、枝枯れの原因にもなります。


塩素(Cl)

光合成をする際に必要で、無いと光が当たっても光合成をする事ができません。

塩素が多過ぎる場合、根が枯れます。

逆に少ない場合は、葉の先端から枯れていき、最終的には青銅色に壊死します。


ニッケル(Ni)

尿素を分解しアンモニアにする酵素(ウレアーゼ)の構成物質です。

ニッケルが多過ぎる場合、新葉が展開時からクロロシス症状が見られ、小型化し、次第にクロロシス内に赤い斑点が生じます。

逆に少ない場合は、葉が黄色くなり、次第に白くなり枯れてしまいます。

日本の土壌は重金属濃度が高いので、ニッケルは過剰症状が出やすいです。

逆に欠乏はあまり見られません。


これらの微量要素が全て入っているわけでは無いですが(塩素、ニッケルが入っておらず、マグネシウム、ケイ素が入っている)

微量要素8という肥料が販売されています。

微量要素欠乏症予防に一つ持っておくと便利です。


また、アルカリ性土壌になると吸収が阻害される元素が多いので、石灰やカルシウム肥料を与えた場合には、期間を開けてから微量要素肥料を使うことをオススメします。


P.S. ピンク色のブルーベリーフロリダローズまもなく収穫開始です。