歯医者 | 書きたい時に書きたい事だけを書き殴るブログ 〜筆者:長濱裕基〜

書きたい時に書きたい事だけを書き殴るブログ 〜筆者:長濱裕基〜

ブログ初心者が書きたい時に書きたい事だけ書き殴り続けた先に何が待っているのか。知識は皆無。注意は散漫。方向性は迷子。さて何を書こうか。

皆様、どうもお疲れ様です。

最近音楽に関連する話ばかりなので、たまには音楽以外の話でも。

 

と言いつつ、今何にハマっているかと言われても何もないです。

 

なので「歯医者の話」でもしようかと。

 

Facebookで書いた話なんですが。

 

それに少し色つけて。

 

駄文確定なので、脳の上澄みで読んでみてください。

 

 

 

 

【歯医者】

 

ここ一年、毎月歯医者に通っている。

理由は特別なものではなく、虫歯だからだ。

 

 

自慢ではないが、僕は歯医者に行くのが物凄く嫌いだ。

もう痛いとか、辛いとか、そういうレベルの話じゃない。生理的に無理だ。

 

 

子供の頃に経験しなかっただろうか。

黒板を引っ掻いた音。

あの生理的に虫唾が走る感じ。

 

 

僕にとって歯医者とは、そういった生理的に受け付けないものの類である。

 

 

もし

「明日短パン一枚で一日過ごすんなら歯医者行かなくていいよ」

と言われたら、

僕はこの寒空の下、短パン一枚で歓喜の舞を踊りながら1日を過ごすだろう。

 

 

だが放置もできないので、渋々通う。

僕はM-1で優勝してない。

錦鯉の長谷川さんのように賞金があるわけじゃないから、歯がなくなればそれで終わりなのだ。

 

 

歯と髪は、いつかはさよならするお友達だと思ってる。

ならばできるだけ長くそばにいてほしい。

 

 

そんなことを思いながら、仕事帰りに歯医者に向かう。

 

 

歯医者の受付はいつ来ても大変綺麗な空間が広がっている。

僕が昼食でよく行く中華料理屋の床みたいな所はどこにもない。

清潔さは大切だが、ここまで綺麗だと逃げ場がない。

 

 

中華料理屋はなんというか優しさがある。

最悪お金足りなかったら皿洗いすれば勘弁してくれそうだ。

 

 

ただ歯医者にはない。この徹底した綺麗さは、裏を返せば

僕らの濁った心の住処を用意してはくれないという事だと感じている。

 

 

歯医者は予約を取っても、少し待ち時間がある。

「早くしてくれ」「時間よ止まれ」の両価性の感情が揺れる中、

名前を呼ばれて椅子に向かう。

 

 

まず最初にうがいをさせられ、

(僕はこれを「最後の晩餐」と勝手に名付けている)

 

 

椅子に深く腰掛けると、タオルで目元を隠してもらい、

(僕はこれを「死刑執行前の目隠し」と密かに呼んでいる)

 

 

「痛かったら言ってくださいね」という謎のおまじないを教えられて、始まる。

(僕はこれは「叫んでも誰も来やしねぇよ!」と同じ意味だと思っている)

 

 

そして執行の時となる。

口を開け、何にも抵抗出来ないまま、口の中を治療される。

 

 

それがドリルなのか何なのか、

わからないまま「確実に何かを削られてる」という嫌な感覚だけを与えられる。

 

 

視界を遮られると、器具や道具を目で確認しなくていいから恐怖心は減るのだろう。

ただ「何をされているか分からない」という恐怖心が顔を覗かせる。

そいつの方がある意味厄介だ。

 

 

無知はその恐怖を何倍にも増大させる。

それに一人で耐えなければならない恐怖。

 

 

今でこそ情報が飛び交っているから不安はないが、

今から20年前にはネットなどはほとんど普及していなかった。

 

 

そんな時、突然やってくる謎の架空請求。

ガラケーに映る

の文字。

 

 

人から感謝されて身の毛のよだつ感情を覚えたのはあれが最初で最後かもしれない。

(僕はあれを乗り切り、見事「大人の階段を昇る」ことに成功した)

 

 

ただ歯医者の怖さは、その恐怖心だけではない。

 

 

最も恐ろしいのは、

「これがいつ終わるのか」

僕には全く分からないことだ。

 

 

人は目標があるから頑張れる。

ゴールがあるからペース配分もできる。

 

 

愛読書「HUNTER×HUNTER」の中には、

ハンター試験の一部に、

「試験官のハンターに走ってついて行く」と言う試験がある。

 

 

試験官は行き先を伝えず、ただひたすら何時間も走り続けている。

ハンター試験者たちは、いつ終わるか分からない闇のマラソンを続けることになる。

 

 

いつ終わるか分からないのは、想像を絶する恐怖なのだ。

 

 

 

 

 

あれからどれくらい時間が経過しただろうか。

 

 

 

永遠のような、一瞬のような、

歪んだ時空に取り残されたような気持ちになる。

 

 

僕は、自分が正常を保つにはどうしたらいいか考えた。

 

 

目は見えない。

 

 

聴こえるのは轟音。

 

 

口や手は使えないし、歯科独特の匂いに包まれる。

 

 

いつもは何不自由なく機能している五感が全て働いていない。

まさにシャカから「天舞宝輪」を食らった気分だ。

(シャカとは違い、こっちは一気に五感を失うのでそれ以上かもしれない)

 

 

五感のほとんどを封じ込まれた僕にできること。

 

 

たった一つだけあった。

それは「妄想」だ。

 

 

僕は仕事柄、「妄想」といわれる精神症状についての知識がある。

所謂「ありえないことを思い浮かべる」ということなのだが、

 

 

時として、妄想は現実になることがある。

もう少し丁寧に説明すると、

「妄想を現実だと思い込むことは可能である」ということだ。

 

 

だから僕は自分の想像力をフルに用いて、

ありったけの妄想を展開した。

 

 

〜妄想準備〜

 

目隠ししているから、分からないだけで、

 

 

もしかすると今治療している歯科医師は、

 

 

水着で治療してくれているのではないか!?

 

 

そしてここは歯医者ではなく、

 

 

常夏の楽園なのではないか!?

 

 

 

 

〜妄想開始〜

 

 

一面に広がるエメラルドグリーンの海

 

 

雲ひとつなく透き通るブルーの空

 

 

そこかしこで香る、甘いココナッツミルクの匂い、

 

 

ビーチサイドではラジオから流れる、小洒落たBGMが流れている。

 

 

僕は日焼けを嫌がり、ビーチパラソルの下でトロピカルフルーツのカクテルを飲んでいる。

 

 

昼に食べたパイナップル入りのハンバーガーは大きかったなぁ。

さすがアメリカナイズされたハンバーガーだ。

 

 

夕暮れ時のサンセットビーチは、さぞかし綺麗だろうな。

そんなことを考えながら、今日の夕食の時間を確認する。

 

 

常夏の楽園で、何もすることなく、ただただボーッとする。

 

 

これこそがバカンスだ。

時の流れがゆっくりと過ぎていく。

焦ることなく、のんびり、ゆっくり。

 

 

 

 

そんな眩い妄想の世界を堪能しながら、

 

 

 

 

僕の歯医者治療は終了した。

 

 

 

 

勝った。

 

 

僕は恐怖に打ち勝つことができた。

 

 

人は、妄想の力で、

 

 

どこまでも強くなれるのだ。

 

 

 

 

そして帰りの受付、

 

 

「次回の予定なのですが…」

 

 

どうやら僕の地獄はまだ終わらないらしい。

 

 

悲しい思いを抱え、

 

 

かすかに残る妄想のかけらを慈しむように、

 

 

コンビニでタピオカ入りミルクティーを購入し、

 

 

冬空の下、家路を急いだ。

 

 

 

〜完〜

 

 

 

 

といった文章でした。

 

 

いやぁ、改めて見ると本当になんの中身もないですね。

 

 

あ、僕は歯医者に行くのは本当に大嫌いですが、

 

 

歯医者にいる人たちには感謝しかありません。

 

 

いつも丁寧に治療してくださり、ありがとうございます。

 

 

とりあえず歯がなくなるのだけは避けたいので、

 

 

ブーたれず、最後まで通い切ります!

 

 

 

駄文読んでいただき、ありがとうございました。