成年後見制度とは

 

認知症、知的障害、精神障害などによって判断能力が十分ではない方を保護するための制度です。

 

区分

対象者

援助者

補助

判断能力が不十分な人

補助人(監督人を選任することがある)

保佐

判断能力が著しく不十分な人

保佐人(監督人を選任することがある)

後見

判断能力が欠けているのが通常の状態の人

成年後見人(監督人を選任することがある)

任意後見

本人の判断能力が不十分になったときに、本人があらかじめ結んでおいた任意後見契約にしたがって、任意後見人が本人を援助する制度です。家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときから、その契約の効力が生じます。

 

裁判所HPより

 

【事の起こり】

 

 2016年に、成年後見制度の補助開始の申立(※本人申立)により、両親に対して、弁護士が財産管理補助人として、社会福祉士が、身上監護補助人として着任しました。 

 当時両親の認知力は、長谷川式簡易知能評価スケール(以下HDS-Rといいます)で,30点満点中30点と26点でした。

後に両親宅で発見した申立書によると、権利擁護事業の「生活費のお届けサービス申込」がきっかけで、「後見申し込みの相談に来た」として記録されていました。そこから後見制度に取り込まれてしまったことが判明しました。

 

※HDS-Rの指標によれば、20点以下が認知症の疑いが高いと判定されています。 

この指標によれば、そもそも、両親は認知症ではなく、補助人申立そのものが、かなり無謀なものであったと考えらます。

 

【補助人就任後に起きたこと】

 

⑴   就任後、補助人らは、私達夫婦が両親から渡された過去の清算金(実家改築費用など)を搾取である、として異議を唱え、返還しないのであれば、不当利得返還訴訟を起こすと通知してきました。(2016年11月)そこで私達夫婦は、弁護士を探して調停を申立てましたが、折り合えず、結局補助人らは1年3ヶ月に亘る調停を、不成立にしました。(2018年12月)

 

⑵  そして色々と調べると、驚いた事に、自分達の調停代理人弁護士と補助人の弁護士が、密かに裏で繋がっている仲間であったということも分かってきました。

 

⑶  さらに両親は、補助人への報酬として毎月合計8万円(二人分)と、その他経費を取られていることにも不満を募らせました。

 

 【補助取り消し審判の申し立て】

 

私達は、両親の「制度から抜けたい」との願いを実現するために、裁判所に対して両親の自署の上申書を出し、補助取消の申立てを申請をしました。(民法第18条第3項 補助開始の審判等の取消し)

すると、裁判所は、「裁判所指定の精神科医」を受診して審判をすることになる、と連絡してきました。

 

 【鑑定結果と補助取り消しまで】

 

 実際に精神鑑定をすると、その裁判所指定の精神科医は、「こんな人が何でこの制度に入ったの?」と不思議がっていました。
実際、認知症でもなかったのに、制度を利用させられたのでした。(HDS-R30点と26点)

 結局、その指定医の鑑定を基に両親は後見制度から抜け出ることが出来ました。

両親の後見制度からの脱出は、私達家族の住む滋賀では初めてのケースだったようです。(2018年11月)

 

【後見制度脱出後に判明した運用の実態】

 

⑴   制度から脱出するには、高額の鑑定費用がかかります。(16万円/2名)

⑵   また、利用開始から成年後見制度から脱出するまでの2年間で、補助人への報酬などとして、両親の資産から、約200万円が支払わされていました。

 にもかかわらず、補助人が確定申告の手続きなどをしていなかったために、40万円の損失が発生。

⑶   申し立てにおける、権利擁護支援センター職員の強引な加入圧力。市の職員と弁護士の癒着。

⑷   文書の開示請求をして、地域包括支援センター職員の作成した偽造文書が補助人弁護士に渡されていたことも判りました。

⑸   さらに市職員が医師に後見用診断書を頼んだことなど、一丸となって制度加入を勧めていたことが判明。

 

【後見制度を抜け出た家族としての実感 】

 

この後見制度を利用させられて両親は、子供達との信頼関係を損ない、親戚や地域の方々との付き合いも薄らいでしまいました。親、兄弟姉妹、親戚縁者で誰も得した者はいません。

 後見制度は、士業が儲かっただけの制度。親の財産を合法的に搾取する制度でした。

          以上(2015年~2018年頃の出来事)

 

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1【 必ず公正証書によらなければならない】

 

任意後見契約は、本人が契約締結能力のあるうちに、自ら選んだ受任者と「公正証書」にて契約をしておく必要があります。

(任意後見に関する法律第3条:以下任意後見法といいます)

また、契約内容に無い事項は行えないので、注意が必要です。

法定後見人との大きな違いは、本人行為の「取消権」が無いことです。

 

2【任意後見申し立て手続き】

 

任意後見は、本人、受任者または、本人、4親等以内の親族が申立てをして、裁判所によって任意後見監督人(以下監督人と言います)が選任されなければ開始されません。さらに監督人の選任は家裁の権限で行われ、審判後に申立人が異議を唱えることはできません。

 

3【監督人の報酬について】

 

任意後見監督人には必ず報酬が発生し、本人負担となります。報酬額は裁判所が決定します。すなわち、本人は、任意後見人と監督人双方への報酬を負担することになります。(※任意後見人については無報酬での契約も可能ですが、親族以外では有償となるのが一般的です)

 

4【裁判所への報告は監督人が行う】

 

任意後見事務報告書は、任意後見人が、直接裁判所に行うものではなく、監督人に提出することが義務づけられています。  その後「監督事務報告」によって「監督人が裁判所へ報告をあげる」仕組みになっています。また、同報告書は、任意後見人や親族にはほとんど開示されることはありません。そのため、報告内容は監督人の主観に依拠することとなります。

 

5【監督人の広範な裁量権】

 

前述4 のとおり、任意後見においては、監督人の裁量権が強く、事実上監督人の意向に従うよう、要請されます。また、「監督人の意思=被後見人の意思」とされる傾向があり、任意後見人が託されていた本人の意向が、反映されないことも往々にしてあります。

さらに、任意後見人が親族の場合、監督人から、高圧的な態度や指示の強要等により、人権侵害を受けることがままあります。そのため、監督人との直接連絡を避けて、自己負担で弁護士を雇う親族任意後見人もいるほどです。

任意後見を含む後見制度においては、「法の下の平等(日本国憲法14条)」が、実行されていないのです。

 

6【法定後見開始を誘引する危険】

 

さらに、監督人には法定後見開始の申立権があり(任意後見法第10条2項)任意後見を開始することで、期せずして「法定後見」を誘引してしまう場合があります。

 

例1)任意後見人が就任後、監督人から「法定後見」への変更を要請される(→この場合、監督人がスライドして法定後見人になる可能性が高い)

 

例2)任意後見人が就任後、監督人と意見対立した場合に、本人の利益のために特に必要があるとして法定後見を申し立てられる(→監督人或いは他の弁護士等が法定後見人になる)

 

7【苦情相談窓口が無い】

 

後見類型と同様、監督人の強権的な業務遂行に異議を唱えようにも、有効な苦情窓口はありません。

 

 

8【一度開始したら後見制度から抜けられない】

 

 任意後見は、法定後見を回避する事前対策にはなりますが、一旦発行すれば、法定後見同様、後見制度から抜けることはできず、本人及び任意後見人は事実上、監督人の支配下に置かれ続けます。

 

9【相続人以外の第三者による任意後見受任の問題】

 

 上記1~8では、主に親族が任意後見人を受任した場合の問題点をあげました。

最後に、近年、第三者機関による任意後見推進の動きがありますが、相続人以外の第三者(知人・士業・その他事業体)との任意後見契約については慎重にして頂きたいとお伝えします。その理由として

 

⑴   まず、前述1-8の通り、任意後見業務の遂行においては、監督人の意向に拘束され、最終的には監督人の意思=被後見人の意思となります。そのため、実際に本人の意思を実現できるかどうかは、「監督人次第」です。

 

⑵   さらに、第三者と任意後見契約をすることは、「他人に自身の意思・財産を支配される」という点で、法定後見と同様の問題を抱えることになるからです。

 

この点につき、任意後見事業を推進する事業体や士業は、告知していないので、注意が必要です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

成年後見制度をご存知でしょうか】

  • 聞いたことはあるが、具体的な内容は知らない
  • 認知症の人が使う制度らしいが、実際に利用してる人は身近にはいない・・等々 ほとんどの人にとって、あまり馴染みのない制度ではないでしょうか?   
  • けれども、病気(認知症・知的障害・精神障害)や事故等で「事理弁識能力」が衰えると、 誰でも利用を促される可能性はあるのです。(「成年後見制度利用促進計画」は閣議決定されています。)                                                                                            

 

【「後見被害者の会」のきっかけ】

  • 私達は、たまたま家族がこの制度を利用することになって、予想もしなかった事態(被害)に見舞われました。  
  • しかし、運用改善を求めて訴えようにも、利用者の声に耳を傾け、動いてもらえる相談先はありませんでした。
  • そうした経緯から、利用者の立場で、成年後見制度の問題点や改善についての声をあげていく為に、この会を立ち上げました。
      ※但し個別事案解決の為の会ではありません