スキャバーズはいつも愛を求めている。なぜならサウザーだからだ。



彼は最近テーブルに昇格した。うちの事務所ではまずは車輪付きチェアーに簡易的なテーブルをつけてご飯を食べることになっている。
その後活躍が認められると、晴れてロビーに二つある4人がけのテーブルで食事が出来るようになる。


つまりはロビーの8強がテーブル食となる。(更にその上の部屋食という強者がいることを彼らは知らない。)








激戦を勝ち抜きスキャバーズはテーブル食に昇格したわけだが、彼は暇さえあれば愛を求めさまよってしまう。そのためテーブルから離れないように見守る必要がある。


 うちの事務所は食事が終わった候補生からお部屋に送迎するわけだがスキャバーズはそうはいかない。食事が終わっても部屋には戻れない。彼はプリズンブレイク顔負けの脱出テクを持っているためである。








ベッドで寝ている
くらいなら
愛を探しに
プリズンブレイク。






これが彼のモットーである。













 説明が長くなってしまったが、そんなわけで彼は食後にロビーで一人になることが多い。



ある日、彼がお腹を抱えてもぞもぞしていた。


もしや…腹痛!?


私はあわてて彼に話しかけた。






ごぼう「どうしたの?スキャバーズ!?大丈夫?」


スキャ「んん~?」






彼は浴衣の紐をはずしていた。白くて柔らかそうな彼の肌が、乱れた服のせいで露わになっている。彼はいつも通りの笑顔で微笑んでいた。


ごぼう「どうしたの?暑い?」



スキャ「んん~? ま~だ早い?」








スキャバーズは脱ぎ続ける。



ごぼう「ここだとみんなが見てて恥ずかしいから後にしようよ!!」



スキャ「そ~かそ~か。 恥ずかしいのか。」









しかし、止まらない。

もう肩まで脱ぎ、花魁のような色気を出しながら左後ろに立つ私を肩越しに上目づかいかつ流し目でみている。















彼の底が見えない。

愛に生きるとそこまでの域に達するのか。


男らしさと女らしさを兼ね備え、すべてを愛の虜にしてしまうのか。



口元が寂しい時にタバコを吸うように、手元が寂しいと紐をはずさずにはいられなくなるのか。







        愛… 深い…








そんなことを考えている間に彼は遠山の金さんのように片腕を脱ぎ終わっていた。




ごぼう「ほら。服着るよ!!」


スキャ「おぉ~。 着せてくれるのか。 ありがたいね~。」






ある程度着せたところでスキャバーズは紐を持ち、私の前に差し出した。




ごぼう「結べる?」




スキャバーズは動こうとしない。



ごぼう「結ぼうか? 自分でできる?」







スキャバーズは微動だにせず、真剣な顔をしてゆっくり口を開いた。










無器用だから…。






私は彼の持つ、恋愛テクがうらやましくて仕方がない。

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今日も私は早出だ。

最近のVIPはだいぶ減って、今はピグモンとドビーぐらいである。

あんなにダイエットに熱心だったピグモンだが、最近は「痩せていればいいというわけではない」という男心に気づいたらしく、しっかりご飯を食べるようになった。



ピグモンは食事のためにベッドから起こすときもVIP待遇である。二人がかりで彼女を抱きかかえ、これまたVIPな車輪付きのリクライニングチェアーに寝かせる。







さあ、もうすぐご飯の準備ができるのでピグモンを起こそう。



ピグモンはまぶしいのが苦手で、いつも手ぬぐいを目の上に載せて天敵のUVをカットしている。





ごぼう「ピグモ~ン!起きるよ~ドキドキ」(手ぬぐいを取る)


ピグモン「あらぁ~ドキドキば~あドキドキ


今日は朝からすこぶる機嫌がいいようだ。


手ぬぐいをピグモンの目の上に戻してもう一回とる。





ピグモン「ば~ぁドキドキ




さらにもう一回。




ピグモン「ば~あドキドキ











絶好調だ。





ごぼう「ご飯だよ~」


ピグモン「ぷぷぎぃ~?」


ごぼう「ご・は・ん!」


ピグモン「あぁ、晩ご飯ねニコニコ












朝ご飯である。




ごぼう「朝ご飯だよ~。じゃあ首にこれつけるね!」



ピグモンには首に付ける、ピグモン専用アイテム『首グラグラフセーグ』がある。その名の通り、ピグモンのか弱い首に抜群の安定感をもたらすものである。

しかし、彼女の美的センスがこれを拒む。




ピグモン「それ、いらない。」



ごぼう「えっ?」



ピグモン「それ、い・ら・な・いドキドキ










チクショウ・・・可愛い。

しかし、私も食い下がる。



ごぼう「これはピグモンだけの特別なやつなんだよ?これつけると座ってても疲れないよ~?」



ピグモン「あたしだけ~?それは『いっちゃん』(ピグモンの学生時代のあだ名)がいい子だから?じゃあ付けるっドキドキドキドキ








かっ…可愛いすぎる…。


そうこうしてる間にもう一人のお手伝いさんが来てしまい、ピグモンをリクライニングチェアーへ。




ごぼう「じゃあ移るよ~!いい?・・・せ~のっ!!」




ピグモン「ぴぎぃ~~~。ぷぐぐぐぐぐ・・・」









今日も朝からなんとも愛らしい鳴き声がこだまする。














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