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皮い堪矔窑⒔窕丐讼蓼盲谱苑证韦饯肖螂xれたのは、狭霧のそばについて、慰めるためだったと。父親らしい真似ができない自分の代わりに、狭霧をここまで立ち直らせていたのだと――。

「悪かった、狭霧――」

 狭霧の肩を抱いてうなだれているうちに、妻を失った悲しみとは、べつの涙がこみ上げた。

 娘の前では涙を見せるまいと、穴持は安曇を探して、命じた。

「安曇、頼む。狭霧を、雲宮に戻せ――」

「――はい。それで……」

 安曇は従順にうなずくが、主をじっと見つめる目は、緊張していた。

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 その不安げな目と目を合わせて、穴持は微笑んだ。

 長い付き合いのある部下の考えることなど、手に取るようにわかった。狭霧を連れてきたのは、安曇にとって、主を立ち直らせるための大きな賭けだったろう。

(賭けは、おまえの勝ちだよ。いつも通り、おまえの勝ちだ――)

 そういうことがすっと浮かぶほど頭が冴えていることにも、穴持は安堵した。

「後で、おれも戻る。上からの景色をもう少し眺めたら、戻る」

 自分を気遣う安曇を宥めようと、「もう大丈夫だ、安心しろ」と目配せを送ることも、穴持は忘れなかった。

「はい――」
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 安曇が、眉根をひそめて微笑んだ。

 そして、それ以上は言葉を交わすことなく、安曇は再び狭霧を背負い、梯子を伝って下りていった。



 
 再び一人になった高殿から、穴持は国土を見渡した。

 東の果てから西の果てまで続くなだらかな海岸線に、出雲一の軍港、神戸(かんど)に、雲宮の敷地の中にそびえ立ついくつもの大屋根に、彼方に見える宍道(しんじ)の水海(みずうみ)。そして、出雲の尾根となる山々の稜線に、国土を囲む青々とした海原――。

(大地だ――おれは、武王。この出雲の、大地の守り神だ――)

 士気と呼べるものは、まだ思い出せなかった。だが、きっと今に思い出せると、自分を信じることはできるようになっていた。

(そういえば、須佐乃男がいっていたな。男が最後に得る牙は、自分一人では生やすことができないのだと。誰か、守るべき者が現れた時に、初めて得られるのだと――。男の牙、か――)

 天を見上げて、海の果てを見つめて、そして、山々を見渡して――。大地の至るところへ向かって、穴持は亡き妻に語りかけた。

(須勢理、おまえが今、どこにいるのかわからないが――おれは、おまえのために生きるよ。おまえの代わりに狭霧を守り、出雲を守る。ここで血と泥にまみれて生きるおれを、見守れ――)





 全てのものをざっと茜色に包みこむような、美しい夕焼け空が広がっていた。

 岬の高殿の頂きで、まだ大国主はごろりと横になっていた。

 茜色に染まる天をぼんやりと見上げて、ぽつりとつぶやいた。

「日が暮れるな」

 応えた安曇も、壁際で肘をついて寝転んでいた。

「ええ。いったい、いつまでここにいるつもりですか」

 呆れたようないい方だったので、大国主は六年前の記憶をたどって、嫌味をいった。

「おまえは、帰らんのか。役に立たないおれの代わりに、雲宮ですることがたんまりあるんだろう?」

 安曇は、寂しげに笑った。

「いえ――。あの時の私の役目は、あなたの代わりに、狭霧の父親役を務めることでした。でも、もう――。今、狭霧に父親は要りません。あの子は、私より、高比古といたいと望むでしょう」

「高比古と?」

 はん、と大国主は鼻で笑った。

「なんだ、おまえも用済みか」

「ええ、あなたと同じく」

 安曇は、苦笑した。

「なら、どうする。ここで、このまま過ごすか」

「たまには、こういう晩もいいでしょう。せっかくですから、酒でも