Life in the Lone Star State -80ページ目

シンジケートローン契約 (Vol.12)

第12回は、期限前弁済についてです。

期限前弁済とは、あらかじめ契約で定められた弁済期日が到来する前に、貸付債権の元本を弁済することを言いますが、これには、任意期限前弁済と強制期限前弁済の二種類があります。

任意期限前弁済(voluntary prepayments)とは、借入人の申し出に基づき期限到来前に貸付債権が弁済されることを意味します。

NY法上、貸付債権を期限前に弁済するには貸付人の同意が必要という判例があり、この判例によれば同意なしに借入人が期限前弁済をすることは、契約違反にあたると解釈されるようです。

この点、日本の民法上はどう考えるかというと、金銭消費貸借における弁済期日の合意は、借入人が有する期限の利益ですから、原則これを放棄するのは自由です。ただし、相手方の利益を害することはできない(民法136条第2項)とされていますので、(契約上の合意がない場合)任意期限前弁済は可能だが、利息付の消費貸借であれば期限までの利息を付けて返さなければならないということになります(内田貴「民法Ⅱ」参照)。

日米双方とも、実務上はシンジケートローン契約では任意期限前弁済を許容する規定が設けられているのが通常です。規定されている内容は、①期限前弁済を行う手続きのフロー(借入人の通知→エージェントから貸付人への通知→弁済)、②充当のルール(約定弁済が分割弁済の場合にどこから充当するか、複数のトランシェがある場合の充当)、③Breakfunding Costの支払義務といったところです。

なお、借入人がいったん期限前弁済の通知を行った場合は、各貸付人はそれを受けて新たな運用先を探し始めることになるので、撤回不能と明記されている場合が多いと思います。

次に強制期限前弁済ですが、これは契約に定める一定の事由が発生した場合に、借入人が期限を繰り上げて貸付債務の弁済を行わなければならないというものです。

一般的によく規定される強制期限前弁済事由として、

①Revolving Clean Down
②Borrowing Base
③Asset Sales
④Casualty Events
⑤Debt/ Equity Issuance
⑥Excess Cash Flow/ Cash Sweep
⑦Change of Control
⑧Currency Adjustments in Multicurrency Deals

の8つがLSTAでは紹介されています。

各項目の詳細については次回以降ということで。