Life in the Lone Star State -67ページ目

シンジケートローン契約 (Vol.17)

第17回はMultiple Borrowersです。Multicurrency の回でも触れたと思いますので一部重複になりますが、改めて書いておきます。

シンジケートローンでは貸付人は複数ですが、借入人は通常1つのentityです。ところが、複数のentityが借入人になる場合があり、それがMultiple Borrowersと呼ばれるストラクチャーです。これらの借入人は親子会社であったり、兄弟会社であったり、資本関係があるのが通常です。

こちらでよく見られるスキームに、当初の借入人は1つのentityですが、ローン契約のなかでQualified Borrowerという定義語を置いて(借入人が過半数のコントロールを有しているentity等と定義されます。)、借入人が将来子会社を設立した場合に、当該子会社もQualified Borrowerとしてそのローン契約に基づき融資を受けることができるというものがあります。主に不動産投資案件でファンドが最初に借入人となるSPVを1つ作り、その後投資対象不動産ごと(または投資対象地域ごと)に借入人の下にSPVを次々ぶら下げていき、そこに直接金融機関から資金を流してもらうというイメージです。ローン契約の当事者を事後的に追加していくようなイメージで、契約の建付け上はテクニカルな工夫が必要ですが、これも一種のMultiple Borrowers型のローンです。

Multiple Borrowersの特徴としては、借入人ごとに個別に融資枠が定められているのではなく、借入人全体での融資枠が設定されているのが通常で、いずれかの借入人が借りた金額については、他の全ての借入人が連帯して保証するという構造になっています。そうすることで、貸付人は子会社のクレジットリスクを逐一考えなくとも、親会社である借入人本体のクレジットリスクだけを計って融資を行うことができることになります。