Life in the Lone Star State -68ページ目

シンジケートローン契約 (Vol.16)

第16回は期限前弁済に関するその他の論点についてです。

第一に充当の問題があります。期限前弁済により債務の一部の弁済がなされた場合、その弁済額をどの貸付債権に充当するかという点が問題になります。個別の案件毎に違いますが、複数のトランシェがある場合、

①タームローン
②リボルビングクレジットファシリティ

の順に充当するのが通常のようです。①と②に関して、それぞれ複数のトランシェがある場合には、プロラタで充当します。②は日々の運転資金として使われることが多いので、①に比べて流動性の高い資金であることから、借入人としては、先に①に充当してもらった方が好きに使える資金が手元に多く残って便利ということだと思います。

借入人としては、個別の場合ごとにどの債権に充当するか指定することができればベストでしょうが、さすがにそれでは貸付人側が困る場合も出てくるので、実務上はこの主張はなかなか通らないようです。

第二に、期限前弁済のOPT OUTSについてです。一定の強制期限前弁済事由が発生した場合、または借入人からの期限前弁済の申し出があった場合に、貸付人がその受領を拒むことができるかどうかという問題です。

この点、社債の場合には期限前償還というのは社債権者のオプションであって償還事由が発生しても社債権者がそのオプションを行使するかどうかは自由だそうです。(日本の場合でもそれが一般的かどうかはちょっと分かりません。)他方、ローンの場合、貸付人に期限前弁済の受領を拒む権利は通常付与されていません。借入人としては余剰資金がある場合には金利の高い債務を早く返済したいわけで、また貸付人としてもその際にBreakfunding Costを受け取ればそれで十分という考え方なのだと思います。

第三に、Prepayment Premiumの問題です。期限前弁済を行う場合に、一定のPremiumを課すかどうかという点ですが、上述のとおりBreakfunding Costのみとするのが通常です。ただし、例外的にprepayment premiumの支払い義務が定められるケースもあるようで、それは「リファイナンス」によって既存のローンの期限前弁済を行う場合に一定のPremiumを課すケースです。Premiumを課すことによって、借入人によるファイナンサーの乗換えを牽制する目的だと思われます。ちなみに、このような場合にのみPremiumを課すと考え方を “soft-call”と言うそうです。