Life in the Lone Star State -26ページ目

シンジケートローン契約(Vol.31)

少し時間があいてしまいましたが、第31回は表明保証の(v)No Conflictについてです。

これは、融資契約を締結することが①借入人に適用される一切の法令、②借入人の定款その他内部規則、及び③借入人が既に締結している契約等に抵触しないということの表明保証です。

融資契約が①又は②に抵触する場合には、当該融資契約のEnforceabilityに疑義が生じる(又は契約自体が無効になる)ことになりますので、この表明保証は必須です。

③の他の契約との抵触がある場合ですが、最もありうるケースは、既存の融資契約のなかで追加借入の禁止条項が規定されている場合です。仮にこの場合に、新たに融資契約を締結し、それに基づく融資の実行がなされた場合、既存の融資契約のコベナンツ違反ということになり、デフォルト事由が発生することになります。そうすると、他の契約上のデフォルトは、通常、融資契約上の期限の利益喪失事由としても規定されていますので(クロスデフォルト条項)、結果的に新しく締結した融資契約上もデフォルトが生じるということになります。このことから、③の表明保証についても必須ということになります。

また、③の表明保証を取るもう一つの意味として、以下のリスクを避けるという意味があると述べられています。

すなわち、ある貸付人が、既存の融資契約上追加借入禁止条項が規定されていることを認識しながら新たに融資契約を締結して借入人に対して融資を行った場合、intentional interference with contractual relationsという不法行為のカテゴリーに該当し、当該貸付人が既存の融資契約上の貸付人に対して不法行為責任を負う可能性があるというものです。

判例によれば、この不法行為の構成要件は、
(a) The existence of a valid contract between the plaintiff and a third party
(b) Defendant’s knowledge of that contract
(c) Defendant’s intentional procurement of the third party’s breach of the contract without justification
(d) Actual breach of the contract
(e) Damages resulting from the breach

の5つとされています(NY Barでこんな話やったような気がしますがすっかり忘れてしまいました。)

そしてこの③の表明保証を借入人から要求しておけば、上記(b)と(c)の点に関しては、要件を満たしていないと主張する根拠になるということがこちらの判例では認められているようです。

日本では、仮にこの表明保証を取っていなかった場合に、新規貸付行為が既存契約の貸付人との関係で不法行為になるかと言われると微妙なところだと思います。これは第三者による債権侵害の問題になりますが、日本法の話は次回に。