Life in the Lone Star State -158ページ目

Bar Examについて

今日は、日米の司法試験(Bar Exam)制度について書いてみたいと思います。


日本でも数年前からロースクール制度が導入されましたが、これはアメリカの法曹養成制度を模倣したものです。アメリカでは4年生の大学を卒業後、ロースクールで3年間法律を学び、5月に卒業、その後7月末にあるBar Examを受験し、法曹資格を取得します。仕事の開始はその年の9月からが一般的なようですが、その場合、合格発表までの2ヶ月程度は、法曹資格を有しないままTraineeのような形で事務所で勤務をするということになるようです。


こちらのBar Examは州ごとに受験しなければなりません。ロースクールでの3年間の法学教育を受けたアメリカ人はJDという学位を取得しますが、彼らは基本的に50州どこのBar Examでも受ける資格があります。どこの州のBarを取るかは、自分が将来どこで仕事をするかによって決めます。日程が重なっていなければ複数の州のBar Examを受験することも可能です。例えば、最初はNY州で仕事をするが、将来的には出身地のNC州に戻って仕事がしたいというような場合には、あらかじめ2つの州のBarを取得しておくということもあるのかもしれません。こちらはBar Examが1年に2回(2月と7月)ありますので、スケジュール次第ですが、1年で2つ又はそれ以上のBarを取得することも可能なようです。


さて、次に合格率ですが、2008年7月のBarの結果を見ると、NY州で74.7%(http://www.nybarexam.org/Press/1108%20press%20release.pdf )、比較的難しいと言われているCA州で61.7%(http://www.calbar.ca.gov/calbar/pdfs/admissions/Statistics/JULY2008STATS.pdf )という感じです。ちなみにTX州でも7割強程度のようです。この割合は非常に高い数字で、全米の上位のロースクールを卒業したJDについては、9割以上の人が合格しているようで、彼らにとってはロースクールの卒業=法曹資格の取得という認識に近いのではないかと思います。


それに対して日本では新たに導入された新司法試験の合格率は3割強(2008年)しかありません。下位校にあっては1人も合格者がでないというようなロースクールも見受けられます。この合格率の低さの原因の1つは各大学がロースクールを乱立したということがあるかもしれませんが、この合格率では現在仕事を持っている人がその仕事を辞めてまでロースクールに入って法曹になろうという気にはなかなかならないでしょう。様々な分野の優秀な人材を法曹界に引き入れるという当初の新司法試験制度の目的がこれでは実現できていないのではないでしょうか。まあ、旧司法試験時代の合格率が2%程度だったことを考えると、合格率は劇的に増加していることは間違いありませんし、つい最近まで合格者1000人時代だったのが、現在は2000人を超えているわけですから、あまり急に数を増やしても需給関係が歪むだけですし、改革の幅としてはMAXなのかもしれません。ただ、今までと比べて特段優秀な人材が流入してきていないのにもかかわらず、合格者だけが増えているとしたら、それは法曹の質の低下を招いているということですから、それは社会にとってあまり望ましいことではないわけです。人数の増加に伴う質の低下をロースクールによる法学教育によって補うことができているということであれば改革としては成功ということになるでしょうが、その結果はもう少し待ってみないと分からなさそうですね。


では今日はこの辺で。