Life in the Lone Star State -106ページ目

債権法の改正(Vol.3)

第3回は債権総論の債権の消滅に関する規定です。

17. 第三者弁済

弁済をする正当な利益を有しない者は、債務者の意思に反して弁済することはできるが、債務者に対する求償権を取得しない。現行法の「弁済ができない」とする規定よりは、柔軟な解決が図られそう。

18. 準占有者に対する弁済

「準占有者」の定義を2類型(①合理人を基準として債権者の外形を有していると判断される者と、②合理人を基準として債権者以外の者で受領権限を有するものの外形を有していると判断される者)に分けて明文化。債務者がその外形を「正当な理由」に基づいて信じた場合に、弁済として扱われる。「正当な理由」=善意無過失という趣旨か?

19. 代物弁済

現行法上、一種の要物契約的な書きぶりとなっている代物弁済を代物弁済の合意の効果と実際に代物が給付された場合の効果を書き分ける形に修正。代物弁済の合意をしただけの時点では、債権者は引き続き本来の給付の履行も併せて求めることができる。

20. 特定物の引渡し

現行法は、引渡し時点における現状有姿での引き渡し義務を定めるが、この規定を廃止。したがって、この点は契約に明記する必要あり。今の実務でもその点普通は明記するのでそれほど不都合はないか。

21. 弁済による代位

・任意代理の規定を廃止。保証人、第三取得者、物上保証人の代位の関係を明文化。(考え方は現行法・判例と基本的に同じ。)
・一部弁済の場合の一部代位については、代位権者は債権者の同意なしには権利行使できず、代位権の行使により得られた利益は債権者に劣後する旨明記。(現行法・判例と基本的に同じ。)

22. 相殺

・第三者による相殺を認める。「二人が互いに」債務を負担していない場合でも相殺を許容する。
・不法行為に基づく損害賠償請求権を受働債権とする相殺を禁止する現行法を改正し、①害意をもってする不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求権及び②生命身体に対する侵害に基づく損害賠償請求権を受働債権とする相殺を禁止すると改正。
・差押を受けた債権を受働債権とする相殺の可否についてルールを明確化。
・相殺権の濫用を明文化。

23. 更改

更改の効力発生要件として、「債務を消滅させる意思を表示」することを要求することにより、更改に該当するか否かを明確に判断できるよう改正する。旧債務に付着する担保権は別途の移転手続きを取らない限り消滅する点は現行法と同様。

24. 一人計算(いちにんけいさん)

現行法にない新しい概念。これについては次回少し詳しく記述予定。

25. 免除

現行法上は単独行為であるが、これを契約として構成する。

26. 債権時効

・現行法の債権の消滅時効制度を改正。時効により債務が消滅するという構成ではなく、債務者への履行拒絶権の付与という構成にすることを提案。
・時効期間は債権を行使できる時から10年の経過により満了。ただし、①債権の発生原因及び②債務者を知ったときから3年という主観的起算点を設け、10年経過前に「知った」場合は、知ってから3年間で満了し、10年経過後に知った場合も知ってから3年経過するまでは満了しない。
・短期消滅時効は廃止し、時効期間を原則統一する。
・生命、身体、名誉その他人格的利益に対する侵害による損害賠償請求権の時効はより長期(30年程度)にする。
・当事者間の合意により一定の範囲で債権時効の起算点と時効期間を任意に定めることを許容する。ただし、事業者・消費者間で法律の規定より消費者に不利になる場合は無効。
・時効の中断と停止という概念を、①時効期間の更新、②時効期間の進行の停止、③時効期間の満了の延期の3類型に再編。①は時効期間がリセットされ、新たな時効の進行が開始する場合、②はいったん進行した時効が停止し、一定の事由の終了後に再び再開する場合、③は一定の事由がある場合に時効期間の満了がその事由の終了または消滅のときから一定の期間が経過するまで延期される場合。

(続く)