いつも通り放課後グァンジンの家へ寄った。
グァンジンの家族はいつも夜に帰ってくるから、よりくつろいでしまう。
「なんか食べちゃわなきゃいけない食材たくさんあるんだけど夕飯食べてかない?」
「まじで!食べたい!」
グァンジンは台所で作業し始める。
冷蔵庫を眺めてる。
俺はその後ろの椅子に腰掛けて、テーブルに肘をついた。
「…今日さ、後輩がアホなことやってさ」
「ほー、何したの」
なんて他愛もない会話をする。
俺が楽しそうに話すのを、作業しながら背中で聞くグァンジン。
顔は見えないけど、一緒に笑ってるのが分かる。
________あー、なんか
この雰囲気が、ここ最近一番気に入ってる
居心地いい
くつろぎすぎて眠くなってきたから、立ち上がって台所に行く。
「なんか手伝おっか?」
「あ、じゃあヒョプはこれ切って」
「りょーかい」
すっごいナチュラルな会話。
「ほんとすごいよなグァンジンは」
「なんだよ急に…笑」
「なんでもできるよな」
「そんなことないよ」
「あるよ」
それから2人ともしばらく黙る。
「ごめんなんか気持ちわるいな」
「いや嬉しいよありがとう笑」
するとまた睡魔に襲われ始める。
「ちょ、超ウトウトしてるじゃん包丁使いながらよく眠くなれるね笑」
「ちょっと居心地よすぎた…ごめん、今日夕飯なに…」
「回鍋肉」
「そっか……」
また意識が遠のく。
「起きろー」
「起きてるよ…」
「そんな目半開きで起きてるうちに入んないよそれ」
「ん……」
朦朧とした頭で適当に返事をすると、包丁持つ俺の手に、グァンジンの手が被さる。
「起きないと、食っちゃうよ」
そのまま手を引っ張られて、覆い被さるように一瞬で壁へ押された。
揺れた目で、俺を見てる。
一気に目が覚めた。
背中には、コンクリの冷たい壁がぴったりと触れてる。
反対に、グァンジンのいる正面は、熱い。
少しだけ、驚いた。
ただ耳が熱くて、また頭がくらくらし始める。
少し驚きつつも、この状態に戸惑うことなくただ受け止めている
俺は何処かで、予期してたかもしれない
今思えば、それを望んでいたようにも思えてくる
ただ、そんな自分を受け入れるほど、まだ俺は強くなかった
怖くなったんだ
「グァンジ……」
詰まる喉を必死にこじ開け
少し枯れた声で名前を呼んだ
するとグァンジンは少し止まった後、息を吸って
俺に覆い被さっていた上体を起こすと、
「……なんてね」
そう言って笑って俺の手から包丁を優しく奪うと、
「包丁危ないだろ?」
そう言って背中を向け、元いた位置に戻る。
俺はまだ動けずにいた。
そのあと、普通に夕飯を食べて、普通に家に帰った。
会話は多分…いつも通りだったと思う。
俺はなんか起きたことの実感が沸いてなかったし、
グァンジンはいつも落ち着いてるし、
うん、多分普通だった。
ただ終始ずっと
掴まれた右手首は、熱かった