「……で、バンスコの棚はここ」
「………」
「教本はこっちね」
「………」
「左に行くほどよく売れて棚に隙間が空くから、左から整理した方が効率いいよ」
「………」
「言ってもこれは俺が勝手に思いついただけだから…」
「………」
「まぁやってくうちに慣れるよ!がんばろう!」
「………」
チャフンが入って来て2日目。
早速仕事内容とかいろいろ教えてるんだけど…
あまりにも無口すぎる…!
さすがに相づちくらいはしてもいいんじゃないか!?
うまくやっていけんのかな……
なんとなく本棚の隣の小さなCD棚に目をやる。
20枚程度のCDが並べられたその棚は、
店長や店員がオススメしたいCDを持ち寄って置くスペースとして設けられている。
相変わらず俺のお気に入りのCD売れないな………
………
………ん?
「ええ!?」
俺は思わず声を上げて驚いた。
「ちょ…サグムド売れてる!?嘘!!俺のお気に入り!!ずっと売れなかったのに!!」
サグムドとは、俺の世界一好きなスリーピースバンド。
でもちょっとマイナーで需要があまりないらしく、今までここに置かれたサグムドは、
誰の手に渡ることもなくまた俺の手元に戻ってくる。
なのに………
「あ、すいません、俺です」
背後でチャフンが軽く挙手した。
「え?」
「あ、サグムド買ったの、俺です」
「え、いつ!」
「昨日」
「なんで!」
「前に、…知り合い?の奴にサグムドのライブ連れてってもらったことあって、気になって」
「うおおおおお!まじで!?早く言ってよ!」
「すいません」
「あやまんなって!もう!もうなんだよ!嬉しいよなんだよ!」
ああ…まさかサグムド知ってる奴がバイトとして入って来るなんて嬉しすぎる……
…あれ?
そういえばチャフン喋ってる…
「君、喋れるんだね」
「はい、まぁ」
また冷めた返事に戻る。
「昨日サグムド買った後、聴いた?」
「はい」
試しにまたサグムドの話を振ってみる。
「よかった?」
そう訊くと、無言で頷くチャフン。
「どの曲が一番好き?」
「2曲目のアコギから入るやつとか……あと1曲目のサビ前が、ベースラインかっこよくて…」
「1曲目それ"I so I'm "だろ!本当かっこいいよな!!」
「正直……かなりハマる気配してます、ライブ改めて行きたいかも」
「じゃ今度行くか!!」
チャフン超わかりやすいな、
自分の興味のあることになるとすごい喋るのか
…そうして、
出会って2日目にしてなんとか
仲良く(?)なることができたのだった。