夜中に | ソーダ水の夏
風呂場の掃除をしていた。なぜだかそれが必要だという思いにかられたのだが、自分の中に理由が見つからなかった。トイレと一緒になっているユニットバスの床を拭き、置いてあるグッズを一つ一つ綺麗にして外に出す。それからシャワーで床を流して洗うとすっきりして、最後に乾拭きをした。途中、一度だけ家の電話の鳴る音がして手を止めたが、ワンコールできれたのでそのままにして、掃除を終えた。
携帯電話を見ると、この時間によくかけてくる友人で、出ると明日会おうという誘いだった。私はてっきりその子がかけたのかと思って聞くと、かけていないと言った。そんなことで嘘をつく人ではないので、他にも直前にメールをした人などに聞いてみたが誰もかけていなかった。

翌日、家を出る前に玄関から部屋を見ると、なぜだか耳の奥で、誰かが「ありがとう」と言ったような気がした。