歯医者の予約が3時だったので、2時40分くらいに電車に乗っていた時のこと。

隣の席にサラリーマンが二人、そんなに親しい間柄ではないらしく話題を探しあぐねている感じだった。


A氏「ご実家は何かしていらっしゃるんですか?」

B氏「いえ何も、もう年金暮らしですね。」(ってことは風貌からして40代後半か50代初めくらい、なんて思ったり)

A氏「うちは、農家をやってましてね、小さなお店を持っていて自家製の野菜を販売してるんですよ。」

B氏「へぇ、それはいいですね、ワインなんかも作ったりしていらっしゃるんですか?」(いきなりワインって唐突やなぁ)

A氏「いや、ワインを作るのは勝手には出来ないんで。」

B氏「あー、酒類製造免許がいるんですね、確か。」(へぇ、そうなんや)

A氏「そうです。」

B氏「この前、鹿の足を三本もらいましてね、ワインとデミグラスソースで煮込んだんですよ。」(だからワインか、と納得)

A氏「へぇ、ってことはお料理をされるんですか、すごいですね。」

B氏「皮をはいでね。」

A氏「毛が付いてたんですか?」

B氏「そうです、そうです。毛のついた皮の下に薄い皮がもう一枚あって、それがなかなかはがれなくてね。」

と、言いながらB氏はおもむろにスマートフォンを取り出して、「これなんですけどね。」とA氏に画像を見せていた。

頷きながら見入るA氏。

えー!、どんなん、どんなん、隣で二人の会話を逐一聞いていた私も〈鹿の足の煮込み料理の画像〉が見てみたかったのであった。


それにしても三本って、後の一本はどうなったんだ、そこも気になったのである。


(二人とも関東の方のようでした、会話が上品、「鹿の足って誰にもろたん?ほんで、一本はどないなったん?」なんて聞かないんですね)