11月鑑賞映画まとめ | 三つ子の魂百まで…トラウマニア

三つ子の魂百まで…トラウマニア

映画レビュー、コレクション紹介、映画や趣味全般について書いています。


『パンプキンヘッド-HDリマスター版-』
映画は見ていなくてもパンプキンヘッドは
知ってると言うくらいキャラだけが一人歩きした
スタン・ウィンストン初監督作。
街からやってきた若者の不注意により
命を落とした息子のため復讐を決意する
父親役ランス・ヘンリクセンの鬼気迫る演技と
エイリアン2のクリエイターが心血を注いだ
クリーチャーが見所。
バイクのチェーンを外してニヤニヤする怪物には苦笑を
禁じ得ないですが、表情豊かでのしのし歩き回る姿は圧巻!
子供を殺した張本人がライフル刺された程度で
絶命するのは納得いかない!もっと壮絶な死に様を
見せて欲しかった。老婆も怖いよ。
鑑賞日:11月01日 監督:スタン・ウィンストン


『96時間/リベンジ』
子離れ出来ないリーアムの執拗な監視は
ストーカーレベル!危機回避の為なら、
娘を爆弾魔に仕立て上げるし、無免許で
タクシーを運転させる鬼教官ぶりに苦笑。
そもそも人身売買をしてた息子を殺した
復讐だと中学生みたいに筋の通らない動機でリーアムを
挑発するアホ親が間抜け過ぎて説得力が無く1作目に遠く
及ばないぬるい内容。超小型携帯は使ってみたいですね!
『ドライヴ』のサントラをキムが聴いていたり、
カウントダウンシーンにも流用している所に注目。
続編とは知らず1を見てないのにいきなり映画館へ
リベンジを見に行ったのが私です(笑)
鑑賞日:11月02日 監督:オリヴィエ・メガトン

『悪魔のいけにえ 公開40周年記念版』
劇場の轟音上映には及ばないけど、
唸る電ノコと絶叫がミックスされて凄まじく
立体感のある音響。スクリーン上映とは異なり、
家庭用モニターで見るとフィルム粒子の嵐で
Blu-rayならではのシャープな味わいが素晴らしかったです。
ヒッピーもキチガイ一家も何処か憎めない愉快な
ヤツらばかりで83分があっという間。
墓場でブツブツ喋るオッサン、タイヤの側面をカットし
肘掛けにしていたの初めて気が付きました。
階段を降りて絶叫するサリーにビビるレザーフェイスや
狂気の微笑みから素に戻るコックの表情が妙にリアル。
何度見ても飽きない。
鑑賞日:11月05日 監督:トビー・フーパー

『ザ・ヤクザ』
BSジャパンのTV吹替で鑑賞。高倉健が自身の声を
吹替えた貴重な音源。熱心な健さんファンでも
このTV初放送の声はなかなか耳にした事は
ないのでは?昔は現場で音を拾わない撮影手法が
取られていたため、アフレコ経験豊富な俳優がいたけど、
英語台詞の翻訳を違和感なく堂々と当てた健さんは
不器用じゃなく大変器用な俳優さんだ。
ラストの立ち回り、天井からの俯瞰撮影は
脚本がタクシードライバーのポール・シュレーダーだからか?
タクドラのラストを彷彿とさせる。息詰まる間合いの取り方、
迫力の殺陣など日米がタッグを組んだ人間ドラマの秀作!
鑑賞日:11月06日 監督:シドニー・ポラック

『戦争のはらわた』
敵か味方かの判断も付かない戦場の恐ろしさを
まざまざと見せ付けてくれます。ドイツ軍の視点から
描いた戦争映画というのも珍しいですね。
ジェームズ・コバーンなどの名優がドイツ語じゃなく
英語で話すもんだから違和感ありまくりで
感情移入出来ませんでした。
あえて風呂に入らず仲間から「臭い」と言われる兵士や
キョトンとしていて女性みたいに美しい顔立ちの少年が
良い味出してます。女性ロシア兵といちゃついてイチモツ
噛み千切られる語り草となっているシーンは
思ったほどのインパクトは得られず。
コバーンの狂ったような高笑いが絶望感を植え付ける。
鑑賞日:11月07日 監督:サム・ペキンパー

『オーガストウォーズ』
キーヴィジュアルを見るとパシフィックリムのような
感じだけど、ガチンコな戦場を舞台に母子の脱出を
描くミリタリー・ファンタジー。初めは頼りなさ気だった
母親が紛争に巻き込まれ、元夫や恋人に裏切られるが
息子を守るため徐々に逞しくなっていく姿が見物。
多感な時期に両親が離婚し母親の恋人に不信感を抱く
息子チョーマ。戦地でたったひとり母を待ち続けながら
ロボットの空想を見る。空想しなきゃ心が折れてしまいそうな
子供の心情を戦場とロボットで融合させたアイデアが面白い。
裂けるボロバスと我が子を守る母犬の場面がお気に入り。
鑑賞日:11月08日 監督:ジャニック・ファイジエフ

『ハングオーバー!』
終始イラつかせる馬鹿3人組。ハメを外して暴走した
一夜の出来事を覚えていないなんて何処まで
お子様ランチなんだw 元凶のデブがどうしょうもない
育ちの悪さで、ドラッグを飲ませるわケツは出すわと
素行が悪すぎる。警官から防犯グッズの実験台に
される場面はスカッとしたね。甲高い声で汚い言葉を吐く
中国人やデブをノックアウトさせるマイク・タイソン等、
節操なく迷惑をかけまくる3バカを退治する脇役の方に
感情移入しちゃうとんでも二日酔いコメディ。
こういう度が過ぎたノリは苦手だわー。
鑑賞日:11月12日 監督:トッド・フィリップス

『ブリッツ』
コーヒーを一口、お菓子を一かじりするステイサムの
変な癖が面白い。警官殺しのサイコパス野郎は
ヘラヘラしているだけで全然迫力ないのに
ステイサム兄貴が本気で怒っちゃうのはどうなの?
「ホットファズ」のパディ・コンシダインがゲイを告白したり、
息子を殺された黒人警官が麻薬に溺れるなど精神状態を
細かく描いているのが印象深い。ゆすりを掛けて消される
乞食のオッチャンに半ケツ披露されても困りますw
ロンドンらしさが全く感じられないのが残念。
至近距離で喉に銃弾ブチ込まれた
美人警官可哀想だったなぁ…。
ホルマリン漬けのマイケル・ジャクソンのうんこが!
鑑賞日:11月12日 監督:エリオット・レスター


『マチルダ』
非常識な両親に似ても似つかない
天才少女マチルダが大人への不満に
真っ向から立ち向かうファンシー・コメディ。
小学校の鬼校長がどえらい迫力で
監督・出演のダニー・デヴィートを食う存在感!
ナチスのような血も涙もない性格で生徒を罵倒する様子に
堪り兼ねたマチルダが超能力を使ってお仕置きするシーンは
愉快痛快。超能力を自由に操れるようになったマチルダが
"Little Bitty Pretty One"をBMGに踊る場面が
とってもキュート。辛い幼少期を過ごしたハニー先生に
養子縁組してもらい幸せに暮らすラストは泣けます。
鑑賞日:11月12日 監督:ダニー・デビート

『アンドロメダ・・・』
感動する面白さ!不気味な輝きを放ち成長する
病原体の感染を食い止めるべく科学者が
原因究明に奮闘するサスペンスフルなSFドラマ。
70年代初期にこれほどまで斬新なアイデアを創造し
今も全く色褪せない設定に息を呑む。蛇腹型の防護スーツは
飛び込むように装着したり、機器類の表示も
近未来を思わせる素晴らしい作り。
冒頭の死屍累々な光景は不気味で絶望的だが、
閉鎖的な研究室に移動してからも全く飽きさせない。
画面の分割構成が絶大な効果を発揮。
赤ちゃんは泣くのが仕事というけれど、
そのおかげで助かるなんて!TV版吹替も傑作です。
鑑賞日:11月12日 監督:ロバート・ワイズ

『13日の金曜日 ジェイソンの命日』
特殊部隊の手によって木っ端微塵にされた
ジェイソンが他人の身体に乗り移り殺戮を開始する
シリーズ9作目。ジェイソン本体は正味10分程度で、
後は顔色の悪い憑依されたヤツが暴れるだけ。
やはりホッケーマスクじゃないと盛り上がらないし、
露骨過ぎる超常現象で怖いものナシになったら
金太郎飴の如く続けられますな。ホラーとしては
良くできているし、特殊造形も見応えがある。
SEX中に上半身を裂かれる女性はシリーズ屈指のグロさ!
ジェイソンバーガーに鉄の爪キャラまで出てきて
やりたい放題の命日でしたw
木曜洋画劇場の吹替ビデオで鑑賞。
鑑賞日:11月13日 監督:アダム・マーカス

『ザ・ポップマン』
地味だけど香港映画らしい能天気な
ムード溢れるコメディ。「燃えよドラゴン」のOPで
僧侶を演じたロイ・チャオが三枚目キャラをお茶目に
熱演していて嬉しくなりました。幼馴染み凸凹コンビの
片割れには髭にシャクレがトレードマークのリチャード・ウン。Mr.BOO!も顔負けなカラクリ部屋の仕掛けが下らないけど
日本人と同じドリフ系の感性で頬が緩みますw
漏れそうな小便を滝のフッテージとカットバックさせる
シュールさが堪らんです。TV放送の吹替で鑑賞。
リチャード・ウン(屋良有作)、ロイ・チャオ(玄田哲章)。
鑑賞日:11月15日 監督:レオン・ポーチ

『トランジット』
思わぬ掘り出し物。
旅行中の一家を強盗団が付け狙う。
仮釈放中の身である父親は息子からの信頼を
失っていたが、死の危機に直面した時、
家族を守るため温厚な父の眠っていた本能が目覚める
クライムアクション。強盗団に仲間割れが生じたり、
狙われた家族全員が防衛本能をムクムクと湧き上がらせ
互角に応戦するなど双方の視点からストーリーを追えるのが
最大の魅力。カーチェイスや銃撃戦など工夫を凝らした
カメラワークで盛り上げる。関与したら運のツキと思わせる
面倒な田舎の怪しさを醸し出しながら、家族の絆が深まる
怪我の功名的なラストが秀逸。
鑑賞日:11月16日 監督:アントニオ・ネグレ

『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』
SFに西部劇をミックスさせ、僕らのような
若い世代にウエスタンの面白さを教えてくれた
斬新さが売りのシリーズ完結編!
1885年へ飛ばされたドクをマーティが救出しに向かうのが
今日11月16日。記念を込めて久々の鑑賞となりました。
科学的根拠がない物には見向きもしなかったドクが
クララに一目惚れ。年老いても前向きに生きるドクの言葉が
胸にジーンと来ます。「未来は白紙」腹が立っても受け流す
くらいの寛容さがないと世の中渡っていけないし、
些細な事で人生棒に振っては勿体ないですよね。
マーティとドクの深い絆は永遠に続きます!
鑑賞日:11月16日 監督:ロバート・ゼメキス

『イナフ』
暴力で支配する夫に耐えかねたスリムは娘と家を
飛び出すが、常軌を逸した夫のストーキング行為は
エスカレートしてゆく。女性を見下し、思い通りに
操る卑劣極まりないミッチ。彼の母親は「あの子は何をするか
分からない」とスリムを説得。こりゃ親の育て方が悪いわ。
父や友人に恵まれたスリムは護身術を身に付け反撃に出る。
女性蔑視なクソ男を叩きのめす完璧なブービートラップを
仕掛けるクライマックスが爽快!こういうサイコパス野郎は
実際にいるからホラー映画より怖いです。
芸達者な娘グレイシー役の子が素晴らしい。
ちょいダミアンに似てるけどw
鑑賞日:11月17日 監督:マイケル・アプテッド


『真夜中の処刑ゲーム』
評判通りの傑作!サイレンサーで集中砲火を
浴びるアパートの住民。何処で道具を?とかの
理屈は抜きにして、DIYな武器をジャンジャン仕掛ける住人の
連携プレーは限定された空間をフル活用していて
スリリング!鏡の小窓が大活躍!無法地帯と化した街と
言ってもやたらテンションの高いギャング数名が
大暴れするだけ。しかしリーダー格の男がやけに冷静で
音もなく忍び寄る様子はなかなか不気味だ。
この俳優『ポリスアカデミー』の暴動シーンで
同じくギャングのボスを演じていた人物。
TV吹替の配役も映像に負けないクオリティ!
カナダ映画は侮れない。
鑑賞日:11月17日 監督:ポール・ドノヴァン、
               マウラ・オコンネル


『ブレイブ ワン』
銃社会アメリカが抱える闇を一人の女性に焦点を
絞って描く犯罪ドラマ。チンピラに恋人を殺され、
コンビニで殺人現場を目撃するエリカ。
法で裁けないのなら自らが裁きを下すしかないと、
犯罪者を始末してゆく彼女の心の葛藤が見ていて
息苦しくなります。『狼よさらば』や『タクシードライバー』を
彷彿とさせる自警映画の要素を多分に含んでいますが、
思い付きで行動するのではなく「運命」に左右されている所が
如何ともし難いです。刑事との出会いや結末に至るまで
負の連鎖に翻弄される役をジョディ・フォスターの
青い瞳が悲しく物語っているのが印象深いです。
鑑賞日:11月18日 監督:ニール・ジョーダン


『エンド・オブ・ザ・ワールド』
惑星衝突により地球滅亡への
カウントダウンが始まる。
不思議な事に街の人々は前向きに過ごす。
自然体のスティーヴ・カレルと屈託のない
キーラ・ナイトレイの恋愛ロードムービー。
カレルの部屋掃除に来るおばさんが最高でしょ!
犬のソーリーがちょこんと座っているだけで幸せな気分に
させてくれる。かけがえのない人生、毎日大切に過ごさなきゃ
勿体ないと思わせてくれる素敵な作品。レコード盤の厚み、
溝の深さについて熱く語るキーラ。
刻一刻と地球滅亡が近づく中、
レコードに針を落としてしみじみと聴くシーンに
人間本来の生き方を感じ取れます。
鑑賞日:11月19日 監督:ローリーン・スカファリア


『エンゼル・ハート』
事件の謎を追う毎にミッキー・ロークの甘いマスクが
曇ってゆく。黒人文化の街を舞台にオリエンタルな
空気と黒魔術の薄気味悪さが
見るものを混乱させる。ストーリーは難解だけど、
影の動かし方やショッキングなカットバックの数々が
小気味良く、映像の美しさに圧倒されます。
頻繁に登場する換気扇の羽が陰と陽を表現しているようで
意味深な雰囲気。エレベーターが降り立った
場所は何処なのか?
自分自身が何者か分からないというのは一番恐ろしい。
デ・ニーロが皿の上で玉子を転がし殻を剥くカットは
一度見たら忘れられない強烈なインパクト!
鑑賞日:11月19日 監督:アラン・パーカー


『セクター5【第5地区】』
人間と吸血鬼が共存する近未来。
汚染された血液により新種のヴァンパイアが誕生。
警部補と囚人、そして吸血鬼がチームを結成し
セクター5と呼ばれる巣窟へ潜入してゆく。
セレステとヴァンパイアのニコライが想いを通わせるシーンが
ロマンチック。ラストの究極の選択は胸が切なくなります。
鑑賞日:11月20日 監督:トドール・チャプカノフ


『カサンドラ・クロス』
病原菌を保有したゲリラの1人が大陸横断列車に
乗り込んだことからパンデミックに発展する
パニック・サスペンスの大傑作。病原菌の恐怖より
陸軍が隠蔽工作のため、28年も前に廃線済みの老朽化した
カサンドラ大鉄橋へ千人もの乗客を躊躇いなく送り込む
ナチスを思わせる非人道的な行為に身震いさせられる。
ユダヤ人のキャプランが身を挺してガスを爆発させ
大勢の乗客の命を救う設定が、大量虐殺から逃れた
彼の生き様を映し出しており眼頭が熱くなります。
オールスター・キャストで描く鉄道パニックの金字塔。
救い様のないラストは70年代らしい〆方。
鑑賞日:11月21日 監督:ジョルジュ・パン・コスマトス

『クロユリ団地』
団地という魅力的なロケーションが
全く活かせていない。
アイドルで一儲けしようとする秋元康の
嫌らしさだけが鼻に付く完全にミスキャストな駄作。
前田敦子の心の弱みに怨霊が憑りつく設定なら
団地じゃなくても成立するし、ミノル君が可愛くて
全然怖くないのがねぇ。。スイカみたいな照明効果と、
志村けんのダイジョウブダー!を思わせる膝カックンな
手塚理美の霊媒も笑いを誘うだけで完全にコメディにしか
見えません。中途半端な精神錯乱も
煮え切らない感じでホント残念…。
鑑賞日:11月22日 監督:中田秀夫


『フィールド・オブ・ドリームス』
泣いた、もう泣いたよ。キャッチボールして
終わんないかなと思ったらホントにやってくれて。
父とキャッチボールした事ないから余計に
感動してしまいました。信じる事の大切さ、純粋な心が人々を
幸せにする大人が忘れてしまった何かを思い出させてくれる
ファンタジー作品。悪役ばかりのレイ・リオッタが
シューレス・ジョーに扮しているのが良いですね。
バート・ランカスターも素晴らしかった。
音楽のジェームズ・ホーナーも!
「君が作れば、彼は来る」もっと早く出会いたかったけど、
今回見る機会に恵まれたのは何かの縁だったのかも。
鑑賞日:11月22日 監督:フィル・アルデン・ロビンソン


『フレンチ・コネクション』
犯人逮捕至上主義の暴走刑事ポパイと
彼をなだめる相棒ラソーの凸凹コンビが
麻薬ルート撲滅のためストイックな捜査を続ける
バディ物の超絶傑作!高架線を走る地下鉄を車で追跡する
鬼のようなポパイの執念。監督にシゴかれたハックマンの
キレ演技がドえらい迫力を生んでいます。
地下鉄でシャルニエとの心理戦は思わず吹き出す面白さ。
70年代上期の風景をありのまま記録した点も
ドキュメンタリータッチで臨場感抜群。撮影当時41歳の
ハックマンが全力疾走する「刑事は足で稼ぐ」スピリットを
渾身の演技で見せ付ける映画史に燦然と輝く名作!
鑑賞日:11月22日 監督:ウィリアム・フリードキン