パスカル・ロジェ最新作『トールマン』 | 三つ子の魂百まで…トラウマニア

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『トールマン』 原題:THE TALL MAN


【2012年/アメリカ・カナダ・フランス/1時間46分/シネマスコープ】

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◆監督・脚本:パスカル・ロジェ
◆製作総指揮:ジェシカ・ビール
◆音楽:トッド・ブライアントン

●ジェシカ・ビール【ジュリア・デニング】
●ジョデル・フェルランド【ジェニー】
●スティーヴン・マクハティ【ドッド警視正】
●サマンサ・フェリス【トレーシー】
●イヴ・ハーロウ【クリスティーン】
●ジェイコブ・デイヴィス【デヴィッド】


ワシントン州ピッツビル郡コールド・ロック。炭鉱が6年前に閉鎖され職を失った貧困層で溢れるこの街では子供の連れ去り事件が相次いで発生。警察の捜査も行き詰まり、子を無くした家族は途方に暮れていたが、子供を連れ去る現場を目撃した者の証言により、黒衣を纏った背の高い男“トールマン”の犯行ではないか?と噂が広まってゆく。ある晩、看護婦ジュリア(ジェシカ・ビール)の息子がトールマンにさらわれ、夜道を必死に追跡するジュリアであったが途中で力尽きてしまう。

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現代の神隠しか犯罪か?幾重にも張り巡らされた

ドンデン返しで疑心暗鬼に陥る巧みな演出。伝説の怪人トールマンの正体は一体何なのか?ゴシックなヴィジュアルと迷路のように広がる森を生かしたロケーション。現代社会が抱える育児問題を大胆な解釈で切り取ってみせたパスカル・ロジェの才能が全編に散りばめられたミステリー作品。主役のジェシカ・ビールが青白い表情を浮かべる

連れ去られた息子を死に物狂いで探し回る迫真の演技、スリリングなカーアクションなどハリウッド映画で見せる顔とは一味違うタフな女性を熱演しています。

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胸の痛む結末、幸せな人生を歩むとはどういう事か?二者択一を迫られたとき、子供を持つ親なら

頭を抱えてしまう重いテーマ。宗教的な匂いも漂っているし、都市伝説を用いたクライム・サスペンスとして観れば観るほど考えさせられる毛色の変わった作品でした。トールマン公開記念でマーターズが3年ぶりに35mmフィルム再上映。
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11月3日からシアターN渋谷で公開されていますが、自分は一足先に試写会で観賞しました。『マーターズ』で殉教者による苦痛の限界を描いたロジェ監督作なので、さぞや血みどろで陰惨なヴィジュアルが出てくるのではと期待していたのですが本作はより現実性あるテーマに挑んでいました。脚本執筆にあたり、友人のFBI捜査官から聞いた「年間アメリカで発生する失踪人80万人のうち

1000人が跡形も無く消え去っている」という衝撃の事実を知りこれをベースに書き進めていったのだとか。

パンフレット(500円)
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試写会では2度目の来日を果たしたロジェ監督の舞台挨拶があり、ゴジラ映画などが大好きだと嬉しそうに話す姿が印象的でした。真っ先に観られるあなたたちはラッキーだよ。ネタバレしないでねと言われ、封切りまで感想を書くのは控えてました。12月2日で7年間の歴史に幕を下ろすシアターN最後の新作でもあります。シアターN恒例のダジャレ割引き開催。
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