『ナイトメア・シティ』 | 三つ子の魂百まで…トラウマニア

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『ナイトメア・シティ』

(Nightmare City)


1980年、イタリア&スペイン合作


-スタッフ-
◆監督:ウンベルト・レンツィ
◆撮影:ハンス・ブルマン
◆音楽:ステルビオ・チプリアーニ

-キャスト-
●ヒューゴ・スティグリッツ(ディーン・ミラー)
●ラウラ・トロッター(アンナ・ミラー)
●フランシスコ・ラバル(ウォーレン少佐)
●マリア・ロザリオ・オマッジオ(シーラ)
●メル・ファーラー(マーチスン将軍)

TVレポーターのミラーは核物理学者ハーゲンベック教授のインタビューを撮るため空港へ向かったが、そこへ国籍不詳の軍用機が許可無く着陸。厳戒態勢の中、機内から降り立ったのは生気を失った教授と不気味な表情を浮かべる謎の集団だった。謎の男たちは銃火器を手に軍隊へ襲い掛かり滑走路は血の海と化す。教授らを殺人に駆り立てた原因とは?原子力発電所の事故により被爆した彼らの脳は核に汚染され、細胞が強じん化。放射能によって破壊されていく血液を補うため、新鮮な血液を求めて、衝動的殺人を繰り返していたのだ。血に飢えたモンスターは街へとなだれこむ…。

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※物語の核心に触れていますので未見の方はご注意!


巷ではゾンビ映画として浸透している本作ですが、弱点が脳天というポイントを除いたらエレガンスさの欠片も無い非常に不潔な吸血鬼モノ。会話が出来ないのでジェスチャーを使って仲間を呼び寄せ連携プレーで襲撃したりと悪知恵を働かせる。そんで空港での大立ち回りを演じた後に向かった先が何故かTV局で、しかもレオタード姿のお姉ちゃんが出演するダンス番組収録中に珍入!

丁寧に方パイをもぎ取って血を吸う助平な野郎です。

【ジーン・ハックマンではない!】
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凶器片手にダッシュするのは反則だが、軍隊が虚弱体質過ぎて劣勢が続くもんだから肥やしに頭を突っ込んだような顔の吸血魔を見てるとだんだん腹立たしくなるのは正直辛い…。病院では情け容赦なく患者をなぶり殺しにして、輸血用の血液で喉を潤すわ、停電でエレベーター内に閉じ込められた人が開放された隙を見て襲撃したりナースを裸にしてからブチ殺す陰険ぶり。手術中に乱入した1匹に執刀医がメスを投げつけ見事命中するシーンは爆笑モノ。

【美女に悪戯をしようとするおじさん】

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TVレポーターのおっさんの嫁が医者で阿鼻叫喚の中ようやく2人で抜け出すもののどこへ逃げても吸血魔が忍び寄り、最期の楽園とおぼしき遊園地に辿り着く。一息つく暇も無くここにも隠れてましたっ!と追いかけっこが始まってジェットコースターの頂上からヘリに救助されるも、どん臭い嫁はジタバタ喚いてロープから手を離し自爆する。


ヒゲのおっさんが目覚めるとベッドの横には嫁が。慌てて外出するおっさんが向かった先は、なんと事件の発端となったあの空港。お約束とばかりに軍用機が着陸し、タラップが下りる。全ては正夢でした~って体たらくなオチに顎が外れそうになります。それでもイタ公お得意のエログロにそこそこのドンパチと色々見せてくれるのでまぁ楽しいですよ。

将軍役でメル・ファーラー(オードリー・ヘップバーンの元夫)出ていますが、この人も仕事を選ばないってゆーか結構な数のホラー映画に出ている俳優さんです。『悪魔の沼』ではネビル・ブランドに大鎌で首をはねられるわ、『食人帝国』なんてキワモノにも出てますから。そうそう、監督のウンベルト・レンツィは『人喰族』を撮ってましたな。


音楽担当は『ラストコンサート』、『テンタクルズ』など大作からB級までなんでも引き受ける便利屋さんステルビオ・チプリアーニが気の抜けたスコアを提供。公開当時イタリアでのみサントラLPが発売されていましたが、97年にドイツのサントラ専門レーベルから限定1000枚で初CD化されたのにノンビリしていたら買い逃してしまった1枚。TV局のシーンで流れるBGMが岡江久美子の「はなまるマーケット」ワンコーナーで使われているので聴き覚えのある方も多いはず。


※追記 2013年にイタリアのDigitmoviesレーベルから全28曲入りの増補盤として限定再リリースされました。



【今日の“おめざ”はイタリア原産『悪夢の街』でぇ~す♪】


ビデオ化はホラーブーム真っ只中の86年にTDKコアから発売。初版は紙箱仕様でした。

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のちに再販された際、タイトルを『吸血魔の街』に変更しリリース(レーザーディスクもこの時初お目見え)ブームも最高潮に達した89年9月、“イタリアン・ファンタスティック・フィルム・コレクション”と題した映画祭の1本として初公開されチラシも刷られていますが高額で取引きされる人気アイテム。



配給はマウントライト・コーポレーション。知る人ぞ知る映画界のホラ吹き王子M.Y氏が立ち上げた会社である。ボロクソ言われているM氏もこのような功績を残しているのだか、とりあえずホラーファンからすれば有り難い存在なのか?


DVDも昔は店頭によく転がっていましたが、プレーヤーが普及し始めた頃には廃盤。今ではかなりのプレ値が付いており手が出せません。というかこんな旧規格のディスクなんぞいらんわ!7月27日にニューラインさんから『ヘル・オブ・ザ・リビングデッド』が再販されるのでTDKコアの同郷として再販を望みたいところ。しかしストーリーが原発云々だから難しいでしょうか。それより被爆が原因で血に飢えたモンスターが暴れる映画をソフト化できるなら『ノストラダムスの大予言』の封印を解いてくれ!話はそれからだ!