【前回までの風助と侑那】
僕の名前は風助。
妻と共に画家をしている。
おかげ様で、
少しずつ、
少しずつ、
絵は売れるようになってきた。
師匠筋の時代と違い、
40万円以上のものが
ポンと出ることはないけれど、
細々とやっている。
モノはコワレタラそれでオシマイだ。
絵画は一生、
その人の人生を豊かにするものだ。
そう信じて絵を描いている。
さて、
これは妻、侑那と大喧嘩した日の想い出だ。
僕らは滅多とケンカをしない。
多分、
二人は大きく違って、
二人は似たもの同士で、
なので、
ケンカになることもなかった。
僕は妻に商用の電話を委任していたが、
妻はそれをしなかった。
約束を破るのは許せない。
僕は侑那を責めた。
お互い気が強いので、
叩き合いになり、
もちろん僕は手加減はしているが、
話にならなくなったので、
僕は
侑那に
出て行け!
と
怒鳴った。
侑那はその夜、
僕の母と過ごした。
女同士、何を話したのかは
僕は
母にも侑那にも聞いていない。
僕は独りになり、
冷静になるため、
珈琲をキッチンで立ち飲みし、
玄関のタバコケースを開けると
カラだったので、
くそっ!
っと吐き捨てて、
今日の出来事に想いを巡らせた。
最初は
約束を守れない人間を
僕は許せなかったが、
次第に
そこまで腹を立てることでもないことに
気が付いた。
ただ、
彼女には
僕を知ってもらう必要があるし、
約束とは行動である、ということを
伝える義務もある。
僕たちはパートナー=同志なのだ。
長くて短い人生。
あと
二人が長生きできて
一緒に居ることが出来る時間は
20年そこらだろう。
もっと短いかもしれない。
そんなとき、
僕を孤独から守るのは侑那しかいない。

人生は共作だ。
そうは思わない人もいる。
でも
僕はそう思っている。
そう気付いた。

彼女が必要だということを。
彼女の存在を
必要としているということを。
翌朝、
母から電話がかかってきた。
『仲良くしなさい。兎に角、二人、仲良くしなさい。』
母は手短に僕に言い、
電話を置いた。
すると侑那が帰って来た。
玄関で泣いている。
僕は
『とりあえず入りなさい。』
と
彼女を催促した。
彼女は泣き出した。
涙の理由を尋ねると、
『家に入れてもらえないと思った。』
という。
そんなことはしない。
話し合いをした。
彼女は約束を守らなかったことを詫びた。
僕は
責め立てたことを詫びた。
それから?
二人で歩いている。
物語は続く。
(つづく。)










