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ネズラー通信編集部のブログ

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ボールペンでデグーを。



ひだまりのなかで

お昼寝する


ヒゲがキラリと
反射していた
269

シャーペンB。




こんにちは。
飼い猫です。

いやー、
今日は小春日和なので、
玄関先で、
日光浴ですよ。

エリゴステリンが紫外線で、
ビタミンDに変換される訳ですね。

猫をしていると、
関節は大事ですから。

まだ、
お昼の12時過ぎですか。

夕餉まで、
まだまだ時間がありますねぇ。

15時くらいになると
冷えてくるので、
部屋に入りましょうか。


サラリーマンは気楽な稼業、
ヒトも飼い猫なら、
気楽なんでしょう?

えっ?
ヒトの場合は違うんですか?

いつ
ごはんが食べられなくなるか、
いつ
屋根があるところで
眠ることがなくなってしまうのか、

昔は、
セーフティネットというものが
機能していて、
本当にやばいときは、
相互扶助もあったけれど、

今は
群れからハブられるので、
飼い猫じゃいられない・・・


はぁ・・・
そりゃ
大変ですな。

野良猫と一緒じゃないですか!

野良猫の冬は厳しいけれど、
生きるも
死ぬも
自分次第なだけ、
自由ってのがありますな。


心から同情しますよ。

まあ、
わたしは猫なんで、
そろそろ昼寝をします。

では。
また
お話ししましょう。






(こんな出だしはどうだろう?)
夢想家552 ky ネズラー通信(C) 山本京嗣 作品

シャーペンB。



「ミッキー・ノラ・ファーブル 第一章」



この名を聞いて、
知らぬ人は日本ではいないだろう。

だが、
皮肉なことに
彼が活躍したヨーロッパでは
あまり知られていない
学者、教師、詩人である。


彼を語るには、
彼が遺した偉大な著書、

「ミッキー昆虫記」は外せない。


彼はとても貧しい家に生まれた。

羊飼いの父と
母は地主ではあったが、
実家からの仕送りを受けつつ内職をし、
幼いミッキーを
祖父母の元に預けた。

その原体験が、
彼の
好きだから、
昆虫を観て、
観察をして
本にする、
語り聞かせる、という

現在の動物行動学の基礎を築いた。


彼の貧しさを語るエピソードは多々ある。

あのパスツールと同時代に生きた人だが、
ミッキーは貧しく
ワインの知識などない。

一方のパスツールは、
裕福な家庭で育ちワインの教養があった。

こんな些細なことだが、
育ちの違いで、
彼らは袂を別つことになったともいわれている。

しかし、
パスツールとミッキー・ファーブルは
検体を交換したり、
今で言う
共同研究もしていた。

また
ミッキー・ファーブルには学はなかった。

彼は
今でいうと
小卒である。

そんな逆境にもめげず、

教師となり、
人を照らす道を選んだ
ミッキー・ノラ・ファーブル先生。

やはり偉大だ。

私も貧しい中育った。

自然と彼の人生を
一緒に歩みたくなった。

万学の人であった
ミッキー・ノラ・ファーブルを偲ぶため、
彼が活躍していた地の一つである、
モンペリエに私は移動した。

陸路である。

さて、
街の人たちにインタビューをするものの、
やはり、
彼の「ファーブル」の名を知る人はいない。

地元の図書館に行く。
彼の詩集や戯曲、
また、
昆虫記などがないか調べるためだ。

キュレイターと話す。

彼女は
ミッキー・ノラ・ファーブルについて
知っていた。

『彼はとても貧しかったわ。』
『そうね、
 当時は学問も藝術も貴族のものだから、
 彼が東洋の地でしか
 光を当てられていないのも理解できる。
 本当なら、
 アカデミーが彼に名誉を与えるべきなんだと
 私は思うわ。』



夢想家552-1 ky ネズラー通信(C)

ファーブルの写真を見つけた。

じっと
ありの行列を観察しながら、
時々、
食べている
ミッキー・ノラ・ファーブル。

ハングリーと
好奇心。

それを両立させた立派な偉人である。





(つづく。)


彼愛用の万年筆で。



【茶色毛の天使 ミミ・アナ―リスの道程~1~ 元・傷病兵へのインタビュー】





ついに、
アナ―リスが召されましたか・・・
そうですか。

(元兵士は目頭をチーフで抑えた。
 私は
 ミミ・アナ―リスに関わった群像へ
 焦点を当て、
 アナ―リスの功績を研究しようと考えた。)


そうですね、
失礼。
どこからお話ししましょう。

(老兵は、
 チェアに深く腰掛け、
 私に紅茶を勧める。
 私は
 カップに手をとり
 彼の瞳を見つめた。
 彼は遠い昔へ記憶をさかのぼっているようだ。)


それは酷いものでした。

私は
まだ18歳だった。
18歳と言えば、
立派な大人のオトコです。

国のため、
戦争に是非、参加せねば、と思っていました。

当時の若者は
そう考えたのです。

私もその一人でした。


(元兵士の老人は、
 ここで暫く沈黙した。)


でも
違っていた。

戦場は地獄でした。

砲弾と銃弾の嵐。

私は
胸部と腹部に被弾し、

野戦病院へ運ばれたのです。


(彼は
 またも
 瞳から零れるしずくをガーゼで拭う。)



私は
他の傷病兵と同じく
むしろに寝かされ、
泣き叫びながら、
痛い!
痛い!

言っていました。

左右の兵士もそうです。

私と
年齢も変わらない。


そして、
そこで浮かんだのは、
自分が
もう死んでしまうことと、
母、
そして、
バーミンガムに残した恋人アナリスのことでした。

母は
戦争には反対していましたが、
若い私に理解はできなかった。

でも
従軍し、
母の意見が正しいと理解していたのです。

死の間際で。

不思議と
私が殺した憎き敵たちのことも
頭に浮かびました。

彼らも
同じように考えている、と。

確信がありました。

不思議なものですよね。


正義と思っていた価値は
あっさりと崩壊したのです。


ただ、
自分が死ぬのは怖かった。

情けないですが、
怖かったのです。



そんなときでした、

ミミ・アナ―リスが
私が死を覚悟した
野戦病院にやって来たのは。


ミミの噂は知っていました。
アナ―リス家の出であり、
貴族である。

私たちが
滅多に話しかけられる相手ではないことも
理性では判っていたのです。

でも、
痛みと死への恐怖には
勝てませんでした。

私は
ミミへ叫んでいたのです。


『アンタは天使だろ!
 早く
 早く
 助けてくれ!』

と。




ミミ・アナ―リスは
そのとき
どうしたと思います?


(老兵は
 いたずらっぽく私に視線を向け、
 お茶を一口飲んだ。
 そして
 おもむろに立ち上がり、
 本棚からスコッチをもってきて、
 紅茶に入れて
 飲み干した。
 そして、
 万年筆で、「当時の私だ」と冒頭の絵を描いた。)


アナ―リスは厳しかった。

(老兵の顔から笑顔があふれた。)


ミミは
私の血と泥で汚れたむしろに
ひざまずき、
私の汚れた手をとり、
私の目を見つめ、
こういったのです。


『私は天使様ではありません。
 看護婦です。
 あなたは死にません。』


ミミ・アナ―リスにきっぱりとそういわれ、
私は口ごたえもできなかった。

それから
ミミの指示は
テキパキとしたものでした。

まず、
傷病兵と傷病兵のむしろの間隔をあけて、
野戦病院が大きくなった。


(と
 老兵は噴出した。
 彼は笑顔で続ける。)


銃弾を受け、
出血しているから、
きっと寒かったのですが、


アナ―リスは、
他の看護師に、
定期的に換気するように
指示したのです。

寒い、と文句もミミへ言いましたよ。


彼女は


『あなたは死にたいのですか!』と
私を一喝した。

そう、
そんな感じでした。

彼女は
毎日
私たちの体温の変化を記録して、

私たちの汚れた血を拭き、

痛いけれど、
包帯を変え、

冷たいけれど、
空気を入れ替えた。


ミミを恨んだのは、
最初の二日間だけです。

そう
最初に彼女が来たときから、

彼女はランプをもって、
私たちの間を
天使のように
静かに歩いた。


そして
死にゆくものへ祈りをささげていた。


彼女は
天使だったのです。

天使様と呼ばれることを彼女は嫌った。
けれど、
神は
天に居て、
私たちへ手を出す存在ではないけれど、
ミミ・アナ―リスは天使様だから・・・

もっと生きていて欲しかった。


(老兵は慟哭した。)


失礼。


私は帰国し、
学校へ行ったのです。
文字を学びました。

ええ、
レンガ職人の息子が
学校なんて
なかなか入れなかったのですが、

ミミへ手紙を書きたかった。

私は
ミミ・アナ―リスに恋をしていたのかも
しれない。

あの
勇敢で、
凛とした横顔、
ランプの姿に。

灯を観たのかもしれない。


学校で文字を並び、
私は
アナ―リスへ、

もうそのころには
アナ―リスが倒れてしまった、
病院を造ったのに、

噂は聞いていましたから、

届くかもわからない手紙を
アナ―リス家宛てに出しました。

封蝋するにも
私の家は職人階級だから家紋もない。

だから
イニシャルを入れました。

宛名には、

あなたに命を救われたアンドリューより、


記しました。


返事なんか来ない、
手紙は
ミミには渡らないと思っていました。

アナ―リス家の人たちが
そう、
手紙を捨てると思っていたのです。

でも
ミミから返事が来た。


(老兵はまた笑顔に戻っていた。
 少年のように。)


とても美しい字と
素晴らしい封筒に
封蝋され、
ミミ・アナ―リスから、
お返事をいただいたときは
心から嬉しかった。


そうですね、


(彼は書斎の一番上の引き出しを開け、
 木の小箱から、
 さらにボロボロの封筒を出した。)


あなたが学問を学んでいると聞いて、
とても嬉しいです。
あなたの未来を救うのは
あなたの学ぶ姿勢です。

―ミミ・アナ―リス





どうですか?


彼女らしいですね。

もう一度、
あの天使様の側に私も行けるでしょうか?


(そういうと
 老兵は
 再び涙を落とした。)








(つづく)



【参考資料】

参考資料



===
少し雑談(2022.08.26)
医学はヒトを幸福にする技術ではない。
ここ20年で幸せも考えるようになったが、
命の幸せは別のところにあると考える。
そういう意味で、
ナイチンゲールは凄い。
ミミアナーリスシリーズは、
全て、実話を元にしているが、
何故か人気がない。
くっそ、オモロイのに。
シャーペン。
※よくある話。


ダブルワークで、
仕事をしているものの
自給も安く、
月10万前後が精いっぱいだ。

帰宅するとヘトヘトになる。

今日も、
一日、
工場で、
あんぱんのケシを手でのせて、
次の仕事、
ウニクロのテーラーコーナーで、
元テーラーの知識を活かし、
採寸する。

ほとんど、
コンピュータ任せで、
人は添え物だが、
やはり「人」はよき相談相手なのだ。
お客にとって。


さて、公団の4階にヘトヘトで、
コーラ2本と、
つけもの、缶酎ハイ、明日のパンを買い、
左右に揺れつつあがると、
ポストに何かが入っている。

「家賃改定をします」

えー!

仕方ない。
皆、涙を拭いて、血を流して生きているんだ。

私はトリプルワークをすることにした。
もう50代だ。
誰も新卒扱いはしてくれない。


私は履歴書を福祉センターというところに
送ってみた。
初めて携帯がなり、
面接に来てくれ、という。

地図を片手に、
その福祉センターに行くと、
何故か、パチンコ屋の裏にある。



私は
よく分からないまま、
パチンコ屋の裏の薄暗い路地にある、
宝くじ売り場のような、
小さな小屋を覗いた。

高年の女性と目が合った。





「あんたかい。
 面接に来たのは?」

「ここは福祉のセンターですよね。」

「なんだい。何も知らないのかい。」



ふと、狭い隙間から
奥を見やる。

座敷牢みたいなところで、
皆、必死に銀色の球を数えていた。