いっけーーーーーーー!!!!!



ダッシュで2人の後を追った。



間男は郵便物を手に取り、

ちょうどポストに入れようとしていた。



ラインが交差する!!!



危うくぶつかりそうになる!



男の前に立ちはだかった。



「アンタ、S田だよな?」



S田

「えっ!!!!????」



「俺、コイツの夫。」



親指で後ろにいる妻を指差した。



「なんで今俺がここにいるかわかる?」



正直言って緊張のあまり声が上ずっていた。








「え??いや、、わからないです!」



もう一歩前に詰め寄ってガン飛ばしながら



「俺、全部知ってっから!

今日の事だって分かってっから!!

他の証拠も全部揃ってっから!!!!



ちょっと話あるからこいよ!!

別にぶん殴ったりしねぇから!!」



「ハイ。わかりました。」



この時、S田がかなり素直に返事をする事に

正直驚いていた。



「お前は先に帰れ。後で話しするから。」



妻はマスクをしていたが、

脂汗まみれで顔面蒼白、涙目になっていた。



自分が先頭、右にS田、少し後ろに部長の順で歩いて行った。



「逃げるんじゃねーぞ!?」


「はい、わかりました。」




正直後ろなど見ている余裕もなかったので

妻がどこに行ったのか知る由もなかった。



ファミレスの看板が見えてきて、

少し早歩きになった。



その看板に近づきたい一心で

何も考える事はできなかった。


ふと思い出した。


「部長、時間ヤバくなったら出ていいから。

その代わり、F田呼んで。」


「ハイ、大丈夫です!」


5分ほどでファミレスに着いた。


早速中に入り、


「スミマセン、ちょっと大事な話しがあるので

奥の席でお願いします。」


と店員さんにお願いした。


しかしさすが金曜日。


ほぼ埋まっている。



「もし宜しかったら、あちらの席でしたらすぐにご案内できますが、、、」



ベストではないが、まぁあそこでいいや。

そこそこ隣の席と離れているし。


3人で席待ちもなんだか嫌だったので


間男を奥の席に座らせて、フロア側に私と部長が席に着いた。



「今の5分間くらいで状況飲み込めたか?」



「いえっ、、あのっ、、、」



「わかりやすいように説明してやるよ。

お前ら不倫してんだろ?


かなり前から。3年以上前だよな?


俺ぜーーんぶ知ってるから。


証拠も裁判で勝てるくらいのモノ揃ってるよ。


俺たちはもう離婚するからさ、、


本当ならおまえ達とことん地獄に落としたいけど


しょうがねぇから、示談にしてやるよ。


お前がしぶったら出るとこ出るからね??


どうする!!??」



S田の目を凝視して強い口調で言い放った。



「わかりました、、、」



話し途中で部長がボイスレコーダーを出していた。


一瞬

「おせーよ!」と思ったが、

まぁ仕方ない。


部長も初めてのシチュエーションで

緊張しているのは間違いない。


示談書2通、計4枚をテーブルの上に置いた。


「よく読んでね」



部長がドリンクを3つ持ってきた。



喉がカラカラで一口飲んだが、

ブラックアイスコーヒーで

大して喉は潤わなかった。


S田は示談書を持つ手が若干震えている。



「どうする???示談するか???」



S田は内容を理解できているのかわからないが



「すみません、私のやった事なので、、

書きます、、、」


「わかった、じゃサインして。」


この時間わずか5分足らず。


なんというスピード解決!!


自分自身驚きを隠す事で精一杯だった。



「あのさ、これサインしちゃったらもう後戻りできないからね。ちゃんとこの金額払えよ!」



「わかりました。」



雲の上からの様なマウント攻撃で

なんだか全く実感が湧いてこなかった。



そしてあまりにも素直に言いなりになる

S田に対し、無性に怒りが込み上げてきた。



「アンタ、奥さんいるの?」


「ハイ、結婚しています。」


「奥さんかわいそうだな、こんなクズな野郎と結婚して。」


「ハイ、そうですね、、」


「そうですね じゃねーよ!

コッチは子供3人いるけど、マジで大変な事になってるよ!


テメェのせいで家庭ぐちゃぐちゃだわ!

子供ら、泣いてたわ!」




「コノ

クソヤロウ。」


隣にも客がいたので大声は出さなかったが、

コロナパーテーションで聞こえないくらいの

ドスを効かせた声でS田を睨みながら言い放った。



「ハイ。申し訳ありませんでした、、、」


「反省してんのか!?」


「ハイ、、、反省してます、、」


「まぁさ、これで示談だから、お前が金さえ払えばそれでいいわ。


でもコッチだって色々譲歩してるから。


アイツとの接触禁止、家族への連絡事項、

なかったろ??」


「ハイ、、」


「アイツは家追い出すし。

今の職場追われたら生活できないだろうし。

お前の会社もアイツいなくなったらイタいんだろ?」


「ハイ、、、痛いです、、、」


「ほんとはとことんやってやろうかと思ったけどな!」


「まぁいいや。

これでアンタと会うのも最初で最後だ。


でも慰謝料ブッチギったら


ただじゃおかねぇよ?


わかったか??」



「ハイ、わかりました。。」



「じゃあな」



この間約20分。




あっけなく終わってしまった、、、、




ファミレスを出て階段を降りると

妻がいた。



なにも言ってこない。



「帰ってろって言っただろ。

これでグッバイだな!

後で話しあるから家帰ってこいよ!」



妻は何も言わずにファミレスに入って行った。



その後部長と一緒に店まで歩いて帰った。



「終わったわ、、、、、

部長、本当にお疲れ様。ありがとう!!」


肩を叩いた。



お互い興奮冷めやらぬ感じで、

私は歩きながらタバコを吸った。



「あっけなかったですねーww」



「だな。完全に意気消沈だったもんなw」



「でもちゃんと慰謝料払うんですかね?」



「そん時は出るとこ出るし、

全部証拠ぶちまけてやるよ!!」



「そうですねw」



「まぁとにかくお疲れ様。

ありがとうな!!」


何度も部長に礼を言った。

自分一人ではここまでうまくはいかなかっただろう。



「いえいえ、、社長もお疲れ様でした。」



私の人生最大の大作戦(第一部)は

完全勝利で幕を閉じた。



店に帰ってF田にかいつまんで報告した。



その後私が店を出てからはすっかり落ち着いて

うまく営業できていたらしい。


21時からの子も20時半に来てくれていた。


「F田も色々ありがとうな!

とりあえず一段落終わったわ、、、」


「とりあえずよかったですね!

社長、お疲れ様でした!」



「ああ、今日はまたこれから第2部だけどw」



「そっかー!頑張って下さい!!」





さぁ帰ってクソ妻と対決だ!!!





〜続く〜