映画のセットを見たことがあるでしょうか。
正面から見れば立派な洋館です。柱があり、窓があり、扉がある。けれど横に回り込むと、そこには何もない。板と支え木があるだけです。
ホームページにも、同じものがあります。
正面から見れば完成しています。写真がきれいで、フォントが整っていて、色の使い方も悪くない。けれど一枚めくると、中身が入っていない。
私の体感では、世の中のホームページの8割がこれです。数えたわけではないので、あくまで肌感覚として聞いてください。ただ、頼まれて他社のサイトを見るたび、この感覚は外れません。
■ なぜこうなるのか
作り手を責めたい話ではありません。責めても何も変わらないからです。原因は人ではなく、仕組みのほうにあります。
ホームページを作る人の多くは、デザインは理解しているけれど、プログラムの書き方は一切理解していません。
これは悪意でも手抜きでもありません。今は、コードを一行も書かずにホームページが作れる道具がいくらでもあります。画面の上でパーツを並べて、写真を差し替えて、色を選ぶ。それで見た目は完成します。
問題は、ホームページの半分は、見た目として画面に出てこないということです。
・ページの題名(検索結果に出る一行)
・検索結果に出る説明文
・見出しの階層構造
・画像に添える説明文
・画像の重さ
・問い合わせフォームが本当に届いているか
・スマートフォンで電話番号がタップできるか
・通信が暗号化されているか
これらは全部、コードの中にしかありません。画面の上には現れない。だから、コードを見ない人にはそこが未完成であることすら見えないのです。
見えないものは、直しようがありません。ここが核心です。手を抜いているのではなく、欠けていることに気づけない構造になっている。
■ 自分のサイトを5分で確かめる方法
批評だけして終わるのは不誠実なので、確かめ方を書きます。専門知識は要りません。スマートフォンとパソコンがあればできます。
1. 検索結果に何と出るか
Googleで自社名を検索してください。タイトルが「ホーム」「トップページ」「Home」だけになっていませんか。説明文が途中で切れた文章になっていませんか。これは、検索した人が最初に見る一行です。ここが未設定のサイトは、驚くほど多いです。
2. 自分で問い合わせを送ってみる
自社のフォームから、自分宛に問い合わせを送ってください。届きますか。
「送信しました」と画面に出ても、実際には誰にも届いていないフォームを、私は何度も見ています。作った直後は動いていて、サーバーの設定が変わって止まった、というのが典型です。誰も気づかないまま、何ヶ月も問い合わせを取りこぼしている。
3. スマートフォンで電話番号を押してみる
押して電話がかかりますか。ただの文字になっていませんか。小さな会社のホームページで、実際に一番使われるのはここです。
4. 表示の速さを測る
「PageSpeed Insights」で検索して、自社のURLを入れてください。無料です。点数が出ます。遅いサイトの原因は、たいてい画像です。スマートフォンで撮った写真をそのまま載せると、一枚で数メガバイトあります。それが10枚並んでいれば、当然重い。
5. 横向きにスクロールしてしまわないか
スマートフォンで開いて、左右に指を滑らせてみてください。画面がずれて動くなら、どこかがはみ出しています。
■ ハリボテでも困らない場合はある
念のために書いておきます。
ホームページを名刺代わりにしか使っていない会社なら、多少中身が空でも実害はありません。「ある」ことが目的なら、それで足りています。
困るのは、そこから問い合わせが来ることを期待している場合です。
期待しているのに来ない。そのとき多くの人は「うちの業種には合わなかった」と考えます。でも実際には、ホームページのせいですらなく、ホームページの見えない半分が空のまま放置されているせいであることが多い。
原因を取り違えたまま「効果がなかった」と結論づけるのが、いちばんもったいない。
■ 見た目は、あとからでも直せる
最後に、いちばん言いたいことを書きます。
見た目は、あとから何度でも直せます。中身が空なのは、あとから気づけません。
写真が古いことには気づきます。デザインが古いことにも気づきます。だからそこは直される。
けれど、フォームが届いていないことには気づけない。検索結果のタイトルが「ホーム」のままであることにも気づけない。誰も教えてくれないからです。
順番が逆なのだと思います。
まず中身を埋める。見た目はその上に乗せる。板と支え木で立っている洋館を、いくら塗り直しても洋館にはなりません。
上に書いた5つは、全部ご自身で確かめられます。まずは1と2だけでもやってみてください。それだけで、自分のサイトが正面だけの建物かどうかは分かります。
もし確かめてみて気になる点が出てきたら、直し方をお伝えします。営業はしません。
新潟でホームページを作っています。
NextRay 谷川恵介
https://nextray.jp