ああ、ケツが痛え。
初っ端からすいません。前回の記事の話になっちゃうんですが、「痔の件」に関しては現在進行形でして、手術直後でめちゃくちゃ痛いです。職場研修で忍耐力は備わったはずなんですが、これはどうも例外だったようで。
まあそんなコンディションで見るには非常に痛みを要する作品を今回扱う訳ですが、面白かったので問題なし。
コロナ自粛などものともせず、まだまだ衰えを感じさせずに描ききったリドリー・スコットの監督作。
[映画レビュー#101] 最後の決闘裁判
1386年、フランス、ノルマンディーの騎士であるジャン・ド・カルージュ(マット・デイモン)は妻マルグリット(ジョディ・カマー)が彼の親友ジャック・ル・グリ(アダム・ドライバー)によって強姦されたということから彼を訴える。しかし、ピエール伯(ベン・アフレック)によってその訴えは退かれてしまう。そこでカルージュは国王に決闘で決着をつかすことを申し込む。どちらかが真実を唱えているかはカルージュ、ル・グリどちらかが勝つかによって決まるという不条理なルールにマルグリットは身を任せなければいけなくなる。
原題: The Last Duel
全米公開: 2021年10月15日
日本公開: 2021年10月15日
上映時間: 153分
製作国: アメリカ合衆国、イギリス
監督&製作: リドリー・スコット
脚本&製作: ニコール・ホロフセナー、マット・デイモン、ベン・アフレック
原作: エリック・ジェイガー
製作: ケヴィン・J・ウォルシュ、ジェニファー・フォックス
撮影: ダリウス・ウォルスキー
音楽: ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
編集: クレア・シンプソン
衣装: ジャンティ・イェーツ
美術: アーサー・マックス
出演: マット・デイモン、アダム・ドライバー、ジョディ・カマー、ベン・アフレック、ハリエット・ウォルター、アレックス・ロウザー、マートン・ソーカス、ナサニエル・パーカー、他
映画自体は昨年に見たんですが何度か見ていて、これは扱いたい、しかも刺身好きさん
がリドリースコットの映画を取り上げているのだからやらずにどうするんだと言うことで「やります」宣言し、一年近く経ちました。遅くなり本当すみませんでした。
最初は妻の強姦被害を裁判で訴えるはずが、決闘で白黒つけないといけなくなってしまいます。由来としては、神様に真実を尋ねて「勝ったものが生き残るでしょう」というもの。
そんなものが法律としてまかり通っていたフランス、
どうかしてるぜ‼︎(゚∀゚)
って話なんですが、この映画ただ事象を並べるだけでの歴史物ではなく、メインキャラそれぞれの立場をもとに中立に描かれたサスペンスものなっています。どんな感じかについては四つに分けて紹介できればと思います。
①作品の構造について
②それぞれの主張のズレ
③中立に描くことでわかること
④キャストなどの余談
①作品の構造について
この映画の特徴としてカルージュ、ル・グリ、マルグリットの3人の目線によって、事の発端から決闘に至るまでの過程が描かれるという構造になっています。同じ出来事を3回繰り返すんですね。
まあ、人ってたいていとある事象を説明しようにもバイアスがかかったりすることってよくあるじゃないですか。しかも着目点なんて皆んな全く違うと。それがこの映画だと非常にわかりやすく出るんですよねぇ…。
②それぞれの主張のズレ
同じ事象を3回に分けて描く、だけでなくそのキャラが別の場所ではどんなことをしていたか、話していたか、ということも見えてくるので映画が進むにつれてどんどんキャラクターの印象、立場が如何程のものかが変わってきます。章が進むごとに同じ行動でも若干のニュアンス、言い方が変わっているとか、リアクションがこちらでは小さく、もう一方では大きく逼迫した形で表現されていたり。
当然大きな争点は強姦の部分ですが、見ていれば「これ、明らかにレイプやないか」って言うのに対してもル・グリは
「最初のお近づきのキスは挨拶の印以上に、どこか互いに通じ合っているような感覚に陥ったのです。妻ということから嫌がっているふりをしているだけです!あれは愛です!あなたも私を愛しているんでしょう!?欲情してたじゃないですか!」
マルグリット・俺「はぁぁぁぁぁぁ⁈」
たとえ迷えるイケメン、カイロ・レンだとしても補正が効かないぐらいのあかん方向に思考を振り切ってしまっている兄ちゃん。対するカルージュも最初はマルグリットの告白に対し、恨みを晴らすべき立ち上がる良い夫と最初は思っていたけど、「あれ、こいつちょっと…」
「ただの独りよがりじゃないか…?奥さんのこと、ちゃんと考えてます旦那さん?」って次の章では思わされたり。感情を揺さぶられます。
③中立に描くことでわかること
リドリー・スコットの映画は割とその作品内の世界でルール設定がはっきり決まっていてそれに対して動いたり抗ったりする話が多い印象です。「エイリアン」とか「ブレードランナー」、「プロメテウス」「悪の法則」など。今作の場合、法律が完全には機能しない世界で正しさを貫くために命をかけないといけない、という世界の話でございます。
しかも、マルグリットにはどうしようも無いです。
戦うのはカルージュだし。そしてもしカルージュが負けたらマルグリットも死刑になってしまう…。その不条理なルールのもと、男側は面子や、男らしさの追求、女性は尊厳、真実に対し白黒つける、これまでの習わしとして口をつぐんでなるものか、などなど…重要なことから本当に些細なことまであらゆる思惑が交差し命のやりとりがされる辺りが本当に濃く、深い。
脚本はマット・デイモン、ベン・アフレックが関わっているんですが二人は過去にそれぞれ
女性問題を起こしたということもあり、自分は見る限り今作でちゃんと挽回できているんじゃないかなと思いました。さらに脚本チームにニコール・ホロフセナーを迎え、女性目線での意見も交え、性別偏りがない可能な限りの中立を目指した、今だからできる歴史サスペンスになっています。
当然被害を直接受けたマルグリットのことは丁寧に描くのですが、マルグリットを一際良い人、あるいは過度な被害者的に描くわけではなく、彼女も同じく男性陣と同じく望まずに戦わないといけないプレイヤーとして均等に描かれているな、と見てて思いました。だからこそ「羅生門」と同じ、やはり勝敗はつこうとも、真相は「藪の中」な話になっています。中立は極めれば極めるほど「真相」「真意」っていうのはわからなくなるものだと今作を見ると感じるんじゃないかなと思いました。この帰結の仕方でより平等性を示しているように見えました。
④余談
あの完全に余談なんですけど、マルグリット役のジョディ・カマーが、良いんですわ。
女優としても「美しいというか、かわええ方…」だなと思って見てたんですけど、気品はあるんですけどこの映画だからこそ気合で俺ならビビりそうなマット・デイモンに食いつく辺り、自分の立場で可能な限り抵抗しようとする姿勢が勇ましかったですね。
姑も関係ございません。ズバズバ言います。
彼女が主人公の朝ドラを一年見てみたい。
他で言うと決闘前にマルグリットの意思を確認する際に公開尋問をするというシーンがありまして、それがだいぶクソなんですけど、「行為で絶頂に達したら妊娠することになっているんですけど、旦那さんとはこれまで絶頂は感じませんでしたか?」ってマジ顔で聞くんですね。
セクハラとかのレベルじゃねえぞおい!何を聞いてんだよ!踏んづけるわよ!
とね無神経にも程がある審官の質問に対しても毅然としているところであったり、そしてカルージュ不在の間に領地内の経営を効率よくこなす辺り、普通にかっこいいですね。
世間的な男根主義が徐々に取り除かれている今ご存命でしたら是非私と結婚していただきたい、そんな邪推をせずにいられなかったです。
無理だけどな!
まとめ
力対力とうルール以前に非常に不条理な世界で己を貫かないといけない男女の戦いを何層にも描いた歴史サスペンス。撮影期間中にコロナ禍に入り、一時中断したこともありましたが、感染対策万全で再開し、翌年には公開に漕ぎ着けた84歳のリドリー・スコットは強すぎます。
美術や絵の色合いもロケ撮影だからこそのリアルさ、直近のグリーンバック撮影では出ない味が大量にございます。劇場で観てからも時折見返すんですが色んな違いに気づくことがまだまだ多い作品です。レンタルかディズニープラスなどでも観れるのでいかがでしょうか?
ちなみに決闘の後、負けた側は詳しくは言いませんがまあボロ雑巾のような扱いを受けるんですが、このシステムは是非現代にも取り上げるのはいかがでしょうか。某大学生徒で好き放題やって金で解決するような奴もいる時代ですから。
非常に日本の治安が良くなると思います⭐︎
最終評価は93点です
入院している今は元気が欲しいのと、痛みに耐えたいということからアクション映画をピックアップして通信制限を気にしながら見ているんですけど次は何を扱おうか決め兼ねてるので更新した際の発表という形でいこうと思います。
というわけで皆さん、
何事も同意を得ることを忘れないように!(いらんお世話だばかたれ)
最後までお読み頂きありがとうございます!
ではまた!















