現地雇用になって、失ったものは少なくない。
住宅補助。
一時帰国費用。
福利厚生。
日本の社会保障。
会社が用意してくれていた「安心」は、ほとんどなくなった。
もちろん不安はあった。
でも、一番大きかったのは、お金ではない。
「会社が人生を設計してくれる」という前提を失ったことだった。
駐在員の人生は、ある程度会社が設計してくれる。
海外へ赴任し、数年働き、帰国する。
住む家も、保険も、子どもの教育も、ある程度は制度の中で考えられている。
現地雇用になると、その前提はなくなる。
どこに住むのか。
どんな保険に入るのか。
老後はどうするのか。
すべて自分で考え、自分で決める。
最初は、それを「失った」と感じた。
でも今は少し違う。
会社が決めてくれなくなった代わりに、
自分で選べるようになった。
それは責任でもあり、自由でもある。
駐在員ではなくなって、失ったものは確かにあった。
でも、その代わりに手に入れたものもあった。
それは、
自分の人生を、自分で設計するという感覚だった。