30年前、米国で親しくなった友人
妙に気が合い当時は仕事だけでなく
プライベートでも常に一緒だった
互いに30代前半
仕事上では大きな目標や夢を
毎晩、飲みながら語り合っていた
帰国後は数回しか会っていないが
最近になって時々、やりとりする
「トレードオフ」という言葉がある
ある目的を優先して達成しようとすると
別の目的や価値をある程度あきらめたり
犠牲にせざるを得ない関係を示す意味である
日本でいう
「何かを得るためには
何かを犠牲にする」
と似たような意味である
若い頃、彼はトップを目指すために
「恋愛や結婚は二の次だ!」
そう常に口にしていた
自己顕示欲も人一倍強く
人間関係においてもトラブルが少なくなかった
その彼が60歳を手前にして
一人の女性と知り合った
大きな商談が懸かっていた日の
フライトの天候トラブルでダメになった
彼が8か月もかけて準備した契約だった
全てを失ったような抜け殻の彼に
その時、声をかけたのがその女性
トラブル先の航空会社のグランドスタッフだ
「It's never too late start over.」
日本語で
「いつからでもやり直せる…」という
人生はいつでもやり直せるということわざだ
最初は彼もイライラして彼女を睨みつけ
「自分が多くのものを犠牲にして
ここまで積み上げてきたものは
そんな簡単なものじゃない!」
そう怒鳴りつけたという
しかし、その彼女の返答が…
「大切なものを犠牲にしてまでなぜ?」
小さな子供がまるでそれを理不尽なことだと
とても不思議そうに尋ねてきたらしい
その時の彼女の質問に
「何を犠牲にして何を得ようとしたのか?」
彼は自分の20年間を振り返り葛藤したのだ
しかし彼にとってはその挫折は
全てを無にするような喪失感しかなかった
それ以降、彼は彼女と恋愛して
「何かを犠牲にするなら遠回りする」
そんなことを私に言うようになった
小説や映画、ドラマでも
”タイムリープ”設定が少なくない
2026.6.3 ブログ
(両方の人生とも肯定してほしい より)
時代が少しずつ変わり思考も変化している
”犠牲にする”という概念が覆ったのだろうか
その彼が夫婦で明日、来日する
直接会うのは16年ぶりだ
明日は妻も一緒に4人でディナーだ
随分遠回りした私たち夫婦の物語
もう何も犠牲にしたくない者同士
楽しみな夜になりそうだ
