日曜の夕方、妻のミュージカル仲間を先週に引き続き我が家に招待した

 

今回訪問してくれたのは”この道(舞台演劇、ミュージカル)30年”の妻が以前勤めていた病院の元院長だ

 

ドラマ「ドクターX」の蛭間院長(西田敏行)はステーキ店やクラブ通いばかりだが、この元院長は時間ができるたびに大劇場、小劇場関係なくミュージカルや舞台演劇を楽しんでいる強者だ

その彼の「日本の舞台演劇」のレクチャーを二人でお聞かせいただいた



「20世紀号に乗って」の感想は改めて投稿するが先ずは私自身が勉強になった感想を伝えたい

 

舞台演劇やそこに属する劇団員の話は私にとって驚きと感心の連続だった

掻い摘んで整理すると…

◎演劇一本で生活できる人間は一握りだという事

ほとんどの劇団員(特に小ホール)はアルバイト等で生活費を稼ぎ、限られたスケジュールの中でオーディションで役を勝ち取っている

舞台で”活動すること”と”活躍すること”が大きく異なる世界である

作品を重視する観点と箱(劇場)を埋める観点が交錯しながら作品を作り上げる

 

◎本番に向けた厳しい稽古とトレーニングに費やす膨大な時間

出演が決まっている公演に向けて膨大な時間(稽古、練習、トレーニング)が費やされる、作品上、得意、不得意関係なく役を演じるためにベテラン、新人関係なく休むことなく納得できる演技が求められ、また与えられた役割を最大限演じることを必須条件とされる

 

◎作品として高評価は必要だが箱を埋めるという結果が優先される

興行として成り立つことが演劇を続ける、次につなげる唯一の方法であり演劇通、ミュージカル通の評価は二の次であり数字での評価が最も求められる

 

◎ブロードウエイの名作は誤魔化しがきかない

宝塚歌劇や劇団四季など固定のファン層を保有している劇団でないとブロードウェイの名作ミュージカルでの興行は成り立ちにくいのが現状である、名作は比較対象が明確になるので演出、俳優、構成全てにおいて高いレベルの表現が求められる

前回の「20世紀号に乗って」は宝塚

来年の話題の「バックトゥーザフューチャー」は劇団四季など

 

◎活躍できる俳優になる為には「実力」と「強運」

才能、技術、経験という実力だけでは演劇の世界で活躍することは容易でない、あらゆるエンターテイメントにおいて”運”は重要である、”運も実力のうち”の世界

多くの俳優たちが鳴かず飛ばずのまま芸能の世界から姿を消していくのが現実である

 

リビングでの世間話なのだが、いつの間にかノートにびっしりとメモを録っていた(汗)

 

二本目のワインを開けた段階で

「先生、本日の”20世紀号に乗って”はいかがでしたか?」

私はたまらず一番聞きたいことを尋ねてみた

先生(元院長)は私たちが今回の作品の主演のファンだとは知らない

 

「ワイフから聞いたんだけど…今作の主役、以前の”ハウトゥーサクシード”も主演していたそうだが…普段、観かけない俳優だが実力はある若者だと感じたよ」

 

妻とこっそり顔を見合わせてガッツポーズ&テーブルの下でタッチ

続けて…

「ストーリーの設定は年齢的にも無理がありそうだったが物語にさほど影響せず気にならなかったというかむしろ彼のコミカルな演技がしっかり表現されてたよ」

うむうむ

 

「脇を歌唱力のあるベテランが固めていて舞台上のかなり難しい表現もパフォーマンスには遜色はなかった、何より男役出身の珠城りょうがなかなかチャーミングに演じていて新鮮だったね…」

「久しぶりに戸田恵子の公演を観させていただいたが、流石だね、相変わらず周囲に演技のリズムを合わせる天才だね」

「せっかくの大劇の舞台なんだからもう少し舞台セットにメリハリがあった方がよかったんじゃないかな…」

 

それ以降はリアルに先生の批評が止まらない

妻に聞くとこの先生は基本的にマイナスの批評はしないとのこと

観客で客席が埋まる作品は結果を出しているからそれが全てだという

ある意味、極端に褒めはしないが、口にすること自体が評価だというのだ

 

これだけの名作を複数公演するのだから多少の犠牲を払ってもこの舞台にかける意気込みは必要だったはず…と先生が語り始めたタイミングで主役の増田貴久のことを簡単に説明した

(アイドルとしてドームで数万人規模のライブをやる、テレビの複数のバラエティにレギュラー出演しているなど)

 

先生は少し驚いたような様子で

「片手間でこの作品の主役を演じているわけじゃないと思うが、それ相当の覚悟と彼なりにこの舞台に演じる執念のようなものがあったんじゃないだろうか?私にはテレビに出たり、ライブに出たりしながら仕上げてきたとは思えないんだが…」

 

先生に聞いて名作ミュージカルは集中してこそ当たり前、片手間ではないだろうが現在演じている彼の苦労や覚悟は只者ではなかったと改めて感じた


 

メモの整理が完全ではないが改めて続きを投稿しようとおもう