急ぎの依頼原稿を書斎に籠り書いてると

リビングから妻の電話?の声が…


それが延々と一時間以上聞こえてくる

妻は長電話を普段しない

いつも簡潔に用事だけ伝える

しかし、昨晩は違う

時々少し大きめの音量で

「だとしても…」

「いや、それは違う」

「貴方はわかっていない」

「そうとるのはおかしい」


誰かと口論?

病院関係者?

妻の方が長引かせてる?


コーヒーのお代わりにドアを開けると

妻がバツの悪い顔をしながら

「わかってくれればいいのよ、人それぞれだけど、表現によってはね…」


そんな風な会話で電話を終わらせた


「どうしたんだ?君らしくない」

そう言いながら妻のカップにもコーヒーを注ぎながら尋ねてみた


最初は「別になんでもない…」

と言っていた彼女がコーヒーを一口飲んだ後

「これ見て」

と言ってiPadを私に見せてくれた


そこには彼女の昔からの友人のSNSの画面が

「20世紀号に乗って」の感想というか批評が投稿されていた

(現在は削除ずみ)


私から見るといちミュージカルファンの

忖度ない素朴な感想が書かれていた

妻が気になったのは

「設定よりオスカーが若すぎる、だから歌もセリフも少年のイメージ…」

と表現され

「以前のフィンチがハマり役だったから残念だった」と書かれている


親しい友人だから〝その表現〟には

「短絡的すぎる」

「設定にこだわるのは…」

「ミュージカルは観て楽しむもの」

「もっと純粋に物語を見て…」

妻なりに反論していたみたいだ


どうも妻はNEWS事になると

冷静さを失う事がある


昨秋、妻が登壇したトークショー

「子育て世代のコミュニケーション…」

の後にSNSでは好評の意見の中に

「子供を産まなかったくせに…」

などの私が見ても辛辣な意見に感情的になった書き込みもあったが

「私産んでないから…」

「でも何千、何万と赤ちゃんとコミュニケーションとってきたから(笑)」

と冷静でいる


それが深夜に延々とらしくない行動


ミュージカルは作品のたびに

ミュージカル通ぶった方がそれぞれ感想を書くものだ

自分がどれだけ多くの作品を観てきたか、どれだけ長くミュージカルを愛してきたかの自慢合戦のような投稿もある

中には自分の推しの俳優を応援する意識で配役自体に物申す勘違いなファンもいる


しかし、総評すると

作品を貶すより褒める(誉める)方が本物の通だと聞いたことがある

本当の通は対外的に誉める発信はするが、評価しない時は全く発信しないというのだ


ミュージカルの世界を大事にすること

それは多くの関係者が一生懸命に携わりファンにその作品を表現する、それが全てだという事


ましてや大ホールに満員の観客を集めている作品を非難する権利など誰にもない



その通りだ