大型客船の航行中に日常的に起こっていた
船長による機関室でのパワハラ…
対象となった若い機関員は耐えるしかなかった
見て見ぬふりをしていた機関長は
船長の右腕として船を動かしている
その歴史は決して短くはなかった
ある日、その船長が他界した
その船長の意思を継ぐがごとく
元機関長は船の航行に携わるようになった
その後…
その歴史ある船の機関室に見えない異常が
少しずつ感じられるようになった
過去から何度も繰り返された異常だった
それでも現場の機関員は必死で対応した
歴史あるこの船は人気があり
毎回、多くの乗客を乗せて航行している
ある日、この船のナンバー2にまで
登り詰めていた元機関長が
ある異変に気がついた
船長にパワハラされていた元機関員が
船に潜り込み何やら不穏な動きを…
元機関長は全て知っているから
これから何が起ころうとしているのかを
新しい船長は利益至上主義だった
乗客の安全よりも効率を優先させていた
その船長は元機関長に船の航行を一任している
副船長となっていた元機関長は
「このまま船の航行(機関室)に〝何か〟あれば私が矢面に…」という不安が募るばかりだった
元機関長は黙って船を降りた
その後…
船では様々な問題が起こるようになった
人気の船だったが
元いた機関員たちが声を揃えて
亡くなった船長の事を世間に公表した
真偽は誰もわからなかった
死人に口なし…告発側の思いのままだ
それでも
船の乗組員たちは乗客の為に必死で船を守る
当事者と言ってもいい元機関長は
全てを知るはず、皆そう感じていたが
まるで自らは何も関係なかった様子だ
それだけでなく元機関長は新しい船を作った
その船には新しい船長の利益至上主義についていけなかった乗組員が移っていた
その頃も世間は一斉に船を避難した
便乗とも言えるような
「今更…」現象が続いている
面白おかしく中傷する人も増える
本来なら慎重に扱うべきデリケートな言葉が
興味本位だけで扱われる
船の全盛期の頃の元乗組員たちが
必死で擁護する姿も見受けられたが
世の中はより厳しい目で避難する
この船を愛する乗組員たち
この船を愛する船のファンの乗客たち
健気なくらい懸命に船を守っている
新船長もそれに感化されるように…
しかし…
世間は真実を求めている
もちろん問題には目を背けず対処は必要だ
根本的な原因追求と再発を防ぐ為だ
その為に当時を知る責任者の証言は大事だ
しかし、何故?
元機関長は口を開こうとしない
事件は現場で起きていたんだ
そして元機関長の管理下で
沈没前に逃げ出したと言われることが怖いのか?
しかし、現代のタイタニックは沈まない
残った乗組員たちには
大好きな船を
大好きな乗客を
守り続けていくという思いがある
その必死さを見る限り
この船は絶対に沈まない…強くそう思う
何気に思いついたフィクションだ
全く意図はない
