組織を有機体として捉える具体例 | 続・ティール組織 研究会のブログ

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ティール組織が話題になっているが、具現化するにはどうしたらよいか?
その研究を続けるにあたり、さらに次の形態である、続・ティール組織なるものまで視野に入れ、具体的な施策・行動内容を研究・支援する会。

先に組織を有機体として捉えてみる!と

いうのを記載した。詳細はこちら

組織を有機体で捉えるとは?を

もう少し深堀してみたい。

 

・組織が12名の場合

どの部位を追加するかは各組織ごとに事情

は異なると思う。各組織に見合ったように

部位の機能をよく見ながら役割を設定して

いくとよい。今は足を4人にしてみた例を記す。

 

 

まずは、組織を有機体として捉えた場合、

上記の10部位は欠かせない部位である。

この部位がないと、有機的に動きにくく

なると言う意味で、欠かせない部位と

言える。

つまり、有機的に動けていない、機能して

いない組織というのは、重要な部位が

欠けているのである。

例えば、脊髄が欠けると、屋台骨がない

ので、プロジェクト的に組織が変わったり、

人が辞めてどんどん入れ替わったり、

成果も毎年アップダウンが激しくなったり、

変化の激しい部署になってしまう。

組織が安定できないのだ。

他にも、心臓が欠けると、常にエネルギー

を供給し続けてくれる人がいないので、

士気が上がらなかったり、繁忙のスピード

に組織がついて行けないことになって

しまうのである。

さらに足が欠けると(足は通常2人以上)、

外へ向かって伝達したり、交渉したり、

運搬したり、協力したり、という足の役割

がないのである。こう考えると分かるが、

非常に閉鎖的な組織になり、外との交流

がほとんどなくなってしまう。

こうなると、創造力やアイデアも出て

こなくなり、日々の業務を淡々とこなす

だけという組織になってしまう。

 

それゆえ、まずは自分の組織が上記の

10部位は機能として持っているぞ!

つまりは、役割としてこなしてくれている

人がきちんといるぞ!かどうかを検証

してみてほしい。

それがセルフコンサルティングになる。

イメージをつけるため、営業部以外の

別の部署での例も下記に記載する。

 

 

・組織が12人の製造部の場合

製造部の場合に、どのように上記の10部位が

当てはまるのかを見てみよう。

なお、まずは静的に役割を捉えることとする。

動的に役割を捉えると入れ子構造になるので

複雑になるため、まずはLv6多元型までに

見られるような静的に捉えることにする。

 

1.脳: 製造部長!

  脳の役割として、未来予知、意思決定

  などのリーダーシップを発揮するような

  役割であるため、ここは部長であろう。

  異論はないハズだ。

  脳のなかでも意識である受信機能と

  意志である発信機能があるとすると、

  部長の役割は意志である発信機能の

  方である。メンバー全員にきちんと意志

  を示して、未来を予知し、リーダーシップ

  を発揮して、組織を導いていく役割が

  部長であろう。

 

2.目・耳・鼻: 製造課長!

  目・耳・鼻はリスクを察知したり、気づき

  を得るような役割であった。

  目・耳・鼻から得られた違和感などは、

  脳の意識に伝えられ、知覚するという

  仕組みであった。まさに組織も同様で、

  違和感を知覚し、部長に伝えていくのが

  課長の大きな仕事の一つであろう。

  また目・耳・鼻によって、見えること、

  聞こえること、におうこと、を知覚し対処

  していく役割であるが、組織も同様で、

  これらの機能は組織をマネジメントする

  役割であり、重要な役割であるため、

  管理職の課長などが当てはまるのでは

  ないか。異論はないだろう。

 

3.口: 製造副課長 or 重鎮のメンバー

  口の役割は、言いにくいことを指摘する

  ことであった。つまりは上司に対して、

  同僚に対して、厳しいことを言える人

  であった。この口の役割は組織を正しく

  運営する上で、とても重要である。

  この口の役割の人が居ないと、管理職

  が権力を行使しすぎたり、逆に、

  メンバーが従順になりすぎたりして、

  組織がダイナミックに動けない原因に

  なってしまう。

  それゆえ、しっかりと言いにくいことも

  ズバッと言ってくれる役割が組織に

  1人でもいれば、それはとても助かる。

  そんな重要な役割が口である。

 

4.脊髄: 基幹製品ラインの担当

  脊髄は屋台骨となる役割であった。

  この屋台骨が揺らぐと、組織も揺らぐ。

  それゆえ、基幹製品ラインの担当だとか、

  基幹行程の担当だとか、組織にとって

  基幹的な役割を担っている担当がここ

  に該当する。

  それが1人か2人かは各組織によって

  異なるが、いずれにしても基幹的な

  ラインや行程を担当しているという

  重要な役割を担っている人である。

 

5.心臓: マルチラインの担当

  組織がかかわるすべてのラインを熟知

  しており、1人でマルチラインを担当し、

  製品を造っていく。しかも、急ぎのロット

  が飛び込んできたとしても、それを

  夜勤をしてでも処理してくれるような、

  無尽蔵に組織のために尽くしてくれる人

  が心臓の役割に該当する。

  このような人がいれば、組織は安泰で、

  最後はこの人が何とかしてくれる!という

  最後の砦のような存在である。

  この心臓の役割の人が居ないと、皆が

  口ばかり、頭ばかり、になって、実際に

  動かないため、どんどん組織機能が

  鈍くなっていくのである。

 

6.膵臓: 過去のデータベース担当

  ノウハウや品質に係るあらゆる過去の

  データを記憶しているような人である。

  細かい不良の原因だとか、気温変化に

  よる機械の故障のパターンとか、

  あらゆる過去の不具合から起こり得る

  リスクを想定できるような知恵袋的な

  存在である。

  膵臓が脳と同様の機能を持っていると

  言われるように、まさに組織にとっても

  膵臓の役割は頭脳そのものであって、

  過去情報からくる潜在的なリスク等の

  予測をしてくれるのである。

 

7、8.両手: 事務的な処理担当

  例え製造部だったとしても、事務的な

  作業は多く存在する。そのような事務的

  な細かい作業を主に担当してくれる人

  である。専属で事務担当がいる部署も

  あれば、専属ではおらず2,3名が主に

  担当している部署もあれば、様々だろう。

  手は細かい処理をする役割であり、

  組織も同様で、細かい処理をする担当と

  して事務担当が該当するであろう。

 

9、10.両足: 他部署への交渉担当

  足の役割は今いる場所から移動する

  ための役割である。組織も同様で、

  今いる場所に留まり続けているだけ

  では、組織は活性化しない。

  もちろん間接的な部門で外に交渉に

  行くことがないよという部署もあるだろう、

  しかし、物理的に外に行かずとも、

  外に向かってアクションを起こしていく、

  交渉していく、働きかけていく、という

  仕事は有るはずだ!これが足という

  役割になる。

  足は知識もないといけないし、組織の

  方向性も知っていないと間違った場所

  へ向かってしまう。

  そのため、足は単に外へ向かうという

  単純な役割ではなく、全体を見据えた

  上での外への働きかけという役割に

  なるのである。

  このように他部署への交渉をしていく 

  仕事は小さい交渉から大きな交渉まで

  様々あるだろう。大きな交渉になると、

  予算なども絡んでくるので部長が出て

  いくことになるだろうが、小さな交渉で

  あると、足である担当が、他部署との

  交渉をこなしていくのであろう。

 

 

・セルフコンサルティング結果!?

いかがであろうか?自分の組織では、

10の部位の役割をこなしてくれている人は

きちんと居るであろうか?

居ない場合、どの機能が欠けているのか?

をきちんと分析することで、その役割を担って

くれる人を育成していく、採用していく、などの

方法を取っていくことになる。

 

先には営業部、今回は製造部でやってみたが、

どの部署でも同様の事が言えるので、ぜひ

一度やってみていただきたい。

 

なお、繰り返しになるが、役割はどんどん増やし

ていっても構わない。”血液”とか、”胃・腸”とか、

”肝臓”などを加えていけばよい。

また、1人1つの役割とは限らない。兼務している

場合も多いであろう。その兼務が複雑に絡み

あっていった場合が、入れ子型組織、つまりは

ティール組織になっていくのであろう。

 

ティール組織とは、役割を固定するような静的な

箱として組織を見ているのではなく、役割が動く

という動的な有機体として見ているのである。

だから、まずは”人間”という有機体に組織を

当てはめて、現状分析をするのである。

いざ、有機体として動く場合に、どの機能が

無い・弱い・絡み合って機能していない、など

の症状があるのかを分析してもらいたいのだ。

 

分析したら、対策が打てる!

という具合だ。