当研究所には、医療関係者、病院事務方関係者の方も多く来院します。
それで思うことがあります。
今の社会の縮図とも言うべきことです。
一般の患者さんは治療室も感染するかもと言う不安を持って、来なくなる人もいます。
そんな中で、
医師、歯科医、看護師、理学療法士など医療関係者の方が、当研究所での治療において、それほど感染を心配して来る方がいません。
対策を正しく行っている所ならば、正しく行動しているならば心配ないと考えているからです。
診療科(内科、整形外科、精神科などを示す)にもよりますが、そもそも普段から新型コロナウィルスより致死率の高いインフルエンザなどの治療にあっているわけですから、感染症は日常なのです。
感染症患者を直接治療に当たっている病院は別として、
「病院の方が安全なんですよね。対策を取っていますから。」
と仰る方もいます。
病院は、万全の対策をしていると常に仰っています。
ことさら、正しい知識も持たず「恐怖」と「不安」を持ち続けることは、ストレスを高め自律神経失調を招きます。
そして、感情的な判断をするから医療関係者を差別したり、県外ナンバーを煽(あお)ったりするのです。
意味のない感情的な「恐怖」や「不安」は、正しい知識を付けて払拭(無くす)べきです。
さて、
政府が早期の段階から期待をかけていた新型コロナウィルス治療薬である「アビガン」。
もう耳にされた人も多いと思います。
「アビガン」は、もともと富士フイルムホールディングスに買収された旧富山化学が1990年代後半から開発してきた薬剤です。
インフルエンザに対する薬として発見された化合物です。
インフルエンザも新型コロナウィルスもRNAウィルスです。
ですから、新型コロナウィルスにも作用すると考えられます。
旧富山化学が、炎症性疾患、神経系疾患の領域を対象に、新薬のタネを探していたところ、たまたまインフルエンザに活性のある(インフルエンザウイルスに作用する)化合物を見つけたました。それが開発コード「T-705」、後のアビガンです。
しかし、日本政府の期待のわりにはなかなか治験(薬としての認可をする前に安全性や副作用などを実際に人をつかって試験すること)の域を出ていません。
早い話が、なかなか実用の域には達していないのです。
なぜでしょうか??
結論から言えば、
その本当の科学的な効果実証が必要で副作用が心配されるからです。
薬には必ず副作用があり、ウィルスに効くとなればかなり強い薬となります。
アビガンは動物実験で催奇形性(胎児に奇形を生させてしまう性質)が確認され、ゆえにインフルエンザ治療薬として使う場合も妊婦への使用が禁じられています。また、肝機能障害や妊婦だけでなく、妊娠予定の若い女性、子供を作ろうと考える男性に使用しても生まれた子供に催奇形性があると報告されています。
どうしても、危険性が付きまとい急いで使って重篤な副作用をもたらせば、政府の責任を追及されます。

(FMM PRIME ONLINE)
また、新型コロナウィルスの感染者に対しては軽症や中等症の患者では高い効果が見られますが、重症患者への効き目は必ずしも十分とはいえません。
それには、このアビガンの作用機序(どのように作用して効果を上げるのか)が関係しています。
誤解を恐れず、もの凄く簡単に書きますと・・・
アビガンは、ウィルスの増殖を抑える作用があるのです。
その効果が主要な作用です。
ですから既に感染が身体に(特に肺に)広がってしまった重傷患者には、十分な効果がありません。
ウィルスの増殖を抑えるだけですから、ウィルスを殺菌すると言う効果ではないのです。
ですから、増殖を抑えてそのあいだに患者の免疫による回復を待つというパターンです。
一般的な風邪薬も同じです。
風邪は正式には「風邪症候群」といって、上気道(鼻やのど)の急性炎症の総称です。
この風邪に使われる風邪薬は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、喉の痛み、咳、痰などの症状を抑えているだけです。
事実として、風邪自体を治す薬はありません。
作れれば、即、ノーベル賞と言われています。
そもそも、風邪のウィルスは200種類以上といわれ、どのウイルスが原因で起こったのかを特定することは困難です。
また、
同じウイルスでもいくつもの型があり、それが年々変異します。
このため、一度感染したウイルスに対抗する免疫ができたとしても、次々に新しいウイルスに感染するため、繰り返し風邪(かぜ)をひいてしまいます。
これは新型コロナウィルスに関しても同じです。
この新型コロナウィルスも年々進化するどころか、もっと速く進化します。今でも3種類の新型コロナウィルスに変異し、ヨーロッパ、北米、アジアとその環境に応じて自分たちが増殖に適するように進化しています。
アビガンは、コロナ患者の重症化防止が大きな課題となっている現状においては、アビガンの欠点・副作用を考慮した上で、軽症の高齢者に投与すれば問題ないように思えます。
しかし、
十分な治験を行わずリスクを冒すことは、内閣にとっても政治的な賭(かけ)になります。
旨く行けばいいですけれど、そうでないときは・・・。
政府関係者は催奇形性を考慮し、
「薬害のリスクがあるため、緊急事態といえども簡単に承認できない」
と言います。
前例としては「サリドマイド」による薬害です。
サリドマイドは、1950年代後半、日本を含む各国で睡眠薬・鎮静薬として販売されました。
しかし、妊娠中の女性が服用したケースで多数の胎児に重度の先天異常を引き起こしたため、世界的に販売中止となり、回収が行われた薬剤です。
子宮頚癌ワクチンも、重篤な副作用を若い女性にもたらしています。
結局のところ、一番肝心なのは、感染しないことです。
つまり免疫力を付けることが、一番大事で重要な事だと思います。