こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、また独断によるツッコミなどをお届けしています。

 

今年の抱負として、まず「先入観から脱する」過去記事参照)を挙げたが、もう1つ気をつけたいのは「Input の機会を意識して作る」という事…

仕事に追われ、Outputばかりになると、どうしても疲弊してしまい、仕事自体も辛くなってしまう…好きでやっている事のはずなのに、それが単なる苦痛になってしまっては本末転倒…はっきり言って、俳優業はその仕事を得るまでが苦難の連続なのだそれを乗り越えてやっと得た仕事が苦痛になってしまったら、何の為に苦労しているのか分からなくなってしまう

 

 

 

そういう時、舞台や映画のいい作品を見ると、「自分もこういう仕事がやりたいんや!」と初心に戻れ、その為に頑張らねば…という気にもなれる…

幸運にも、去年からユニオンのおかげでBroadwayやOff-Broadwayの舞台を見る機会により恵まれるようになった…Broadwayはチケットが高すぎて我々地元民には高嶺の花…その結果Broadwayはもはや観光客のものとなってしまったが、Off-BroadwayはまだThespian(演劇人)のものである…とはいえ、これも我々貧乏俳優には中々手が届かない…なので私は以前はUsherをやることで、よくOff-Broadwayの舞台を見ていたのだが、最近はそのUsherにも中々なれなくなった…そこでしばらくOff-Broadway から遠ざかっていたのだが、去年から舞台のユニオンAEAが、メンバー対象に時々コンプチケットを提供してくれるようになった…もっとも早い者勝ちの要素はあるが、去年私が見ることができたOff-Broadway のプロダクションのほとんどがこのシステムのおかげである…それまでただ年会費を払い続けてきた甲斐があった…

 

それまでも、Off-Off Broadwayの、たとえば友人の出ている舞台や、私の所属するシアターグループの公演などは見に行ってはいたが、やはりOff Broadwayはレベルが違う…まぁ、時々それほどでもないプロダクションに当たってしまう事もないわけではないが、押し並べてOff-Broadway は、Broadwayの一歩手前…つまりこのまま小屋の規模を大きくすればそのままBroadway…というレベルである事が多いので、玉石混合のOff-Offとはやはり一段違う…

 

ちなみに、よく日本からのプロダクションで「Off-Broadway 公演」とうたっているものがあるが、その多くは実は「Off-Off Broadway」である…というのも、Off-Broadway は、出演者やStage Managerはユニオンメンバーでなければならないのだが、このユニオンメンバーは実質的にはアメリカ市民か永住者でなければならないからだ…

 

そういうわけで、今年も初Off-Broadway の舞台を見る機会を得た…場所は、マンハッタンのミッドタウン…タイムズスクエアから少し西に外れた小劇場である…

 

実は、私の見た日のプロダクションは、ちょっと微妙な出来だった…二人芝居のうちの一人は素晴らしかったのだが、もう一人の方がちょっと微妙だったのだ…しかもこの「微妙な方」がいわゆる「有名人」で、登場した時に拍手が起こったが、もう一人が登場した時はシーン…しかし私はこのもう一人のベテラン女優さんの方が、数段素晴らしい演技をしていたと思う…

こういう風に、観客にもその実力の差が一目でわかってしまうところが、舞台の怖いところである…そしてそれこそがライブシアターの醍醐味でもあるのだが…

 

この時に、「微妙」な俳優を貶すのは簡単だが、こういう時こそ我々にとっては学習の大きなチャンスでもある…一体どこがいけなかったのか?そして、もし自分が演出ならどうやってそれをよくする事ができるだろう?…そして、同じような事を実は自分もやっていなかったか?!…と自分にも問いかけるのも重要である…というのも、得てして自分も同じような事をやっていたりするからだ…まさに、「他人の振り見て我が振り直せ」他人のを見ればすぐわかっても、自分の事は中々気が付かなかったりするものだ

 

もし見た作品が文句なしに素晴らしいものなら、それはそれで「いつかこういう仕事を自分もしたい!」というインスピレーションになる…しかし、それがたとえ外れな作品でも、それはそれで学習の機会になる…だからInputの機会はできるだけ取るようにする…

それが好きな事を好きでいる為の、一番の方法かもしれない…

 

 

★過去記事★