こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、また独断によるツッコミなどをお届けしています。

 

先日お話しした、無理難題のセルフテープのオーディション過去記事参照)…本当に途方に暮れたが、しかしだからと言ってそれをパスする…という選択肢は私にはなかった…

そもそも、それは製薬会社のプリント広告なので、経済的には当たれば大きい!…なので、その分エージェントも是非とも自分のタレントにオーディションを受けさせたい…と必死だったりする…

 

さらにそれは「日本人」対象…実はこれは結構レアで、「アジア人」と大雑把に括られている場合は、だいたい暗黙の了解でその対象は中国人、もしくは韓国人、場合によってはインド人もし国籍を指定されている場合、つい最近まで日本はアジア・マーケットから外されている?!…という事も結構あったりしたのだ…この機会を逃したら、今度はいつまた機会があるか知れたものではない

 

そしてその年齢層は55歳から65歳…実年齢で言えば、私もしっかり一応その範囲内ではあるのだが、どうもそこでイメージされているのは60代から70代のシニア世代っぽい?!…とはいえ、最近の日本の本物の60代はすごく若々しくて、はっきり言って白髪混じりの黒髪なんて人は極めて稀だろう?!…むしろグレーになったら、それを別の明るい色に染めてたりして、カラーリングを思いっきり楽しんでいるのではないか?!

 

とはいえ、最近はオーディションも少ないし、これはやるだけやってみよう…という気になった…

そこでまずワードローブから、パステルカラーの服を探す…するとクローゼットの奥の方から、水色のニットのノースリーブのトップが出てきた…普段はダークスーツの中に来ていたりするのだが、これも一応パステルカラーではないか?!…それにベージュのパンツ…これが唯一の明るい色のパンツなのだ…しかし、水色とベージュ…普段は絶対に避ける組み合わせである…それに実際着ても…似合わねぇ~!…おまけに、ニットだからと油断して、そのトップの皺がかなりはっきり映っていることに気がついたのは撮影が終わってから…しかもそのニット地の細かいリブが、画面上では変な模様として映ってる?!…この服は2度とオーディションでは着ない!と心に誓った…

 

まずは最初の自己紹介ビデオ…これは普通に横長で撮る…さて、ここからが問題…次は全身像も必要なのだが、横長では絶対に全身は映らないので、カメラを縦長にするしかない…しかしそうなるとこの狭い部屋では、設定をまた変えねばならない…どう考えても足首より下は映らない事が判明し、これはやはり外に出て道で撮るしかないのか…と思ったら、いきなり外は土砂降りの雨?!詰んだ

 

そこで、外は完全に諦め、部屋の中で撮る事にする…が、雨のせいで、外からの明かりもあまり入らず、画面が滅茶滅茶暗い?!…リングライトや他のライトを最大に点けまくって、できる限り明るくしたが、どうもイマイチうまくいかない…多分画面の設定でなんとかなるのだろうが、こういうテクニカルな問題になると、テクオンチの私にはもうお手上げである…まぁ、顔が見えればいい…という事にしてもらうしかあるまい…

 

そこでまず写真を撮っていく…これも夫は仕事中で手伝ってもらいえないので、リモコンのシャッターで撮ったが、最初どういうわけかそのリモコンが使えず、本当に焦った…それは唐突に直ったが、一体何が問題だったのかは今も謎である…

 

そこでまず、正面の写真を撮り、右側、そして左側の横顔…そして問題の「歩いている全身像」?!実際に動いているところをリモコンシャッターで撮るのは私には不可能である…そもそもそんなに歩けるスペースなんてない…それによしんば、誰かにシャッターを押してもらっても、動いているのだからピントがずれたりせんか?!

仕方がないので、歩いている途中でストップモーションにし、シャッターを押す…そして、なんとか自然に歩いているように「見える」写真を撮る事ができた…

 

さて問題はここから…例の「歩くシーン」と「語り」のビデオである…この歩くシーンについては本当に悩んだ…まず左か右から画面に入ってくる…のだが、これも全身を撮るためには画面は縦でなければならない…そうなると、画面に入ってくる前は1歩、もしくは1.5歩しか歩けない?!…しかしこれはもうこれ以上どうしようもない次に歩く時にもう少し距離を歩けるようにするしかあるまい…が、どうやって?!

 

もはや1テイクで撮るのは諦めるしかない…そこでまず左から画面の中に入り、正面を向く…そこでカット…

次に、そこから前に歩く…なんてスペースなどないので、またカメラの位置を変える長方形の部屋の長い方を使い、その部屋の端からカメラに向かって歩く…これなら数歩歩けた!…そしてそのままカメラに向かって歩き、ウエスト上まで近づく…と、何と頭が切れる?!ウエスト上でフレームに入るには、歩くに従って誰かにカメラを上に動かしてもらわねばならない?!…しかも、最初の遠いところにピントが合っていたので、近くに来た時はピンボケではないか?!…ここからいよいよ「語り」に入らなあかんのに、ピンぼけしてどないすんねん?!…おまけに、ピンボケだけでなく、そこの明かりの状態も滅茶苦茶悪い…そこで、カメラに向かって歩き、近づいたところで再びカット…

そしてまたもやカメラの位置を変え、「語り」の部分だけまた別撮りする…その時に1~2歩後ろから歩いてフレームに入るようにし、それらを編集で1つにまとめ…たが、編集技術がないので継ぎはぎが見え見えですごく間抜けである…しかし考えてみたら、何も「それを全て1テイクで撮れ」とはどこにも書いてない!…という事で、かろうじて何とかその「指示」を遂行(?)した苦肉の策のビデオが出来上がる…自分でもツッコミ満載だが、もうこれ以上どうする気にもなれなかった

 

こうなったら、少なくとも「指示」を遂行しようといた、その涙ぐましい努力だけでも認めてほしいもの…そしてもはや、その頃には受かるかどうかなど、この際もうどうでも良くなっていた…

 

 

★過去記事★