こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。
NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、また独断によるツッコミなどをお届けしています。
麦草のオーナーの神対応の協力(過去記事参照)によって、苔の魅力を堪能し(過去記事参照)、撮影も奇跡のように上手くいった(過去記事参照)のだが、その翌日はなんと土砂降り?!…その日に、やや強引に全ての撮影を済ませておいた(過去記事参照)のは、本当に大正解だった…と、本当に胸を撫で下ろした…
前日の様に、少しでも雨が上がってくれれば、Bロールの風景の映像なども撮れるのだが、本当にこの日の雨は翌日までひたすら降り続く…そこで我々も、半ば強制的に「オフの日」となった…考えてみたら、私にとっては、こういう「オフの日」は、数週間ぶりのことである…日本を発つ前は、自分の仕事もやたら忙しかったが、それ以外にも、台本の執筆や翻訳、ホテルや交通手段等の手配、衣装の準備、リリースのなどの書類の準備…そして日本に来てからは、コーディネーターのPさんが到着するまでは、そのプロダクション唯一の日本人として、さながらツアーコンダクターの役割…といった、本来なら俳優の仕事ではない仕事を山ほどしなければならなかったからだ…もっとも、これは強制されたものではなく、結果的には私の方から「やります」と申し出たものだったが、その申し出も実は必要に迫られて仕方なく…そうでなければ到底この条件で、全ての撮影を終えることなど出来なかっただろうし、別にそれに関して文句を言うつもりはない…
ただ、それまで俳優としての準備はほとんどできていなかったのは辛かった…もっとも、台本の最終稿ができたのが、出発の4日前で、そのあとは翻訳に追われていたのだから、仕方がなかったのだが、それにしても、私はその為に雇われているのだから、さすがに「一体私は何をやっているのだろう?これでもし不十分な演技しかできなかったらどうしよう…」とかなり不安にも思っていた…
しかし、この大雨のおかげで、ようやく私にも、台本に向き合い、俳優としての準備ができる時間が得られた…まさにこれも私にとっては恵みの雨だったと思う…
また、雨のせいもあって、部屋の中は驚くほど寒かった…日本の夏の暑さについては散々言われ、暑さ対策はしていったのだが、それだけに「寒い」目に合うとは思ってもおらず、寒さの対策は何もしていなかった…せいぜい、飛行機内の冷房対策に、長袖シャツを持ってきたくらいだが、それらをありったけ重ね着し、やはり冷房対策の薄手のショールにくるまる…そしてさらにその時にものすごくありがたかったのが、部屋に備え付けられたこの炬燵…
最初これをみた時は「夏に炬燵?ひょっとしたら片付け忘れているのかしら?」…と思ったりもしたが、なんのなんの…茅野の山奥では、真夏でも夜は結構冷えるから、コタツは必需品だったのだ…そしてこの炬燵に一旦入ったが最後、その心地よさにもう出られなくなる…炬燵に入って、台本を読み込み、時々うとうとする…ここでようやくそういう落ち着いた時を過ごすことができ、自分の演技プランも、ここでようやく「これで行こう」というメドがついた…
実は撮影自体はすでに始まっていたが、私にとってのいわゆる「演技」メインのシーンは次のロケーションからで、その前にその準備がこのタイミングでようやくできた…というのは、これもやはり奇跡の様な幸運だったと思う…
雨の中の山小屋の周りは、霧にすっぽり覆われ、実に幻想的…
不思議なのは、そんな大雨であったにもかかわらず、鶯などの小鳥が結構鳴いていた事で、「こんな天気の日くらい休まんか?」と言いたくなったほど…まぁ、鳥達にもそれなりの事情があったのかもしれない…
この雨は翌日も降り続けたのだが、実はその事で予想外の出来事に晒されるとは、この時はまだ思ってもみなかった…
(その2へ続く)
★過去記事★