こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、また独断によるツッコミなどをお届けしています。

 

ある時、キャスティング・サイトからTVのオーディションのインビテーションが届いた…このところ、自分ではサブミットしていないから、これが届くという事は、エージェントがサブミットしてくれたからである…そしてそれは私も結構好きな番組で、実はせめてBGでもできないものか…とせっせとサブミットしては玉砕していたのだ!…そこで勿論速攻で「オーディション受けます!」とコンファームした…が、その後で気がついた…何とそれは私の専属のエージェントから来たものではなかったのだ?!

 

実は私は少し前から、TVや映画などのレジットの仕事に関してはエージェントとExclusive、すなわち専属契約を結んでいる(過去記事参照)…なのでTVや映画の仕事に関しては、実は他のエージェントやマネージャーと仕事してはいけないのだ…その旨は他のエージェントやマネージャー達にもすでに伝えてあったはずなのだが、どうもそのマネージャーはボケていたか、あるいは確信犯か…私もまたすぐ気がつけばいいのに、オーディションの作品に気を取られてうっかりしていた…というより、専属のエージェントから来たものだと思い込んでいた…というのもある…

ちなみに、そのサイトの「コンファーム」は直接キャスティング・ディレクターに行ってしまう…だから本来ならば、コンファームする前にエージェントに一応知らせるべきだったのだ…

 

勿論、知らせるのは今からでも遅くはない…が、もしそれで「契約違反だからそのオーディションは受けるな」と言われたら?!…いや、まさかそんな事はない…と思いたいが、しかし他のエージェントとはレジットの仕事はしてはいけない…と契約書にはしっかり書いてある…そうでないと「専属」の意味がないからだ…

何よりも、すでにコンファームしてしまったのだから、「他と仕事する気やったんか?!」と思われても仕方がない

 

しかし待てよ…オーディションを受けたからと言って、それに受かるとは限らない…というか、通常はその90%は落ちるのだ…だったら、万が一受かった時は仕方がないが、そうでない限りは黙っててもええんちゃう?!…そもそもなんでこのオーディションがうちのエージェントから来んのや?!…サブミットしとらんのちゃうか?!…自分のところから行って欲しかったら、ちゃんと仕事せんかい!そもそも今年になってから、1件もTVのオーディションが来てないやんか?!...考えれば考えるほど腹が立ってくる…しかも、つい最近も自分で取った仕事なのに、近々少なからぬコミッションを支払わねばならなかったりし、それにもちょっとムカついていたので、この件も受かるまでは黙っていようか…と最初は思っていた…

 

それでも一応、そのオーディションに送ってくれたところには「実は私まだ専属契約中なので、もし受かったら彼にも知らせておいて下さい。」と伝えておく…するとそのマネージャーは、「あなたのエージェントにオーディションの事も知らせておいて」と言う?!

やっぱりそうなんか?!…面倒臭いなぁ…と思ったが、考えてみたら、1本メール送っておけば済むところを、それをしなかった…という事の方が、後々まずいかもしれない…この業界の人達は、意外にそういうところは義理堅いからだ…というのも、やはり何と言っても、信頼関係が一番大事な世界なのだ…

 

そこで、実は渋々ではあったが、エージェントにメールを送り、そのオーディションの件を伝えた…その時に、「あんたからやと思い込んで、うっかりそのままキャスティング・ディレクターにはオーディションを受けると言ってしまいました~」という事も正直に告げる…そして、実は私はその番組が大好きなので、できればこのオーディションは受けたい…と訴え、それでも「どうするべきか指示を待ちます。」と一応殊勝な態度は取っておいた…ただ、このエージェントは時々返事が無茶苦茶遅い時があるので、もし返事がすぐに来なかったら、そのまま続行してやろうか?!…という思いがあったのも事実である…

 

しかし、驚いたことに、エージェントから返事はすぐ来た?!…そしてそのメールには、「せっかくの機会なんだから、オーディションはぜひ受けるべきだ。そしてもし受かったら、(そしてもちろん受かる事を祈っているが、)その時はちゃんとうちにもコミッション払ってね」とある…なるほど、コミッションさえ払えば、別に良いわけか?!…それまで、なんとなく浮気がバレたような気まずさがあったものの、考えてみたらこれは純然たるビジネスの関係ちゃんと義理さえ通して払うもの払えばそれで済むわけなのだ…とは言え、それでも縄張り意識が強くて変にヘソを曲げる奴もいたりするので、少なくとも自分のエージェントがそういうタイプでなかった事には感謝したい

 

これで安心してオーディションが受けられる!…と思ったのだが、実はこの後、意外なところに苦労させられる羽目になるとは、その時は知る由もなかった…

 

 

★過去記事★