こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、また独断によるツッコミなどをお届けしています。

 

2月にやった声の仕事過去記事参照)のクライアントから、再度ご指名の仕事が来た…クライアントさんは西海岸なので、東海岸のレコーディング・スタジオとオンラインで繋いでのセッションである…

 

 

メンバーは前回と同じで、内容も似たようなビデオのナレーションだったが、どうも今回は翻訳があまりこなれていない決して「間違っている」というものではないのだが、「もっといい表現あるやろ?!」というのが随所に見られたので、レコーディングが始まる前に、その疑問を投げかけると、アメリカ人のディレクターは「場合によってはフレキシブルに対応していきましょう」てな感じだった…

 

例えば、「〇〇前の」という時に、その元の英語では「BEFORE」と大文字で書いてあるので、日本語もその「前」を強調して欲しい…という事だが、その強調するにしても「前」だけを大声で言うのも何だか不自然だし、「〇〇前」で1語なので、強調する言葉の前に間を置く…と言うのはもっとおかしい…しかし「〇〇前に」2語に分けて「の」を加えれば、自然にその後の言葉が強調されるから、その1文字を加えたらどうか?!…と日本語のモニターさんに相談すると、「いや、台本は変えないで下さい。」と速攻で却下される…いや、別に意味を変えてるわけやないし、1文字くらい加えても長さ的にはそんなに変わらないんやけど…と言ってみたが、「絶対変えるな!」の一点張り出たぁ~!「とにかく変えるな」のA型気質アメリカ人のクライアントは、それが少しでもよくなるのなら、多少変えてもいいと言っているし、モニターにはその変更を決定する権限があるはずなのだが、どう言うわけか「何が何でも絶対変えるな!」と言う人は少なくない…

 

でも私にはその強調する言葉だけを大声で言う…と言うのは、やっていて気持ちが悪くて仕方がない…が、モニターさんは「え?別におかしいとは思いませんけど?」と全く感じないと言う?!…こうなると私の感覚の方がおかしいのかな?…と、その場は諦めて引き下がった…

 

ところが、また似たような問題を抱えた箇所が現れた…しかもその場所の少し前には「控除」と言う言葉が出てくる…実は私はこの「控除」という言葉を見るたびに、一瞬読み方に迷うのだ…いや、厳密にはそれは「コウジョ」と読むのはわかっていたのだが、ある時「クウジョ」と間違いそうやななんて思ってしまったからさぁ大変?!「クウジョ」じゃなく「コウジョ」、「クウジョ」と言ってはならない…と意識すればする程、返って緊張して余計に「クウジョ」と言いそうになるではないか?!

勿論、実際の台詞として読む時は「クウジョ」じゃなく「コウジョ」、「クウジョ」と言ってはならない…と気をつけているので、まだマシなのだが、その後の翻訳についての話をしている時、うっかり「クウジョ」と言ってしまう?!…まぁ、この時は話をしていただけで録音はしていなかったのだが、モニターさんのが「コウジョです」とすぐ様訂正を入れてくる…見逃してぇなぁ~!…あまりの恥ずかしさに「いや、クウジョと言わない様にわざわざ台本に書き込んで置いたら、その書き込みを読んでしまいました~」なんて訳の分からん説明をしてしまい、墓穴を掘る…これでは余計アホみたいではないか?!…その騒動で、元の話していた問題の方は有耶無耶になってしまい、結局そのまま読む事になったが、それがまた何とも気持ち悪い…その上、「控除」の部分を読む時、さっきのことで余計緊張してしまい、今度はどっちが正しいのか一瞬わからなくなる?!…というか、「コウジョ」と言いながら、何だかそれが間違っている様な気がしてしまう…そんな風に特定の言葉だけ見ていると、返って分からなくなることってないだろうか?!

 

思わぬところで冷や汗をかいたが、それ以降は問題はなく、録音は1時間の予定が40分くらいで終わる…いや、その内の20分くらいは、実は翻訳の問題や「クウジョ」問題の話をしていた訳だが、ともかく時間内に終わって少しホッとしたが、最近自分の日本語への感覚が少し怪しくなっているのではないか?!…と、その事で俄かに不安になった…

 

 

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