こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。
NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、また独断によるツッコミなどをお届けしています。
これも少し前の話である…
私は寒がりなので、冬場の屋外撮影のBG仕事は基本的にはやらないようにしていた…今年は暖冬だったとはいえ、北国NYの冬は-20℃くらいまで平気で下がる…しかもそう言う時に「春や秋のシーン」を撮影したりするのだ…私は、夏に冬用コートを着せられるのはまだ我慢できるが、冬場に春秋コートで薄着させられる寒さには、冗談でなく命の危険を感じる…またこれがプリンシパルならまだ少しは配慮してもらえるのだが、BGは平気で寒空の下で長時間待たされたりするのだ…
それはとあるTVの新シリーズだったが、ファーマーズ・マーケットのシーンで、そのマーケットのベンダー(売る方)の役でAvailを聞かれ、即OKした…最近は外気温もだいぶ暖かくなってきたので、屋外での撮影の仕事もやる気になったのだ…そして、それはすぐにブックされた…
その直前の週末は土砂降りだったりしたが、その撮影当日は、すっきり晴天…少し風が強く、気温は春先並みの肌寒さだったが、冬気温でさえなければ十分だ…ファーマーズ・マーケットの店主さんは、泥だらけの野菜を運んだりもするだろうから、ファーマーらしい汚れてもいいようなカジュアルなワードローブを選び、そのダウンの下にはヒートテクを重ね着し、厚手のタイツを履いて寒さ対策を万全にする…もちろん、屋外なので日焼け止めもしっかり塗った…
週の初めにしては、コールタイムは朝の7時半…と予想より遅い?!…と言うのも、週の初めで、しかも屋外の場合、陽のある内に撮影を終えなければならないし、今は夏時間なので6時前に明るくなるので、朝の5時のコールタイム…なんてのもザラなのだ…
場所はブルックリンの南の方…地下鉄で1時間くらいかかるが、ラッキーなことに私の最寄駅からは1本で行ける…荷物を少しでも減らすために、ファーマー姿のワードローブをそのまま着て電車に乗り、窓の外から夜の明け始めたブルックリン·ブリッジなどを眺める…
そして、そろそろ降りる準備をするのに、住所をもう一度確認しよう…と、ブッキングのメールを開けて、それまでのリラックスモードが吹っ飛んだ…
確かに私はその日のブックされてはいたが、それはマーケットのベンダー役ではなく、何と買い物客の方だった?!…なぜその変更に気が付かなかったのか?!…しかし、ファーマーズ・マーケットのベンダーと客では、ワードローブのニュアンスが少し変わる…
実は、ファーマーズ·マーケットで売られているものは、必ずしもお安くない…しかし、スーパーの野菜よりは鮮度は良いし、その多くはオーガニック…と言うクオリティの問題もあるので、多少割高でも愛用する…という人が多いが、それらはどちらかといえば意識高い系の、ある程度収入のある人達が多い…なのでそのワードローブも、ファーマーさんの労働着というより「ややキレイ目なカジュアル」でなければならない?!…さらに買い物客役に人達はトートバッグを持ってこなければならないと指定されている?!…なぜ家を出る前に確認しなかったのだろう?…トートバッグなんていくらでもあるのに!…しかも、もし着替えを持ち歩いているなら、それをトートバッグに入れていたりするのだが、今日に限って着の身着のまま…いっそ道中のどこかで買えないか?!最近はスーパーやなんかでもエコバックが売っているではないか?!…しかし、いかんせん朝の7時半前に開いている店など、その近辺にはない…思わず目の前が暗くなった…
その時、カバンの片隅に、いつも持ち歩いている小さめのエコバッグを見つけた…日本製のナイロン地のバッグなのでくしゃくしゃっと小さく畳めるのだが、アメリカのショッピングバッグよりはかなり小さい…しかし、中に物を詰めれば結構入る…という優れものである…そこで、そのエコバッグにショールなどの量のある物を詰め込んで大きくして持っていくと、なんとOKが出た!
また、あまりに労働着っぽい衣装も、少し胸元を開けてシルバーのスカーフを覗かせる事で小洒落た印象を作り、何とか解決…
朝からのこれらの予想外の出来事に、早くもぐったり疲れたが、気を取り直して朝ごはんをゲット…
この日はノンユニオンの人達も入れて50人以上のBGが呼ばれていたので、食事もBG専用のノンユニオン仕様…でもまぁ、卵が食べたかったので食事はいいのだが、コーヒーが不味いのには参った…一体どれだけクオリティの低い豆を使って、何時間煮詰めたらこんな味になるのだ?!という不味さで、仕方なく紅茶にしよう…と思ったら、お湯がなくなっている?!
こうした食事の質によって、このプロダクションが我々BGをどう扱うかが予想出来る事がある…何となく嫌な予感がしたが、間も無くその予感が的中…どころか、実はその予想を大きく上回る出来事が起こった…
(その2へ続く)
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