こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

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本日6月19日は、Juneteenthと呼ばれる祭日…実はこれ、一昨日大統領がサインしたばかりの出来立てホヤホヤの連邦の祝日なのだが、第一回目は土曜日だったので、実は昨日がその振替休日だった…

 

この6月19日は、実質的にアメリカ全州で奴隷解放が終了した日とされている…実は、リンカーンのかの有名な奴隷解放宣言はその2年以上前だったのだが、それが実際に実行に移されるまで、特に南部の州では何やかんやと時間がかかり、結局その2年後、最後のテキサス州が奴隷解放令を出して、ようやくアメリカ全土で奴隷制度が廃止された…と言うわけだ。その為この日を「奴隷解放記念日」と呼んでいた州もあった。

もっとも、奴隷制度が廃止されても、実際に黒人達が公民権を得るにはさらに100年近くを要し、また人種差別自体は今もしっかり健在だったりするのだが、それでもこの日から全ての黒人が名目上は自由の身となったわけなので、この日の意味は大きい。

 

そして、この重要な日を国民の祝日にしよう…という運動は、なんと一人のおばあちゃんによって発案され、何と5年の歳月を得て実現した

その人の名はオーパール・リーさんで、現在の御歳は何と94歳…しかも彼女が、このJuneteenthを国民の祝日にするべきだ!と、その運動を始めたのは、何と89歳の時だった…というから恐れ入る…

 

最初彼女は、それを政府に訴えるために、地元テキサスからワシントンDCまで歩く!…という誓願を立てたが、その距離は何と1400マイル(2333km)…実は本人はやる気満々だったらしいが、いくら何でも89歳の婆ちゃんにそんな事をさせて、万が一のことがあっては困るので、そのイベントにスタッフは大反対し、結局その一部…それでも300マイル(500km)は実際に歩いた…というのだからすごい…またこのイベントはさらに多くの人達の知る事となり、賛同者を集めるのにも役だったようだ。

 

ではなぜ祝日にするのがそんなに大事かといえば、まず、祝日になれば、その日を全国民が意識する様になり、同時になぜその日が祝日なのか、その日に何が起こったのか…という事を学校でも教えるようになる…そしてそれは同時に、では今現在の我々はどうなのか?!…という事を考える日ともなる…奴隷制度こそは無くなったものの、人種差別に関しては、この21世紀でさえまだまだ問題山盛りなのだが、それに対しても、どう取り組むか…という会話のきっかけにもなるだろう…一番まずいのは、それらが「なかったこと」にされてしまう事なのだ…

 

彼女のこの運動はまた、変化というのは決して短期決戦でどうにかなるものではなく、時間と粘りが必要なのだ…という事を教えてくれる…そしてそれを何としてもやり遂げる!という強い意志も…

 

 

*写真はウェブよりお借りしました。

 

ちなみに、署名するバイデンの右手、正面左側にいるグレーのカーリーヘアーのおばちゃんが、そのオーパールさんなのだが、お肌もツヤツヤ、とても94歳には見えない!?

また、バイデンは署名に何本かのペンを使い(この時は10本)、その署名に使ったペンを、この祝日実現に貢献した関係者達にお土産としてあげる…という粋なサービスをしていたが、その時に、そのペンをもらったオーパールさん、まるで少女のような喜び様…あれがスーパーばあちゃんの若さの秘密か?!…いや、その祝日実現の後にも「Lot more work to do(まだやる事は沢山ある)」と答えていたが、きっとこの前向きな強さこそが、その秘訣なのだろう…

 

実はこの署名式の前に、最前列に座るオーパールさんを見つけたバイデン大統領、即座に駆け寄って彼女の正面に跪き、親しげに話し込んでいたところ、実はその様子もしっかり中継されていた…その事に気づいた(か、あるいは誰かに言われた?)ジョー、まるで悪戯を見つかった子供が「あ、やばっ!」という時の様な顔をして、即座にその場を中腰で(隠れてるつもりか?!)ささっと立ち去ったのだが、その様子にも思わず萌える…前にも言ったが、実は私は爺さんにも弱いのだ…

 

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