こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子などをお届けしています。

 

前回のお話:

とあるGeneral オーディションで、課題の台詞から始まる、オリジナルのモノローグを作ってサブミットする様に…という一風変わったリクエスト…そこで昔とった杵柄(?)、初めて英語でモノローグを作ったものの…

 

セルフ・テープの時は、そのキャスティング・ディレクターの指示をしっかり読んで理解する事が重要である…という事を、これほど実感した事はない…実際、ちゃんと読んだつもりで、スレート(名前などの簡単な自己紹介)もそれにきっちり従って撮影したのだが、一番大事なビデオの長さを見落としていた?!

モノローグの長さは通常2~4分…最近では2分以内…とやや短くなってきているので、3分は少し長いかな…と思わないでもなかったが、まさか1分以内とは?!どう編集しても、ここまで短く縮める事は不可能である…というか、そもそも私の編集技術はものすごくお粗末なので、編集で縮めるというオプション自体がそもそもない

これは根本的に台本を書き直し、撮影し直すしかなさそうだ…その日の苦労は水の泡になったが、幸いまだ締め切りまでまだ1日あったので、書き起こした台本をもう一度練り直し、1分バージョンを作る事にした…が、これがまた思いの外大変な作業だった…

 

3分バージョンでは、まずコメディタッチで始め、それをシリアスに落とし込んで、最後にちょっと意外な軽い落ちをつける…という構成だったが、1分ではそれは無理である…そこでコメディの大半をカットしたが、それでは面白くも何ともないのではないか?…と不安になる…それでもまだ長く、シリアス部分の半分もさらにカット極限まで削ぎ落とし、何とかこれなら1分で行けるか?…というところまで削ったが、そうなると残った言葉に不満が残るもっと効果的な表現がある様な気がするのだが、これ以上どうすることもできない己の英語の語彙の乏しさが恨めしい

 

翌日、その改訂版台本をもとに、撮り直し…しかし、昨夜あれだけ練ったにもかかわらず、文字で見るのと実際に話してみるのとでは、また全然感じが違う…だから新作戯曲は、上演の前にリーディングをやる必要がある…という理由を改めて理解した。

昨夜時間を測った時は、同じスピードで読んでいたが、実際に感情が高まったりすると、どうしても間が必要になる…しかし、ここまで短いと、間を開けるところに気をつけないと、何と間延びしてしまうのだ?!たった1分の中でも間延びする?!「間延び」と感じるのは、物理的な時間ではなく、心理的な時間なのだとわかった…

 

そうなると、話すスピードにもメリハリをつけねばならず、その結果また台詞の変更が必要になる…その感覚は、撮りながら探っていくしかない…今度はいいか?!と思ったら、1分15秒あかん!5秒以内なら最初と最後をカットすれば縮まるが、15秒オーバーは無理…再び撮り直し…そうして、これで行けるか?!と思ったら、最後の10秒のところで、オートバイが通り、騒音を撒き散らす…よりによって、何でこのたった1分の間に通る?!…そこでまた撮り直し…という事を何度も繰り返している内に、思い切ってアプローチを変え、ある意味勢いに乗っていくと、ようやく1分以内に収まった…やっている時は全速疾走している感覚だったが、実際ビデオでは…あれ、全然普通の速度?!自分の感覚というのは実は当てにならない

 

それをまたiMovieでスレートと繋げ、ようやく指定の場所にアップロードした時には、本当に全身脱力した…ひょっとしたらキャスティング・ディレクターは、これだけ苦労して作ったビオでも、見もしないかもしれないが、少なくとも私は、今回このビデオのおかげで、予想以上に多くの事を学べた…そして、ここまでの制限時間がないなら、これより楽にもっと自分のオリジナルの作品が作れるのではないか?…という、野望さえ抱き始める…

 

ここでできたものをご紹介したいが、「未発表のもの」でなければならないので、今はできない…でも、ほとぼりが覚めた頃に、何処かにアップロードしたいと思っている…もし、その時見ても見るに耐えるものであれば…の話だが…