こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子などお届けしています。

 

前回、オーディションの最終候補に残った時点で、受かる前に俳優のスケジュールが仮押さえされる…というお話をした。(過去記事参照)

が、実はこの仮押さえの後が、また長いのである…それは、何週間も待たされた挙句、いい加減忘れた頃にブッキングの話が来たりして焦る…という事もあるが、それがたとえ1日でも、心理的には非常に長く感じる待つ身の辛さ…という奴である。

そもそも、どんなに理性でわかってはいても、その仕事まであと一歩…という段階だと知らされたら、期待するな、という方が無理である。しかしすでに言ったように、その時点での受かる確率はせいぜい50%…当りと外れの確率は半々なのだから、落ちた時の心づもりも必要である…そういう精神的なストレスもさる事ながら、もう1つ、経済的なストレスも生じる…どういうわけか、そんな風に仮押さえされている時に限って、まるで嫌がらせのように、別な仕事のオファーが来たりするのだ

 

これも何度も言うが、私は決して普段から、オファーが来すぎて困るような超売れっ子ではない(…と、断言するところが情けないが)…それどころか、しょっちゅうDry Spell(日照り)におろおろする身である…が、どういうわけか、一番都合の悪い時に限って、オファーがかち合う…という運命にあるようで、First Refusalで仮押さえされている時に限って、必ずと言っていいほど、別口のオファーがやって来る…勿論、そういう時の為の仮押さえなので、その後から来た方の仕事は受けるわけにはいかない…確かにそうなのだが、そうしてその後から来た仕事を断った直後に、仮押さえからリリースされました~(つまり落ちました~)という事も、実に頻繁に起こるのだ…これが何度も続くと(また、続く時には本当に続くのだ…)、こちらも死活問題である…仮押さえされている間は、仕事を入れられないし、リリースされた時には、もはや仕事をいれるには遅すぎるからだ…このHold問題に関しては、ユニオンにもまだどうする事もできないようである

 

First Refusalはまだブッキングではなく、別に契約書にサインしたわけでもないのだから、ブックされるまでは、気にせずほかの仕事を受けてしまえ…という人も実はいる…所詮ショービジネスは早い者勝ち…それを見越してタレントを早めにブックしておかないプロダクションが悪いのだ…というのだが、まぁ、確かにそれも一理あるものの、しかしそれって倫理的にどうよ?…この業界は信用で成り立っているところがある…たとえ口約束であったとしても、「First Refusalに同意した」という事は、「他の仕事が来ても、こちらを必ず優先する」という事に同意した契約と同じ事を意味するわけだから、その契約を破るというのは、小心者の私にはできない…かくして、その間の仕事は断り続け、そこからのオファー、もしくはリリースをひたすら待ち続ける事になる…

 

ある時、ものすごく急なオーディションがあった…それも前夜の夜中の12時半頃に、オーディションのアポイントメントが届き、翌日の午前中にそのオーディションに行き、その同じ日の夕方「Short Listに残った。」という連絡が来た…そして、もし受かったら、その翌日が衣装合わせ&リハーサル撮影はその次の日…という、これまた急な話である。

撮影日に関しては全く問題なかったのだが、困ったのはその翌日の衣装合わせとリハーサルだった…実はその日には、すでにBGの仕事が入っており、まさにConfirmするばかりになっていたのだ…ちなみに、オーディションの方は、プリンシパルの役だったので、もし受かれば勿論そちらに乗り換えるギャラの額も仕事の質も桁違いだからだ…しかし問題は、この時点ではまだ受かっていない事…その確率はまだ50%止まりで、ここで先走ってBGの方を断ったら、その後に結局オーディションに落ちました~となる可能性も十分ある…どころか、これまでの経験上、その可能性の方が大きいような気もする…しかも、そういう時に限って、BGの仕事の方も、Director's Pick…つまり、監督自らがBGを選び、Featured扱いになる事が多い…というケースで、たかがBGとはいえ、やはり監督に選ばれるというのは悪い気がしない…しかも、それは前から気になっていた番組だったので、実は楽しみにしていたのだ…

そこへ、BGのキャスティング・オフィスから、早くConfirmしろ!とせかしてきた…が、オーディションに方からは、まだ何も言って来ないさぁ、どうする?!

 

(その2へ続く)

 

★過去記事★