こんにちは、ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場からのレポートをお届けしています。

 

これまでのお話:ユニオンの出番(1)

                       ユニオンの出番(2)

とあるTVのBGの仕事で、最初キャスティングからは屋内の撮影だと言われて引き受けた仕事が、実は屋外撮影だった事が土壇場で判明…しかも設定の季節は秋…折しもその撮影当日は、寒波に襲われ、外気温はマイナス10℃、おまけにユニオンのルールはことごとく無視されるという過酷な状況…ついにユニオンに通報され、Repの到着で一旦したように思えたのだが…

 

さらに違反続出?!

Repが帰った後も、撮影は続行されたが、相変わらず休憩は時間通りもらえない…ただ、カメラの角度によっては映らない時もあるので、その時に各自の判断でこっそりトイレに行く…という自衛手段に出る事にした。気温は依然として氷点下ではあったものの、太陽が顔を見せると若干暖かく感じる…ソーラーパワーの偉大さが身にしみた…

 

とはいえ、正式な休憩もなく、食事の時間も予定よりかなり遅れる…もっとも、これはミールペナルティとして加算されるので、今更騒ぐには及ばないが、空腹の時は一層寒さがこたえる

 

どうやらその撮影は予定よりもかなり遅れているようだったが、撮影場所の使える時間が限られているらしく、ひたすら強行撮影…そうなるとBGの労働状況への思いやりなど、プロダクションの優先順位の最下位となる…つまり我々が休憩無しだろうが、食事が遅れようが、ともかく撮影を終了させる事が最優先…というわけで、そのおかげで無事、その日の撮影は終了した。

 

朝から7時間以上ぶっ通しで何も食べていなかった(休憩時間がなかったのでクラフティにも行けなかったのだ!)ので、寒さと空腹でフラフラ…やっとランチにありつける!…と思ったら、そのランチの時間に、いきなりチェックアウトのプロセスが始まった。撮影はもう終わっているので、ランチを食べたらすぐに帰れるように…という事らしいが、そのチェックアウトが終わるまでランチには行けない…しかしこのランチ時間は、しっかり給料から引かれているのだ!ランチが1時間なら、BGは必ずその1時間分はランチタイムを保証されなければならないのだが、実際にチェックアウトが終わった時には、すでにランチの時間が20分過ぎている…しかも、その後すぐにランチに行けるわけではなく、クルーのランチが終わるまで待てと言われる…普通はそういう時は、ランチ時間をずらし、ともかく実際には1時間のランチタイムが取れるようにするはずなのだが、この時はそのランチの終了時間から30分後が終了時間となっている…これもおかしい!この撮影場所はゾーン外なので、マンハッタンからバスの送迎が用意されており、本来なら元の場所でバスから降りた時点が正式な終了時間となるべきところである。その移動時間が30分以内で済めばいいが、もし30分以上かかったらどうする?!…そもそも、ランチのすぐ後にバスが発車できるようにするには、さらにランチ時間が短くなるという事ではないか?!…何度も言うが、このランチ時間はしっかり1時間分我々の給料から引かれているのだ!

とにかく待てど暮らせど、「ランチに行っていい。」とは言われず、それどころかPA達は、今度はノンユニオンのBGのチェックアウトに忙しく、我々の事なんか完全に忘れてるっぽい…待っていても埒があかないので、チェックアウトが終わったユニオンBGの中には、指示を待たずに勝手に下の階のランチの場所に降りていく…私もあほらしくなって、下に降りて行った。

 

ところが、ランチがセッティングされている下の階には、我々BGの座る場所がない…しかし、上の階のHoldingでは、まだノンユニオンBGのチェックアウトでごった返していて、落ち着いてランチを食べるどころではない…しかしこうしている間も、ランチ時間はどんどん過ぎていく下手したらランチを食べそびれるかも?!…仕方なく、皆そこで立ったままランチを食べる羽目になる…この非人間的な扱い、ちょっと酷すぎんか?!…なんだか食べた気がしないままともかくランチを終え、上に戻る…すると、案の定ランチ時間が終わるや否や、すぐにバスに移動するように言われた。結局ランチは30分も取れなかった…しかし、このことをその場で'正式に抗議せず、実質的なランチ時間が短かった証拠となる記録を何も残さなかった事を、後々悔やむ事になる…

 

バスには乗ったものの、中々出発しない…しばらく待たされ、やっと出発した時には、路上はラッシュアワー…何度か交通渋滞に巻き込まれ、結局元のマンハッタンの集合場所に戻ったのはそれから1時間後…バウチャーに書かれた終了時間から、さらに30分が過ぎていた。たかが30分と侮ってはならない…実はこの時点ですでにオーバータイムに入っているので、たとえ30分でもその差は結構大きいのだ。

そこでバスを降りる前に、PAに「正式な終了時間はどうなるのか?」と聞いたが、その問いは、何とあっさり無視された…もっともそのPAはよくわかっていなかったのかもしれないが…しかし、その時私の決心も決まった…家に帰ったら、SAGに連絡しよう!

 

(その4へ続く)