「水色のエミリア」第十一話
「エミリア・・・」
エミリアは、僕から少し離れた。また、手をつなぐ。さっきより、弱い力でつなぐ。
「ね?わたしは、自分の命も、体温も持たない人形・・・。でも・・・。わたしは、わたし。魔女になんかに、ならない」
「・・・・・・」
「魔女になるっていうことは、今までのわたしじゃなくなるってことなの」
「どういうこと?」
「魔女になると、今までの記憶が全部なくなるんだって。楽しかったことも、綺麗なものを見たことも、みんな無かったことになるの。ダイスケが、今思っていることも、忘れちゃう・・・。ダイスケ・・・。どうして、わたしのことばっかり考えてるの?」
「ええっ!?」
エミリアは、僕の心の中がわかるらしい。僕が考えていたことも、思っていたことも、全部知っている。驚きと恥ずかしさで、頭の中が混乱しそうだ。
「エ・サマンサ・ギガレアントがいなくなれば、わたしは、このまま、わたしでいられるの。“真なる命“なんて、いらない。ずっと、今のままで、好きなように生きていくわ」
「そんなことは、できませんよ。エ・ミリア・ギガレアント」
背後から聞いたことのない声。エミリアが、サッと素早く振り返った。僕も、声がした方向に顔を向けた。
黒い服の女性がいる。エミリアが「フーフー」と呼んでいた魔女だ。その右隣に、もう一人、女性がいる。
エミリアが着ている服によく似た、白いドレスのような服装。目を閉じた静かな表情は、息を飲むほどの美人のそれだった。まっすぐ伸びた長い髪は、綺麗な水色をしている。服の袖口から見える白い手。指先に、エミリアと同じ色の爪がある。
確信するための時間は必要なかった。一目で、この女の人が誰なのかわかる。エミリアを造り出した魔女、エ・サマンサ・ギガレアントだ。
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