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「水色のエミリア」第十二話

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「エ・ミリア・ギガレアント。あなたには、これから、わたしたちの世界を守っていただかないとなりません。しかし、今のままでは・・・、人形のままでは、その力が足りません。“真なる命゛を受け取りなさい。あなたには、わたし以上の魔女になれる力を授けているのですよ」


エ・サマンサ・ギガレアントの言葉を受け取る気がないのか、エミリアは何も言わず、美しい魔女を、ただ睨みつけていた。エ・サマンサ・ギガレアントの横にいるフーフーが、不意に僕を見て笑った。


「人間・・・。やはり、あなたは、エ・ミリア・ギガレアントの魔法にかかっているようですね。素晴らしい・・・。人間に魔法をかけることができるとは・・・。もしかすると、我々は進化できるのか?」


「ほぉ・・・。確かに、この人間、エ・ミリア・ギガレアントの魔法の影響を受けているように感じる。命を持たぬ“ただの人形“に、このような感情を持つとは・・・。しかし、完全ではないようだ。詳しく調べてみたい。我々の世界へ連れて帰る必要があるかもしれぬ」


違う!


僕は、魔法にかかってなんかいない。エミリアは、人形かもしれないけど、僕は・・・。僕は、心からエミリアのことが好きなんだ!


「ありがとう、ダイスケ。よくわからないけど、わたしも、ダイスケと同じ気持ちだよ・・・」


エミリアが、僕に笑いかける。僕は、この笑顔が大好きだ。強引で、自分勝手で、生意気な雰囲気を振りまきながら、それでもこの笑顔を見せてくれる。


エミリアは海の向こうに沈もうとする太陽を見て、本当に綺麗だと言った。その時、僕は思ったんだ。その光景より、エミリアのほうが、ずっと綺麗だと・・・。


思い出した。


確かに、あの時、誰かがいた。僕が、黒い油まみれの鳥を抱え上げて、地面に置いたあの日。


(人間は、みんな、あなたみたいに綺麗なの?)


そこに、一人の女の子がいた。そして、二人で一緒に、黒くて、硬くて、冷たい鳥の形をした物体を撫でていた。陽が暮れる直前まで、二人とも何も話さず、ずっとそうしていた。


やがて、母さんが僕を迎えに来た。母さんに連れられて、僕はその場をあとにした。少し歩き進んで、ふと振り返ってみると、そこに残っていた女の子が、僕に向かって笑っていた。


その時の笑顔は、優しくて、とても綺麗だった。そして、今、僕のすぐそばで、あの日の笑顔は綺麗なままだった。



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