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「LADYPEAK」#9

「五分ほどで効果があらわれます。しばらく、待っていてください」
三人は、床の上で丸くなっているキャロルをじっと見つめて、一言も話さなかった。普段は気にならない短い時間が、沈黙した空気の中では、ゆっくりと重い。広い部屋は、不自然に静かだった。
五分が経過した頃、キャロルが立ち上がった。
「ミャア!」
甲高い艶のある鳴き声は、滞っていた空気を一気にかき回した。
「おいで、キャロル」
名前を呼ばれた猫は、桃葉の膝上に、ヒョイと飛び乗った。
はっきりと見開いた、凛とした眼で、春江と和代を見ている。白く濁っていたはずの眼は、今は光を放ちそうなほど艶やかだ。
表情は、明らかに精悍さを帯びている。毛並みのしなやかさは、見るだけで確認できた。
「その猫ちゃん、さっきの猫ちゃんなの?」
和代が驚いた様子でたずねた。
「ええ。これが、LADYPEAKです」
桃葉は、この魔法の液体について、説明をはじめた。
LADYPEAKは、女性ホルモンに特殊な刺激を与えることにより、細胞が記憶している最も活発だった過去を思い出させる作用がある。いわゆる“若返り“の効果があるのだという。
しかし、男にはその効果はあらわれない。服用後二十四時間ほどで、若返りの効果は完全消滅する。副作用は一切ないらしい。



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