9月27日に関西学院西宮上ケ原キャンパスで『こどもに命の大切さを伝える』というシンポジウムがあった。内容は、日野原重明さんの名誉学位記授与式に始まり、日野原さんの基調講演、日野原さんと野田正彰さん(関西学院大学教授)、井垣康弘さん(弁護士、元神戸家裁判事)との対談であった。
 日野原重明さんは、聖路加国際病院理事長であり、もうすぐ95歳になられる今も現役の医者として働かれており、講演も全国あらゆるところで行われ、著書も多数で、元気で長生きしたい人にとってはカリスマ的な存在である。私も、一度は生のお話を聴いてみたいと思っていたので、とても喜んで参加してきました。
 日野原さんのお話の中で「寿命というのは年の長さではなく、いかされている命の長さ、命の質(クオリティー  ライフ)である。人生の最後に『ありがとう』と言えるそのことこそ、勝利ではないか」とおっしゃっていたのが印象に残った。こどもの頃から結核を患ったり、ハイジャックにあって生死を味わったり、戦争の中を生き、いろいろあって、そして長く生きておられる方の台詞だけに、その意味は深い。
 日野原さんは全国の小学校をまわり、10歳のこどもたちに「命というのはきみたちの使える時間のこと。その時間を自分だけのためではなく、人のためにも使えないのか?」と問いかけているそうだ。
 あと「愛するということは、自分の時間を与えること」という言葉も、妙にすっきりして受け取れた。よく「愛とは」「愛するとは」と思いを巡らせてもなかなかピッタリとくる表現が見当たらなかったりするのだが、この言葉を聞いて、なるほど〜と納得した。時間っていうのは、まさに命そのものなのだから。
 なにげなくただ生きていても時間は過ぎ、年は重ねていくが、その年齢に値する命の質を深めているのかと、自分自身のクオリティー  ライフを見つめさせてもらえる機会になった。