今回は,神戸大学理学部物理学

科科2015年7月4日実施の大問Ⅱを取り上げ

ます ,。

ただ,大問Ⅱ全体に関する投稿をめざし

ましたが,結局大問Ⅱの小問1

電気映像法の正当性に関する出題と

小問②のみで終わりました。

電気映像法は,その正当性を把握する

のも重要だろうけれど,だって、現にここに

出題されているもんね。

どちらかというと,問題演習を中心に慣れて

いくほうが重要と思いますが。

そして出題者もいろんな事柄とからめ

やすいテーマのはずです。

さてそのテーマは.本問のように導体が,

存在し,その静電誘導により出現する数多く

の電子の効果を考慮する必要のあるとき

に,よく使われる特殊解法です。

電気映像法が利用できる導体も単純な形

のものに限られるので,電気映像法を利用

する問題は.編入では、本問のタイプに

限られる、と考えてよいと思います。

アポロニュウスの円が出てくるものまでは,

トライする必要は、ないでしょう。

さて小問1は ,電気映像法の利用の正当性を

問うています。

すなわち「導体表面に無数に現れる電子の

導体の表面外部に対する影響

を+qの電荷の存在する位置Z=a の

導体表面(Z=0)に関する鏡の中の

像の位置Z=-aに-qの電荷を置き,(競映電

荷といいます)

それに代表させよう」、という

事柄の正当性を問うています。





先ず,最も安直な考え方は,上図のごとく、

Z=aに存在している電荷 +qから放出される

電気力線は、Z=0 にある導体表面に現れた

電子に終わります。

このとき、「電気力線と導体表面とは直交

する 」ということに注意して,無数の電子

から,電気力線を導体内部(Z<=0)に延長して

いくと,すべての電気力線は,Z=-a の一点

で交わります。そこに競映電荷-q を

置きます。

導体をとりさり,始めからZ=aに+qそして

Z=-aにーqの二つの電荷が存在していたと

考えてみると,Z=0において電位は.0となり

Z=0に 導体が存在していた時の状態

を再現します。

以上のことより,電気映像法の正当性が

示された。

で、よいかと思います。

もう少し詳しく論じようとすれば,

静電場における静電ポテンシャルφ(r)

つまり、電位を規定する式として次の

ポアソンの方程式なるものが,存在します。

∇^2φ(r)

=(∂^2/∂x^2+∂^2/∂y^2+∂^2/∂z^2)φ

=-ρ(r)/ε0 ①

ρ(r): 電荷分布

φ(r):静電ポテンシャル

①式において,「電荷分布ρ(r)と境界条件

が,与えられると静電ポテンシャルφ(r)

は、ただ1つの関数のみに定まる」

逆に、「電荷分布ρ(r) が,与えられている

場合,境界条件を満たすφ(r) を見つける」と,

それが ,①式の解となります。

これが,電気映像法を利用の真髄です.




再びこの図に戻ります。

Z<=0には、導体が存在しています。

導体表面をZ=0としてZ軸を右側に取ります

そしてZ=aに+q の電荷を置きます。

この状態で,導体の外側での

静電ポテンシャルつまり電位と電場を

調べることを考えます。

導体表面には ,静電誘導により無数の電子

が,現れます。

それらの分布関数ρ(r)は、簡単には,

求まりません。

そこで ,電気映像法を利用して電位,電場を

求めよう,ということです。

導体表面には、無数の電子が現れます。

これは,上図のアの状態です。

ここで導体表面Z=0は,接地されている

ので,Z=0での電位は0◎

このこと重要.これがまさに,

境界条件!!

そして導体表面に現れた無数の電子の効果

をZ=-aに置く-qの競映電荷で

代用させます。

そして導体をとりさります。

この状態が上図のイです。

Z<=0 には,導体が存在せず、真空です。

さて、図アと図イは,同じ状態を表す、

というのが,電気映像法です。

再び、ここで,そのことを再確認します。

先程は.電気力線をZ<=0つまり導体内部に

延長するとZ=-aの1点に収束することを

根拠にしましたが,ここでは.少し精密に,

静電場を規定するポアソンの式①を用いて

確認していきます。

まず,Z=-a に競映電荷-qを置きましたが

これは,Z<=0の領域のことであり導体の

外部における電荷分布ρ(r) は,

不変です。

次にz=aの+q ,z=-aの-qの2つの電荷が,

=0の任意の点p(x,y,z)に形成する電位φ

を求めると、

φ=q/(4πε0)*1/r1-q/(4πε0)*1/r2 ②

と表すことができます。

r1:Z=aとp点との距離

r2:Z=-aとp点との距離


ここでp点が,導体表面(Z=0)に存在した場合

②式は,

φ=0

となり上図のアの境界条件を満たします。

よって,静電ポテンシャルを規定する

ポアソンの方程式①は、

導体の外部では,アの場合とイの場合とは,

同じものになります。

故に,電気映像法を利用して求めた②式

のφは,アとイの両方で共通です。

編入試験の本番で,ここまで答えられたら,

満点です。

でも,あらためて読み返すと,今回の投稿

分かりにくいです。

電気映像法の正当性は.前半の電気力線の

導体内部への延長のイメージでの理解

でいいと思います。

問題演習で,電気映像法になれていきま

しょう。