今回も前回同様 ,神戸大学工学部

平成27年度物理大問Ⅰを用いて,解説

していきます。

前回は、座標軸の原点を釣り合いの位置に

設定すると,その座標軸に関する(前回で

は.y軸としました) 運動方程式の右辺から

動摩擦力f' の項が,消滅し,それを

力学的エネルギー保存則成立の根拠としま

した。

今回は,高校物理で,履修し,センター試験の

範囲内である「エネルギーの原理

力学的エネルギーの変化量は.非保存力から

された仕事の量に等しい」

の式をたて,そこから単振動の復元力の

エネルギー保存則の式を導き,考察したい、

と,思います。

まず,重要事項として力学的エネルギー

保存則の式に,重力の位置エネルギー

の項が顔を出さないようにするには,

重力の位置エネルギーの基準点を釣り合い

の位置x=Lにとる必要があります❗

下の図は.前回も利用した神戸大学工学部

平成27年度物理大問Ⅰです。



X軸は.バネの自然長をx=0 として斜面平行下向きにとります。
Y軸は.力の釣り合いの位置x=Lをy=0としてx軸と同じ向きにとります。
X=L+yの関係が,あります。
またこの位置では、力の釣り合いの式
mg*sinθ-k*L--f'=0     ◎
が成立します。
今回もこの◎の式が大きな役割をはたして
くれます。

それでは,エネルギーの原理の式を

床の上に静止している人から見たとして、

たてていきます。

まずは,

x=△l(アイではなくてエル)
(t=0において,質点を置いた位置)

X=L+y(一般的な位置,任意の時刻)

x=L+A'(単振動の振幅の下端の点)

X=L(y=0の点. 力の釣り合いの点)

の4点における

質点の運動エネルギー

バネの弾性エネルギー
(これは,バネの自然長が ,基準点ですよ!)

重力の位置エネルギー
(X=L,y=0:釣り合いの位置を基準点に
とる❗)

を求めます。

結果は、下図のとうり。


s

では、エネルギーの原理の式を

x=△l(アイではなくてエル
           t=0において,質点を置いた位置)


X=L+y(y座標が,y, 最も一般的な位置)

の2点においてたてます。

x=L+yにおける力学的エネルギー E1

E1=1/2*m*v^2+1/2*k*(L+y)^2  
       +(-mg*y*sinθ)

x=△lにおける力学的エネルギーE2

E2=0+1/2*k*(△l)^2
     +mg*(L-△l)*sinθ
以上のことより、

x=△lとx=L+yとの間のエネルギーの

原理の式は、

E1-E2=-f´*(L+y-△l) ① 

f'=μ*mg*cosθ                 

で与えられます。

①式に◎の式を代入します。

そこから,ゴリゴリ計算すると,

欲する関係式が得られます。

◎の式を

μmg*cosθ=mg*sinθ-k*L

と変形し,①式に代入すると,比較的式変形

のめぼしが,つきやすい、と思います。

そして、ついに

1/2*m*v^2+1/2*k*y^2

=0+1/2*k*(L-△l)^2     ※

欲しい※式が得られます。

重力の位置エネルギー及び動摩擦力のなす

仕事中を表す項は,存在しませんね。

※の式の左辺

1/2*k*y^2: y座標yつまりx=L+yにおける

単振動の復元力の位置エネルギー

※の式の右辺

1/2*k*(L-△l)^2  :x=△l(t=0の質点の置)

における単振動の復元力の位置エネルギー


やっと神戸大学工学部平成27年度物理

大問Ⅰを解くにあたり,最も簡潔な式が、

得られました。

※式を使う際には「x軸の原点と重力の位

置エネルギーの基準点をともに

釣り合いの位置でとると,単振動の復元力の

エネルギー保存則より」と,まあ簡単にこと

わって ,

いきなり,※の式を利用してもいいです。

でも,※の式ではなく超基本的な

エネルギーの原理を表す式である①式を

利用しても,解けます。