林投資研究所の林知之先生から著書である『億を稼ぐトレーダーたち』と運営されている林投資研究所の「研究部会報」をご恵贈頂きました。
林投資研究所
書評が遅れてしまいましたが、僭越ながら書かせて頂きたいと思います。
『億を稼ぐトレーダーたち』は林先生がトレーダーに投資哲学から投資手法までの一連の流れをインタビューし、その中で大切な部分をクローズアップして自身の解説を加えながらまとめています。
質問形式になっていてこの質問の仕方がうまいんです。
ムック本等でトレーダーに投資哲学や売買のポイントなどをインタビューする企画がありますが、先生の切り込んでいく質問のレベルの高さにこの本の完成度を感じました。
ご自身の相場の哲学が確立されているからこそ備わっている聞くスキルでしょう。
2000年以降、インターネットの普及とともに「活字離れ」と言われていますが、本を読む投資家はまだ多く、知識を吸収するツールとして君臨しています。
個人的には本は読むだけではなく、著者がどのように考え、著者の考え方を実践するために手法であれば反復継続して市場でトライしてみないと本当に理解したことにならないと思っています。
理論の話も基礎知識はもちろん、空いている行間を背景などを考察しながら頭に入れていかないと理解度は低くなってしまいます。
この対談形式の本は林先生がトレーダーに鋭く切り込んでいますので背景や考え方をかなり補完しているので本が苦手な方もスッと頭に入ってくるでしょう。
インタビュー時期から時間が経過しているので巻末の追加インタビューも必見です。
ご恵贈頂いたもう一冊の本、「林投資研究所 研究部会報」は林先生が運営されている投資研究所の会員向けの機関紙です。
クローズのコミュニティの会報なので内容を書くのは問題があるのでこちらは紹介にとどめますが、具体的な手法、実践的な知識、メンタルなどを盛り込んでいます。
手法部分は中源線を使ったテクニカルを中心とした解説がなされています。
中源線建玉法の起源は、清の時代にいた中国の伝説的な相場師、陳雅山が残した売買法だそうで、銘柄固定のうねり取り、(ただし機械的に判断する)林先生がデータ類の整備などを行い、現代のITテクノロジーと融合させ進化させています。
FAI投資法という低位株の手法 (注意銘柄、買い銘柄を掲載)の「注意銘柄一覧」という買いの候補としての銘柄群が載っていまして、銘柄群を見てみると一言でいうとシブイ。
私のディーラー時代に当てはめるとコンスタントに勝ちを積み重ねるオッサンディーラーが好んで売買していた銘柄群です。
この銘柄群は値動きに派手さはなく、出来高も少なく売買が落ち着いているので、根強いファンが多いため、フェアバリューをイメージしやすいです。価格が一時的に上下に振れればフェアバリューまで戻る習性は順張り・逆張り共に対応しやすいのでテクニカルを使った売買にも順応しやすいのだと思います。
会報には知り合いの本河さんの連載もあって、本人の顔を思い浮かべながら読ませていただきました。
その他、メンタル面の話も記載されており、研究会の方々を技術だけでなく、メンタル面でもサポートしていく先生の心構えを感じました。個人的に投資技術はもちろんですが、相場は読みが当たったり、儲かってうれしいこともありますが、損はつらいです。メンタルサポートは損の補てんはされませんが、心の補てんはされます。長く愛される会を運営していくにはメンタルのサポートが一番のフォローだと思っていますし、会員からも望まれるサービスだと思います。
メンタルを語るには人格・人望も大事です。長年、尊敬できる先生として活動されている林先生の人柄、相場理論に尽きると思います。今後もご活躍を祈念しております。
このたびはありがとうございました。