「ここは熱海よ♥」は楳図かずお先生の「まことちゃん」の中の沢田一家が熱海でゴージャスホテルに泊まる楽しい1話なんですが、

そんな熱海の昭和ゴージャスを体現しているホテルニューアカオが閉館してしまう、

今やっている美術展を最後に内部も見られなくなるかも!とレトロモダン建築好き界隈で話題になりまして、

血が騒いで行ってきました。

 

 

同好の士のHさんに声をかけたら前もご一緒したテーラワーダ仏教のお寺に泊まる手配もしていただいて、一泊二日の日程が整いました。

 

1日目、早起きして熱海からニューアカオの無料送迎バスに乗って開場時間早々に到着したら。

なんと「第2水曜日だけお休みを頂いています」。

 

しかし泊まる手配もしているし、明日出直せば良いとサッサと気持ちを切り替えて熱海の定番MOA美術館へ。

展示は収蔵品による茶道具の展示、と超地味だったのですが

 

これが地味なようでどえらい良かったです!

 

さすがMOAで良いものを持っていて、

長次郎の黒楽茶碗銘「あやめ」なんか見ていたら良すぎてぼ〜っとしてしまいました。

 

 

 

 

 

展示の仕方も観光できている人達にもわかり易い様に,

織田信長・豊臣秀吉・徳川家康・千利休などの所有や由来だったもの、と人物で切り取って集めて見せて

その人の美意識や人となりを展示品から読み取る試みをしてくれていたりします。

 

何度も見るけれど再現されている「黄金の茶室」は成金趣味のようでとても上品で、

古の照明の乏しい時代だったらさらに渋くて悪くなかっただろうな、と思わせます。

 

特に面白かったのは利休・古田織部・小堀遠州それぞれの手による茶杓が展示されていたこと。

利休のは渋くて力強く厳しい作で

織部のはスタイリッシュなストライプ模様が出ている竹で形は利休に似たカリッと力強い作、

小堀遠州のはなんと飴色とストライプの片身替りみたいな竹で、姿は利休と織部よりは優しげな作風。

自分の思い込みかもしれないけれど、三者三様にその個性が匂い立つようでとても面白く観られました。

 

茶杓って前はいまいちピンと来なかったんですが(あの竹のスプーンをどう鑑賞しろと?と。)

自分で削る機会が数回あり、そうしたら急に面白く見られるようになったのですよ。

経験って大切ね。

 

今回の展示は12日までですが、冬の「紅白梅図屏風」公開の時期に訪れるのも素敵です。

 

 

 

 

 

 

MOA美術館は展示そのもの以外にもまず建築と館からの熱海の眺望、

離れのお茶処周辺の日本庭園、

鑑賞者が絶対写り込まない特殊なガラス、

と見どころ満載です。

今回お茶処で食べた栗きんとんも自然な味が凄く美味しかったし、世界救世教エライ!!と思いました。

 

気がついたらMOAでは全然写真撮ってなかったのでニューアカオからの海を。