自分へのお誕生日プレゼントの2は岡山のパーマカルチャーセンター上籾にて開催のストローベイルハウスの講習会への参加。
前日夜から乗り込んだ夜行バスで岡山の津山まで。
そこから電車で6駅が最寄り駅の弓削駅。
駅からは地域乗合タクシー(どこまで行っても300円!)に乗って登る登る、
本当に天空の城ラピュタのようなイメージの山の頂上にパーマカルチャーセンター上籾はあった。

午前中は、主催者のカイルさんより
パミモミ(パーマカルチャーセンター上籾の愛称)にてのパーマカルチャーの取り組みについても広い敷地内を案内してもらいながら解説を受ける。

パーマカルチャーは自分が居住するスペースを中心に生活をレイアウトしていくそうで、
つまり居住スペースから近いところは毎日ちょっとずつ収穫する作物、
少し離れたところは何ヶ月か時間をかけて育てる作物、
もっと離れた所は木材や果樹などのように何年も手入れをしていくところ、というふうになるそうだ。
パーマカルチャーの畑の考え方について本なのでたくさん読んではいたけれども、実際のパーマカルチャーの畑を見るのは私はこれが生まれて初めて。
もちろん無農薬有機肥料で作られている。
羨ましいほど生き生きしていて見事で見とれてしまう。
写真を撮れなかったけれど、先代の家主さんが残してくれた柚子の畑や
その先の地域みんなで管理している雑木林や杉林、
身近な毎日食べる野菜類から広く何年もかけて管理して木材についてまで自給しようとする取り組みは
頭だけでパーマカルチャーを知っていた身としてはやはり実感があって素晴らしいと思った。
パミモミでは沢水を飲料水として使っているので、きれいな水はとても貴重なもの。
お昼は皆で1品持ち寄りのポトラック形式になったが、使ったお皿類に関しては最初に糠で汚れを拭い、
3回に分けて洗面器の水ですすぎ、水を大切に使って行く。
トイレはもちろんコンポスト形式。

便器の下にバケツが置いてあるだけの簡易的な形になっていて
用を足したら糠を上からかけて、バケツがいっぱいになったら畑のコンポストステーション(という囲い)に持っていく。
コンポストステーションでは1年以上をそれらの人類の創造物を熟成させて、
熟成し終わった堆肥は根元に果樹の根元に撒くそうだ。
熟成をさせている途中のコンポストステーションから勝手に色々な野菜の芽が出てきて立派に育ったりしていて、自生するものの強さを感じる。
敷地内のツリーハウス。
午前中の後半は実際にカイルさんが敷地内に建てているストローベイルハウスの説明を受ける。

ストローベイルハウスというとなんかメルヘンっぽくなりがちだが、キリッとした伝統工法の佇まいが趣味の良さを感じる。

カイルさんご友人の外国の方が建てた基礎。
この丸い大きな石がこだわりだそう。

ストローベイル(藁のブロック)を積んで、泥を塗る。
藁が直接地面に当たると湿気で駄目になるため廃ブロックや古瓦で土台を作る。

上側は2回目の下塗りが終わったところ。

こちらはまた別のカイルさんの考案した糠と土と消石灰を混ぜて壁兼断熱材としたもの。
グラスファイバーの断熱材と同じ程度の断熱効果があり、しかもコストは安く、全て自然に還るもので作られている。
こちらの壁の利点はストローベイルを使った場合、壁が30 CM あまりにもなってしまうところを半分の15 CM 程度で同じ断熱効果を得られるところであるそうだ。
こちらのパートはこの土台を作ったカイルさんのご友人の取り組みで、泥をまぶした藁を竹組に編んで行く方法で壁が作られている。
この様に1つの建物で様々な自然工法を使ってデータを取っている。
こちらは伝統的な日本の伝統的な工法で作られた壁。
細い竹を網状に組み、そこに藁スサを混ぜて発酵させた土を塗っていく工法。
湿気止めの古い瓦がここでも本当に美しい。
屋上は屋上緑化で断熱を試みている。
屋上緑化方式は屋根の断熱としてコストパフォーマンスもよく楽しい工法だけれども、
水留めと排水を十分に考慮する必要がある。
土の中には暗渠と言って穴のたくさん開いたパイプを埋め込み、水を誘導して水はけをよくしてあげることが大切だそうだ。
建設途中の実際のものに触れ、主催者カイルさんによる詳しい解説も腹に落ちる。
午後は改装中の古民家の中で座学。
ストローベイルハウスの歴史から
実際の工法の手順、注意点、
ストローベイルに変わる自然派建築の紹介、
日本国内や海外のストローベイルハウスやナチュラル工法の建物の紹介
等々、盛り沢山な内容で、メモも追いつかないほど。
やっぱり現場に行くのは本当に大事。
本やネットで得た情報だけでは得られない体感や実感のようなものがある。
実際にストローベイル工法で作られた建物の中に入ったら全身の細胞が何とも言えない心地よさに包まれて、私はこういった泥でできた家が本当に好きなんだな、ということがよくわかった。
やはり最終的にはこういった土の家に住みたいとしみじみと思った。
また参加していた人たちがとても面白かった。外部からの参加者は私を入れて6人で、
大阪の自然派生活に憧れているご夫婦、自分たちの都会の住まいのベランダで野菜を作ったり太陽発電に取り組んでみたりしている・
香川県高松から自分でセルフリノベーションをしたビルでゲストハウスを運営している女性、
北海道から来た建築家さん、イギリス在住の施主さんから急にストローベイルで家を建ててほしいとオーダーをされて全くストローベイルハウスや パーマカルチャーの知識のないところからこの講座に参加された方、
地元岡山の地域コンサルティング的な仕事をされている公務員さん、やはり最終的にはこういったパーマカルチャーや自然建築をもっと根付かせたいと思っている希望のある方。
皆わざわざ岡山の山の上まで集まってくるだけのことはあって面白かった。
非電化工房の前お弟子さんだった耕平くんとも再会。(ってかリアルで会うのは初めてだった)
ますますイキイキと活動して、志向する方向も自然建築や伝統工法に定まってきた様子が頼もしかった。
良き良き。
全体的に本当に現地に行って良かった!
現地に行かなければ肌で感じなければ、実際に施工している人から直接聞かなければ、見てみなければ、わからないもの感じられないものがたくさん得られたと思う。
夜行バスの往復なんてハードかな、と思ったけれど講習会のあとに温泉に入れたからか意外と元気に帰ってこられた。
(行きのバスの前後にも入れていたら座学のときに眠くならなかったのになー。)
思い切って自分にお誕生日プレゼントをあげて本当に良かった。
思い切って行動してくれた自分ありがとう!!