ハヤカワBooks & Magazines が
「緊急事態宣言下の日本において、今、このときに広く読まれるべきテキストだと考えた」として
イタリアの小説家パオロ・ジョルダーノによるエッセイ『コロナの時代の僕ら』の全文を
著者の特別な許可を得て、2020年4月10日19時より4月12日19時まで限定公開中です。
サイトよりの解説:
本書はイタリアでコロナウイルスの感染が広がり、死者が急激に増えていった本年2月下旬から3月下旬に綴(つづ)られたものです。感染爆発を予感しながらも、最悪の事態を阻めなかったみずからとイタリアの人々、そして人類のふるまいを振り返る、著者の思考と後悔の記録です。
僕らはどこで、何を間違ってしまったのか? 図らずも到来してしまった「コロナの時代」をいかに生きるべきか? 日本の私たちにとってもけっして他人事ではない、とても重要な記録であり、思索です。
著者パオロ・ジョルダーノ ;小説家。1982年、トリノ生まれ。トリノ大学大学院博士課程修了。
専攻は素粒子物理学。2008年、デビュー長篇となる『素数たちの孤独』は、人口6000万人のイタリアでは異例の200万部超のセールスを記録。同国最高峰のストレーガ賞、カンピエッロ文学賞新人賞など、数々の文学賞を受賞した。
ハヤカワのサイトはこちらより飛べます。
は編集部お勧めの「著者あとがき: 「コロナウイルスが過ぎたあとも、僕が忘れたくないこと」 を読み、これは今日本人みんな読んだほうがいいのじゃないかと思い、ご紹介しています。
あとがきでは、ヨーロッパでもこのウイルスによる病気の流行を為政者たちが「これは戦争だ」と表現していることに言及しています。
「これは戦争だ」「戦時のようなものだ」「戦いに備えよう」といった具合に。だがそれは違う。僕らは戦争をしているわけではない。僕らは公衆衛生上の緊急事態のまっただなかにいる。まもなく社会・経済的な緊急事態も訪れるだろう。今度の緊急事態は戦争と同じくらい劇的だが、戦争とは本質的に異なっており、あくまで別物として対処すべき危機だ。
今、戦争を語るのは、言ってみれば恣意的な言葉選びを利用した詐欺だ。少なくとも僕らにとっては完全に新しい事態を、そう言われれば、こちらもよく知っているような気になってしまうほかのもののせいして誤魔化そうとする詐欺の、新たな手口なのだ。
(本文引用)
うちの国の、何もかも対応が遅くって
大威張りで出してきた国民への対応が「各世帯ごとに布マスク2枚」で
今月の家賃が払えないお店もたくさんあるのになんだかんだと言って救済策を出さずに
国会議員のお給料は今度の5月から値上げするような
うちの国の今の政権が、今回の「緊急事態宣言」にかぶせて憲法改悪に前向きな姿勢を示しています。
そんなことを私たち国民は望んでいるでしょうか?
私達はどんな目、どんな言説、どんな行動で望まないことばかりやりたがる政権を踏みとどまらせられるでしょうか。
この本をまだ全部読んでいるわけでもないし、その答があるわけでもないだろうとは思います。
しかし同時代の若い知的なイタリア人がこの進行形のコロナ災厄の中で緊急に書き上げたエッセイにより
ひとつ視点を増やすこと、
もやもやとした自分の思いを的確に表現している一文に出会えるかもしれないです。
週末、お時間ある方にお勧めします。